くそな夕方
もうなにもかも嫌だ。
この気持ちはだれかの救いになるだろうか。
いや、なれないだろう。
未来を決めつけるなんて父さんと一緒だ。
だから、これは自分の気持ちということにしよう。
少し落ち着いてきた。
家で一人で泣いていたからもう夕方だ。
誰にも分からない現実を抱えながら息をする。
そんな自分もくそだ。
なんであのときちゃんと声を出さなかったんだろう。
なんであのとき……。
その答えがでないまま、頭のなかをループする。
思いが軌道を描いている。
だれかに届けばいいな。
こんな気持ちが。
その時が待ち遠しい。
だってその時は。
俺も救われる時だから。
父さんは嫌いだけど、母さんは好きだ。
母さんは。
「学校に行けてないなら、部活も無理でしょ?」
と言ってくれる気がするから。
母さんは介護士だ。
だから、人の痛みには敏感だと思う。
でも、今日は野球の試合観戦でいない。
こんな気持ちになるんだったら、俺もそっちに行けばよかったな。
練習試合を休めば良かったのにな。
なんてパラレルワールドを想像しても今より良い未来が来る訳じゃない。
それに絶対に良いことを想像してしまうから、あまり考えないようにしよう。
今は、現実を見る。
そのターンだ。
さあ、ご飯の事を考えよう。
父さんはおばあちゃんの介護でいないから姉弟で二人きりだ。
姉にはこの事を伝えた方がいいだろうか?
いや。
自分で折り合いを付けよう。
それが先決だ。
「さあ、ご飯はどうしようか。」