表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くそだ  作者: あゆやか
5/9

報復

 次の日の日記。

 これは報復だ。

 といっても父さんに向けてじゃない。

 母さんに向けてだ。

 父さんに報復することは将来の決定事項だからもういいとして。

 将来のことを考えないと、と思って通信制の高校のパンフレットをとったら、母さんに言われた。

「通っている高校は?」

「諦めたの?」

「部活は?」

「もう大会近いし行ったら?」

「学校よりもそっちでしょ?」

「というか、私に相談したの?」

 もうダメだ。

 こいつもくそだ。

 パンフレットを取ってから言ったらこれだ。

 やっぱり人間はダメだな。

 それに一気に聞くことじゃないだろ。

 馬鹿なのか?

 だから、報復だ。

 ここに残すことでだれかに届けばそれで。

 ああ、やってることは迷惑系のYouTuberと同じだな。

 俺もダメかも知れない。

 神様。

 許してくれとは言わないが、両親に天罰が下りますように。

 報復と聞いて逆転劇を思い浮かべた人もいるだろうな。

 でも、違う。

 あくまで実際に起こったことだ。

 だから、日記だ。

 そして、泣きながら書いている。

 拙い点があればご指摘願いたい。

 さて、本題を書こうか。

 俺は質問に答える。

「うん。」

 それしか言えなかった。

 絶望していたから。

「ちゃんと考えてんの?」

「相談せずに決めて。」

「全部自分で出来るならいいけど。」

 その声は静かに俺の心に響いた。

 そして思う。

 その気持ちは失望だ。

 今まで優しいと思ってきたし、そうして書いてきた。

 それなのに……。

 やっぱり人間だった。

 人生には山も、谷もある。

 でも、一気に来すぎだ。

 神は死んだのかもしれない。

 そう考えるしかなかった。

「お風呂入って、速く寝なさい。」

「明日学校よ。」

「まあ、行くきもないんでしょうけど。」

「あんた本当に病気なの?」

 俺は精神科医から、適応障害という病気を診断された。

 その場にお前もいただろうが。

 ダチョウよりも頭悪いんじゃないのか?

 くそだ。

 なにもかもくそだ。

 生きるための一歩からこんなことになるなんてな。

 予想外だ。

 もう三日も学校に行けてない。

 その事は分かってる。

 でも、俺は適応障害という病気を抱えながら執筆している。

 その事を知っているはずだ。

 それなのに……、

 ああ、やってやるよ。

 そんなこと言うならやってやる。

 そう思って今日記を書いている。

 もう、限界なんだ。

 学校も、部活も、親のことも。

 そりゃ、適応障害になるわ。

 そんなことも親は分からないらしい。

 俺の方が大人かもな!

 そう言ってやりたい。

 でも、今言えた。

 だから少しだけ、落ち着けた気がした。

 怒りは収まらないが。

 部活が学校よりも大事?

 そんなわけないだろ。

 学校に行けてないのに部活に行ける?

 アホなのか?

 本当にいってんのか?

 信じてたのに……。

 信じてたのに!

 ああ、イライラする。

 涙が溢れる。

 いっそのこと殴ってやろうかな。

 いや。

 ダメだな。

 俺が犯罪者になってしまう。

 あいつのためにそんなことをする必要はない。

 そう、刑事ドラマでも言ってた。

 今、お風呂に入りながら考えていた。

 人間はくそか。

 一旦休むべきではないのか。

 そんなことを。

 でも、答えは出なかった。

 むしろ悩みは加速するばかりだ。

 嫌になる。

 しかし、考え続けるしかない。

 神は死んだのかもしれないし、救いはないの知れない。

 それでも、俺は今生きている。

 神じゃないから死んでない。

 そうだ。

 そうなんだ。

 俺も人間だ。

 その事を忘れるな。

 そういえば母さんにこんなことも言われた。

「才能があったら良かったのにね。」

 俺は今、お前の言葉で小説を書いている。

 それが才能じゃないなら、才能とはなんだ?

 教えてくれよ。

 もう話したくもないけどな。

 一人で部屋で泣いていた。

 その時、妹と姉が扉を開けた。

「大丈夫?」

「あまり悩みすぎるなよ。」

「母さんだって、あんまり考えてないんだから、」

 その言葉が染み込んできた。

 嬉しかった、

 まだ、人間も捨てたもんじゃないかもしれない。

 そう思えた。

 これがきっかけで今、日記を書いている。

 これはノンフィクションだ。

 いつか、母さんに見せるときに思わせてやる。

 俺がどれだけ絶望していたか、俺がどれだけ……。

 この作品が、多くの人に届きますように。

 そして、一人でも救われますように。

 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 この話はノンフィクションです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ