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30層目到達、ハンスやらかす

「早いな、もう20階層目か」


 ギフトで受けた総合戦闘力最大の恩恵は伊達じゃない。

 初見殺しはもちろん階層ごとの親玉も一瞬にして斬り伏せられる。 これはあっという間にダンジョンマスターとして伝説になるか?


「しゃあぁー、この調子で行くぜっ」


 この当時の俺に教えてやりたい、「調子に乗るとロクなことにならない」と……。

 そして俺はあれよあれよと下へ潜り、気がついたら30階層目へと到達していた。


「よし、次が31階層か。 順調過ぎて拍子抜けしちまうな……あれ? なんか身体が重いような……気のせいか」


 一瞬の違和感など気にすることなく俺は次の階層へと進み、31階層の鬼門、グレートデモンに挑む。 見た目はツノと鬼の顔でまさに悪魔、さらに背中には翼があるんだからフツーの冒険者なら苦戦するのだろう、フツーはな?


 だが俺には総合戦闘力最大のギフトがある。

 それさえあればどの層の魔物だって……。


「相手にとって不足はねぇ……さぁ、俺の伝説の礎になってくれやあぁぁぁ」


「グルオアァァ」


 俺の剣とグレートデモンの右手がぶつかった。 そして……。


「な……こいつは……痛っ」


 剣にヒビが入り、そしてそれを突き破る形で奴の爪が俺の腕をかすめた。

 おいおいおい、どういうことだよこれよ、俺は戦闘力最大の最強戦士になったんじゃないのか?


 突然のことにどうしたことかとうろたえていたがその間にも奴は容赦なくその手を振るってくる。


「……っ、まずいっ!」


 このままだと殺される。 俺は1度30層に戻ることにした。


「どうなってんだ……もしや30回までしかギフトは効かないとかか?」


 1度29階層に戻ってみる。 クマ型の魔物のオーベアー、コイツはさっき軽く葬れた。

 コイツなら……どういうことだ? また俺の皮膚をかすめやがった……撤退っ!


「おかしい、どうなってやがる」


 30層目の魔物のいない区画で息を整え、なぜこうなったのか考える。 だが心当たりはまるでない。


 この場所もいつ魔物が忍び込んでくるか、そう案じた直後、ドガッと轟音とともに岩でできた巨体が忍び込んできた。


「ジャイアントゴーレム……もうおしまいだ……」


 俺は覚悟を決め目を閉じた。 そして奴の拳が額に当たる感触がしたのと同時にそれは起こった。


「ゴーレムが、粉々になった? どういうことだ」


 俺の戦闘力最大化のギフトは消えたんじゃ……魔物の徘徊するエリアに出てみる。


「ポイズン・ウルフ、噛まれたら即あの世行きだろうな」


 汗がにじむ、手を広げながら奴の前に立つとそいつは全速力で飛びかかってきた。

 普通なら噛まれてお陀仏……だが違った。


「クウゥーン」


「狼はショック死か……どうなってやがる?」


 俺は何度か29階層から31階層を行ったり来たりしてなにがどうなってるのか確かめてみた。 それを5回ほど試したところである法則に気づく。


「上の階の魔物にも下の階の魔物にも歯が立たない。 だが現在地は無双状態、まさか……」


 いや、そのまさかだった。 どうやらギフトの効果が切れた時点の場所では無敵らしいがその他の場所では駆け出しの雑魚同然。


 これ詰んでね? いや、詰んでるよな、どーすんだよおぉぉぉっ!

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