海を見に行った日の夜
明日は学校の先生と話す予定だ。
まあ、学校に行けたらの話だけど。
通信制の高校のことを相談したいからだ。
俺から連絡した。
両親には言ってない。
まだ、俺は怒っているから。
自分でなにも出来ないくせに。
その言葉を払拭したいから。
俺は一人でやる。
そう決めた。
嫌なことがあったらここに書くことにする。
まあ、いいこともだけど。
最初は辛いことだけ書こうと思っていたのにな。
でも、それじゃ味気ないだろ?
未来の人よ。
それは読者かもしれないし、俺自身かもしれない。
そんなことはどうだっていいけど。
そして、父さんが来た。
「今日、海に行ったんだって?」
「ママから聞いたよ。」
「どうやって行ったんだ?」
俺は答える。
少しぶっきらぼうだったかもしれない。
反省はしてないけど。
「歩いて。」
父さんはビックリしてた。
そりゃそうだ。
片道三時間かかったんだから。
まあ、帰りは車だけど。
おばあちゃんいつもありがとう。
心の中で感謝したら、父さんが口を開く。
「顧問の先生から電話があった。」
「見学だけでもいいから、気楽に来てね。」
「だって。」
俺は驚いた。
父さんの声が優しく感じたから。
顧問の先生に言われたのだろうか。
いや、そんなわけない。
機嫌がいいだけだろう。
そうに決まってる。
驚きを隠せないまま、俺は答える。
「出来るだけがんばります。」
父さんは。
「そうか。」
としか言わない。
怒らないように我慢しているのだろうな。
我慢できたんだ。
大人になったな。
俺は感心した。
同時に怖くなる。
いつか、爆発するのだろうな。
この事も私小説に書こう。
そう本気で思っていた。
俺の脳は作家になってしまったようだ。
でも、父さんにこの作品を見せたら驚くだろうな。
そして言うだろう。
「俺はこんなこと思っていない。」
ってな。
でも、これは俺の感情を書いたものだ。
俺の自由だ。
ここだけは、な。
さて、もう寝よう。
もう夜の10時だ。
母さんに早く寝ろと言われているんだよな。
もっと書いていたいが仕方ない。
明日、先生と話すことも母さんに伝えてないし。
伝えようと思っていたが、伝えられなかった。
の方が正しいな。
だって、本音を話すのは怖いから。
もしもを考えてしまうと、止まらないから。
うん。
しょうがない。
明日は本音を話せればいいな。
最初から全ては難しいから、端っこくらいは。
おやすみ世界。
明日の自分が見える気がする。
そんなに緊張しなくてもいいか。
だって担任の先生は優しいから。
両親と違って。
今日の最後に一言。
明日は死んでもやってくる。
おやすみ。