報復
次の日の日記。
これは報復だ。
といっても父さんに向けてじゃない。
母さんに向けてだ。
父さんに報復することは将来の決定事項だからもういいとして。
将来のことを考えないと、と思って通信制の高校のパンフレットをとったら、母さんに言われた。
「通っている高校は?」
「諦めたの?」
「部活は?」
「もう大会近いし行ったら?」
「学校よりもそっちでしょ?」
「というか、私に相談したの?」
もうダメだ。
こいつもくそだ。
パンフレットを取ってから言ったらこれだ。
やっぱり人間はダメだな。
それに一気に聞くことじゃないだろ。
馬鹿なのか?
だから、報復だ。
ここに残すことでだれかに届けばそれで。
ああ、やってることは迷惑系のYouTuberと同じだな。
俺もダメかも知れない。
神様。
許してくれとは言わないが、両親に天罰が下りますように。
報復と聞いて逆転劇を思い浮かべた人もいるだろうな。
でも、違う。
あくまで実際に起こったことだ。
だから、日記だ。
そして、泣きながら書いている。
拙い点があればご指摘願いたい。
さて、本題を書こうか。
俺は質問に答える。
「うん。」
それしか言えなかった。
絶望していたから。
「ちゃんと考えてんの?」
「相談せずに決めて。」
「全部自分で出来るならいいけど。」
その声は静かに俺の心に響いた。
そして思う。
その気持ちは失望だ。
今まで優しいと思ってきたし、そうして書いてきた。
それなのに……。
やっぱり人間だった。
人生には山も、谷もある。
でも、一気に来すぎだ。
神は死んだのかもしれない。
そう考えるしかなかった。
「お風呂入って、速く寝なさい。」
「明日学校よ。」
「まあ、行くきもないんでしょうけど。」
「あんた本当に病気なの?」
俺は精神科医から、適応障害という病気を診断された。
その場にお前もいただろうが。
ダチョウよりも頭悪いんじゃないのか?
くそだ。
なにもかもくそだ。
生きるための一歩からこんなことになるなんてな。
予想外だ。
もう三日も学校に行けてない。
その事は分かってる。
でも、俺は適応障害という病気を抱えながら執筆している。
その事を知っているはずだ。
それなのに……、
ああ、やってやるよ。
そんなこと言うならやってやる。
そう思って今日記を書いている。
もう、限界なんだ。
学校も、部活も、親のことも。
そりゃ、適応障害になるわ。
そんなことも親は分からないらしい。
俺の方が大人かもな!
そう言ってやりたい。
でも、今言えた。
だから少しだけ、落ち着けた気がした。
怒りは収まらないが。
部活が学校よりも大事?
そんなわけないだろ。
学校に行けてないのに部活に行ける?
アホなのか?
本当にいってんのか?
信じてたのに……。
信じてたのに!
ああ、イライラする。
涙が溢れる。
いっそのこと殴ってやろうかな。
いや。
ダメだな。
俺が犯罪者になってしまう。
あいつのためにそんなことをする必要はない。
そう、刑事ドラマでも言ってた。
今、お風呂に入りながら考えていた。
人間はくそか。
一旦休むべきではないのか。
そんなことを。
でも、答えは出なかった。
むしろ悩みは加速するばかりだ。
嫌になる。
しかし、考え続けるしかない。
神は死んだのかもしれないし、救いはないの知れない。
それでも、俺は今生きている。
神じゃないから死んでない。
そうだ。
そうなんだ。
俺も人間だ。
その事を忘れるな。
そういえば母さんにこんなことも言われた。
「才能があったら良かったのにね。」
俺は今、お前の言葉で小説を書いている。
それが才能じゃないなら、才能とはなんだ?
教えてくれよ。
もう話したくもないけどな。
一人で部屋で泣いていた。
その時、妹と姉が扉を開けた。
「大丈夫?」
「あまり悩みすぎるなよ。」
「母さんだって、あんまり考えてないんだから、」
その言葉が染み込んできた。
嬉しかった、
まだ、人間も捨てたもんじゃないかもしれない。
そう思えた。
これがきっかけで今、日記を書いている。
これはノンフィクションだ。
いつか、母さんに見せるときに思わせてやる。
俺がどれだけ絶望していたか、俺がどれだけ……。
この作品が、多くの人に届きますように。
そして、一人でも救われますように。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
この話はノンフィクションです。