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第5話 清楚ちゃん時々快晴

 現在──。


「え、あ、あれ~? 俺の願いが叶ったのか!?」


 碧斗の隣で、冬馬はかつてないくらいにはしゃいでいる。

 それも無理もない。 優愛を眺めながら「俺の事を好きになってくれないかなー」と呟いた直後に、優愛が自分の方へ距離を縮めて来るのだから。

 しかし実際は、優愛の目当ては冬馬ではなく──。


「今日はよく会いますね、碧斗さん」


 優愛はニコッと微笑んで言うと、隣にいる冬馬は複雑な顔をしていた。

 それは斗真の心中では『天使の微笑みを拝ませて貰えた喜び』と『その微笑みが向けられているのは自分ではなく隣にいるイケメン』という二つの事実がバチバチと火花を散らして、正面からぶつかり合っている。


「どうした、優愛」


「嘘、二人は名前で呼び合う仲だと!?」


 冬馬は二人の間に割って入った。 すると優愛は二人に気づかれないくらい僅かだが、目の下をピクピク動かした。


「碧斗くんはいつもそちらの方といらっしゃるのですか?」


 碧斗のことをずっと追い続けていた優愛には、そんなことは聞くまでもなかった。

 しかし冬馬に横槍を入れられ、聞こうと思っていたことが聞けなくなってしまい、急遽聞くことをチェンジしたのだ。

 流石、将来佐倉グループを継いでいくものとして、認められているだけはある。


「あぁ、そうだよ。 コイツは冬馬、荒木冬馬だ。 去年同じクラスになってからずっと仲がいいんだ」


 自分のことを優愛に紹介してもらい、冬馬は放課後にでも碧斗に「ポテトでも奢ってやろう」と考えた。


「そうなんですね。 あらいけない、私次移動教室なので、おいとまさせていただきます」


「おけー」


 授業までまだ少し時間はあったが、これからの未来を担っていくご令嬢様だ。 時間にはしっかりとしている。


(な、なんなの!? もしかして、碧斗くんってあの荒木冬馬とか言う人のことが好きなの!?(※優愛の勘違いです) 私、絶対負けないもんねだ!)


 どうやら優愛は、時間にしっかりしていたのではなく、嫉妬心で耐えられなくなったために、逃げただけであった。


(で、でも……)


「んふふ〜♡」


 優愛は一人廊下を歩きながら、つい笑みをこぼしてしまった。


(やっと碧斗くんに寄り付く女が居なくなったわ! ここからは私の独壇場よ!)


 この日、美しいと言われている佐倉優愛は、『可愛さが爆発している』と学校内で密かに有名になっていた。


 今日の優愛は『清楚ちゃん時々快晴』であったのだ。


 ◆


 朝から恵奈や優愛と、学校内の美少女達に絡まれて、少し疲労を覚えていた碧斗は、コンビニパンの入ったレジ袋を持ち、屋上に逃げた。


 やっぱり屋上は最高だ。 この季節は暖かくなってきて、日差しが気持ちいい。 午前中の疲労が全て吹き飛んでしまいそうな気がする。


 碧斗は「んーっ!」と体をのばし、誰も座っていない横長のベンチに腰を下ろす。

 そしてレジ袋の中から、メロンパンを取り出し、一口ほおばった。


「んまっ!」


 メロンパンは好物であるため、碧斗はものすごく幸せそうな顔をして咀嚼している。

 糖分が勉強で疲れた脳に染みる。


 こうしてゆったりとした、幸せで平和な時間が過ぎていた。 と、思っていたのだが違った。 『コトン』という音と共に、隣から衣擦れの音が聞こえる。


「先輩こんにちは。 お隣失礼します」


 碧斗の隣に座った、ピンクの髪をツインテールにした少女は、クールに言う。

 碧斗は「他にもたくさんベンチ空いてるよね!?」とツッコミを入れたくなったが、グッと飲み込む。


「こんにちは、朝陽あさひ


「ん」


 朝陽こと伊集院朝陽(いじゅういんあさひ)は、軽く返事をすると弁当箱を開き、パクパクと食べ始めた。

 その様子を碧斗は「小動物見たいだな」と思いながら横目に見ていた。


「なんですか」


「えっ!」


 バレていないと思っていたが、鋭く睨みながら「なんですか」と言われ、碧斗は少し身を引いてしまった。


「す、すまん。 何もない……」


「そうですか、わかりました」


(ふぅー。 キレられなくてよかった。 朝陽は俺にだけあたりが強いからな)


 碧斗は心の中で、安堵のため息をつく。

 その横で朝陽は──。


(はぁ……。 また先輩に冷たい態度を取ってしまった。 絶対嫌な感じって思われたじゃん……)


 心の中で碧斗とは違う、ため息をついていた。


(私って、先輩にどう思われてるんだろ……)



 もう皆さんはお気づきかもしれない。 伊集院朝陽も瑠花が寝盗られてからおかしくなった女子の一人であり、碧斗に長い間片思いをしているのであった。

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