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政治経済エッセイ

高額療養費凍結は「医療利権」に守られており「財務省の出来レース」の可能性

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は25年8月から上限額に引き上げが凍結になりそうな高額療養費制度と、これが“永久凍結”されるべきだということ。


一体どういう意図があって凍結されたのかについて語っていこうと思います。



質問者:

 一時は今年の引き上げが確定したと思いきや凍結したりと、二転三転して驚きでしたね……首相の発言がそれだけ軽いのがまず気になりますけどね。



筆者:

 石破首相は就任当初から自民党総裁選の公約を覆したり、最後まで決定するまで分からないですけど、取り敢えずは凍結という方向性で話を進めたいと思います



質問者:

 というか、高額療養費と言う制度についてよく分からないんですけど……。



筆者:

 実際にその制度を活用している方で無いと分からないかもしれませんね。


 保険の無料相談サービス、グッドカミング社の、高額療養費制度に関するアンケート調査によると、「仕組みや申請方法を理解している」が8%、「ある程度のルールは知っている」が55.7%となっています。


 一方で上限額引き上げについて「断固として反対」が36.7%、「やや反対」が36.7%とあるので、制度が分からずとも「負担増なのだな」という事で反対しているという事が分かります。


 具体的にどのような制度なのかと言いますと、

 高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、

本来の医療費に自己負担率をかけた残額が、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻される制度です。


 この自己負担限度額と言うのは世帯年収ごとに決まっているのですが、

 その限度額が現役世代において段階的に大きく引き上げられ、事実上のかなりの増税になることが今回問題になっているのです。


 ※1973年から始まった制度は、2015年から高齢者に限って段階的に上限額が引き上げられてきました。



質問者:

 なるほど、「1割負担」や「3割負担」でも医療費次第ではとんでもない金額になってしまうことはあり得ますからね……。



筆者:

 そうなんです。


 しかも現役世代の負担割合が高いことからこの制度を利用している全世代1250 万人の患者のうち現役世代では400万人になるために思ったよりも大きな影響を受けるのです。


 建前としては「増え続ける現役世代の社会保険料負担の軽減のため」としています。



質問者:

 保険料負担が下がるのであれば良いことなのではありませんか?



筆者:

 今回の見直しで5330億円の社会保障の費用削減ができるとしていますが、

 これに対して保険料が負担減が月額で92円~417円(年間1100円~5000円)の値下げにしかなりません。


 5000億円の減額をそのまま保険料減額にすれば全員5000円ぐらいの減額が出来るので「総合的に見ても増税」なのも間違いないのです。


 医療技術の進歩や医療費全体の増加、さらには制度の財政的持続可能性を考えると、現行の上限額では現状に対応しきれない。今年の分については物価高に即応した金額まで引き上げようとしていました。



質問者:

 結局のところ「財政を黒字化したい」という思惑があるという事なんですね……。


 賃上げがされていると言っても一部の方だけなのに……。



筆者:

 似たようなことで見直すのであれば生活保護の医療負担0割からの引き上げ、

 外国人生活保護の見直し、外国人の保険加入を1年に戻すと言った措置について考えていくべきだと思いますけどね。


 更にこの高額療養費制度の案が成立してしまえば、値上がりの幅があまりにも大きすぎることから高額療養費を利用している方の「受診控え」ということが起きてしまう可能性が高いと言われていました。


 5330億円のうち2270億円は受診をやめる「受診控え」による削減です。


 今回凍結された旧プランとして挙がっていたのは「保険相談ラボ」というサイトからお借りしますとこんな感じでした。



挿絵(By みてみん)



 高齢者の方々の負担と比較してみても、


挿絵(By みてみん)



 現役世代への負担額が尋常で無いことは明白です。

 

 特に世帯年収700万付近の方が深刻でこれまでは月額最大8万100円だったのが、27年からは月額13万8,600円となんと月額で7割ほどの負担増になる予定でした。


 勿論サービス内容が良くなるわけでもないので単純に増税と言って良いでしょう。


 生活習慣を起因としたものもあるかもしれないですが、多くは遺伝性のものであったり大きな事故であったりとやむを得ない事情である方がほとんどだと思うんです。



質問者:

 交通事故等やむを得ない高額療養費を受ける可能性は誰にだってありますからね……。



筆者:

 そうなんです。


 全国保険医団体連合会の子育て世代家庭への25年2月のアンケートでは、


 仮に値上げがあった場合どういう措置を取るかについての回答では、

 治療中断5割 回数減6割 


 子供に対しての対応は、

 進路変更が5割、習い事減が6割


 と回答しており現役世帯への負担は絶大です。


 僅かな金額を減額するために

 400万人については「斬り捨てよう」という考えが見え隠れしていた制度でした。


 親の方でも働けなくなれば子供にも影響が出てくることでしょう。


 高額療養費制度が「セーフティーネット」としての役割を果たしていることから、その保護機能を弱めることは、本来の目的に反すると思っていました。


 上記の制度の上に生活保護が「0割負担のまま」ともなれば整合性も取れなくなっていたことでしょう。



◇凍結になった“裏側”考察



質問者:

 凍結された本当に良かったですね……。


 それでは逆にどうして凍結されたんでしょうか?


 突然政治家の方々に良心が芽生えたのでしょうか?



筆者:

 基本的にはそう言ったことは無いと思っています。


 高額療養費の上限額が全体的に引き下がったのであれば良心が芽生えたと言う見方もできると思いますが、現状維持になっただけですからね。


 本当に国民を救いたければガソリン税のトリガー条項を発動したり、年収の壁を一律で178万円にしたりと現在話題に上がっていることを完全な形で実行しますからね。

 

 

質問者:

 確かにそうですよね……そうなると、どういった意図があるんですか?



筆者:

 ここからは僕のこれまでの日本の政治を見てきた経験値からの考察なんですけど、

 「自民と立憲がプラスのイメージを作り上げる作戦」という事なんだと思います。



質問者:

 どういうことなんですか?



筆者:

 具体的に話しますと、


 「自民党は増税をしない政党」


 「立憲民主党は高額療養費を阻止した」


 という事で議席数を次の選挙で維持することが出来るんです。



質問者:

 与野党がある意味「裏で握っている」ということですか……。



筆者:

 そうです。「ただの出来レース」だった可能性があると思っています。


 彼らの後ろにはやっぱり「財務省」がいるんだと思いますよ。


 自民と立憲の議席数を維持することによって財務省などが「本丸」として狙っている「消費増税」の本懐を果たすことが出来るのです。



質問者:

 全くいい本懐では無いですね……。



筆者:

 また、自民党の大きな支持政治団体として「医師会」と言うのが全国的にあります。


 自民党の地方の町議、市議から国会議員まで医師会からお金を受け取っている中で、「受診控え」という現象が起きるような全体のパイが減る政策を簡単に取るとは思えないんです。


 彼らからの援助などが無ければやっていけないでしょうからね。



質問者:

 なるほど……。



筆者:

 「財政再建したい」と言う方から見ると、急激に伸びる高額療養費は「危険な存在」であり、手を付ける日は必ず来るとは思います。


 ただ、今回のような急激な形では無く「真綿で首を締める」ような形になっていくと思いますよ。


 ちょっとずつの負担増、ピンポイントの控除の引き下げであれば国民の反対の意見も小さかったのが過去の経験としてありますからね。



質問者:

 確かに、インボイス制度の移行期間中ですけど、徐々に控除されない金額が増えていくそうですからね……。



筆者:

 インボイス制度は「消費税の仕組み」を完全に理解している方が少ないのも財務省にとって幸いしたかなと思いますね。


 いずれにせよ、今後も「真綿で首を締める作戦」を取ってくると思いますので、その都度反対していければなと思いますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は検討されていた高額療養費の案が特に現役世代の400万人を「斬り捨てる」危険な政策であったこと。

 見送ることは既に「決まっていた」可能性があること。

 その裏には財務省や医師会などの組織が関わっているという考察を行いました。


 今後もこのような政治経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。

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