第八話 僕は平和だけを知っていたい
ごめんなさい。火曜日に足を怪我したんですが、その理由が言えない程ダサく、ちょっと落ち込んでゲームに逃げ込んでいました。明日と三連休でどんどん書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
オッソの斧が割れ、あと少しというときに、オッソは小刀を取り出した。
「クソッ!!クソッ!!クソオォォォ!!」
何か失敗したように叫ぶ声と共に小刀が振り回されるが、あまりにも滅茶苦茶に振り回しているため、僕であれば余程のことがない限り、絶対に当たらないだろう。
「あいつに……!あいつに殺される!!」
小刀を振り回しながらそう言い放っていた。
確かこの盗賊団はオッソがボスだったはずだから……
……分かった!!オッソは名義上のボスなんだ!きっと裏で誰かに操られているんだ!!じゃあ、捕獲して情報を聞き出さないと!
そう思った僕は、父に予め渡されていたロープを巻き付けオッソを捕獲した。
「嫌だ!!嫌だぁ!!この失敗が知られたら……あ、あいつに殺される!!」
ロープで縛られても、体を芋虫のようにくねくね動かし、泣きながら逃げようとした。
……正直言ってガタイのいいおっさんがその動きするの、普通に怖い。フェルメッツァがやっても同じようにみんな怖がるだろう。
僕は逃げるオッソのロープを掴み、父たちへオッソの身柄を渡し、後は任せることにした。
しばらくして、仕事の完了報告をするために、フルファンテの本部へと戻る。ついでにオッソの言っていた「あいつ」について調べるために、オッソも連れてきた。
オッソの言っていた「あいつ」について調べるため、僕たちは応接室でそのことについて聞くことにした。
といっても聞くときに脅迫することは、オッソにとって、恐怖感を与え情報を抜き取るのが困難と考えたため、その方法がちょっと見てられないものだった。
そう、それは…………
こちょこちょでの取り調べだ!!こちょこちょなら、恐怖感も与えず、痛みも与えない。確かに、方法としてはいいかもしれないが、ガタイのいいおっさんが声をあげて涙を流して笑うのってちょっと怖い。芋虫みたいに動くときよりはマシだけど、怖い。
幸いにもオッソはこちょこちょに弱かったらしく、すぐに口を割った。
「あいつ」というのはオリジン・ディストラシオンという男の名前のようだ。しかしその男の名前はフルファンテのほぼ全員が知っている名であり、みんな深刻な表情をしていた。特に父と母とネビアはその表情に加えて、少し身震いしているのを、僕は見た。
オリジンという人について聞いてみると、その内容はフルファンテ……いや、3人にとって最も辛いことだった。そのことについて、イモさんが詳しく説明してくれた。
「今から17年前……そやつはお主の父と母、ネビアともう1人が殺した。そして、その時に、メンバーを1人亡くした。このことからお主の父と母は1度抜けたのだ。」
この内容を聞いただけでもゾッとした。ただでさえ強いであろう父と母にネビアともう1人が加わってその1人を犠牲にして殺したのにまだ生きている。きっと戦った時の強いトラウマからフルファンテを一度抜けたのだろう。そして今回入ったのも、オリジンが死んでいることを考えて入ったのだろう。
「オリジンは、闇魔法を使う。それも高度な魔法をだ。」
闇魔法。生まれながらに持っている火魔法や風魔法などとは違い、性格的に社会になじめない人や家庭の状況により、精神がおかしくなった人や殺人衝動を持った人などが突然得られる魔法の事だ。といっても、闇魔法は扱いがとても難しく、練習するにも見つかれば即処刑されるので、練習することも難しい。つまり、オリジンは相当な使い手ということだ。
このあたりから母の気分がとても悪くなったため、父とネビアもそれについて行き、いなくなった。
「……彼らもいなくなったことじゃし17年前のことについて話すとするか。……その時オリジンはこの国で個人的なテロを起こした。その時、ここにいたのがお主の父と母、ネビア、そしてもう1人、エデラ・デザルトだ。」
イモさんはオリジンとの戦いで亡くなったエデラについても紹介する。
「エデラは草魔法使いでな。植物の精密な操作と植物の幅広い知識で戦う人じゃった。……そして人一倍、思いやりのある人じゃった。」
エデラのことを話し始めると、イモさんは涙を流し始めた。
「……そして、エデラには、家族がいた。その家族は元はフルファンテに入る予定じゃったが……その時の事件から、一度もここへ来させていない。」
それだけイモさんにとって嫌なことだったのだろうし、思い出したくもないことだったのだろう。
「……さて、あの時の事件の続きについて話そうか。」
この事件は後に「モナーキア大規模テロ事件」と言われるほど被害が大きく、この広い歴史の中でも類を見ない程だったそうなのだが、僕が生まれていないのに加えて、そこら辺の知識を知らないのでこの事件の名を知ったのは事件の詳細の後の話だ。
「あの時、オリジンは闇魔法でこの世の所業とは思えない程、建物、人を吞み込み、壊し、殺していった。それを彼らは全力で止めた。が、闇に向かって魔法を撃っても何も変わらない。魔法を闇のない上空から撃ち何とか殺せたが、オリジンは当然反撃しないわけでもなく、闇から闇を出しそれらを飛ばし攻撃を行っていた。」
そして、エデラが死んだ原因について聞いたが、このことについては僕が口出しできる理由じゃない。
「エデラは……人を守って死んだ。だが、本来のフルファンテの目的は仕事の達成が最優先だが、それで人を救ったのもまた事実。死んでもいない私たちが責める必要はない。」
確かにそうだ。守るべき人がいるのに、それを守らずにほっとくのは、人一倍思いやりがあるエデラさんにとってはとても辛いことなのだろう。
「そして、エデラは、あの3人と仲が良かった。その時、彼らは同い年だった。……それなのに……それなのに……!どうして!20で死ななければいけないんだ!」
そう少し良かった口調で話したイモさんは壁を叩きつけた。相当怒りがこもっていたらしく、壁にはかなり大きいヒビが入っていた。
こうして僕は、17年前の事件について聞いたが、その内容がとても重く、繰り返し聞いただけで、僕は泣きそうになるほど辛かった。
————そう考え、その場にいたみんなで応接室から出ようとしたとき……
ドスッ
そんな音が聞こえた。振り返るとそこには黒い棒——おそらく、闇魔法で作られたものと、それによって胸の部分を貫かれ、血を噴き、倒れているオッソがいた。
僕はオッソの方へ向かい、治療できないかと彼を引っ張ろうとしたが、イモさんに止められた。
その直後、黒い棒がまた何本も飛んできてオッソに何度も突き刺さった。棒が刺さった少し後、黒い棒が動き、文字を作った。その文字は少しずつ変わり、最終的にこの文を作った。
フルファンテの皆さんへ
皆さん、17年ぶりですがいかがお過ごしでしょうか?私は全身に魔法を食らっても、ピンピンしてますよ!私は前回の事から、1人でやるべきじゃないことと考え、とある組織を作ったんですよ。
その名も「ラフィアン」。どうです?あなた達の組織と名は違えど、意味は同じです。さぁ、またいつかになりますが、今度は覚悟しておいてくださいね。複数人で来てあげますから。
オリジン・ディストラシオン
この言葉を読んだその時、イモさんはこう言い放った。
「ラフィアンの組織壊滅のため、1度全員を招集し、会議を行う。3日後、あそこに集合だ!」
一度僕はフルファンテのメンバーはここに全員いると思っていたけど、本部に入れない人が何人かいるのを思い出した。
というか、「あそこ」ってどこ?
元々、ドラゴンを来させて色々やるつもりでしたが、オッソが「あいつ」なんか言うから、仕方なく、人を早めに召喚しました。オッソめぇ~!!(自業自得)
さてそんなことはさておき、明日と3連休、めっちゃ頑張って書いていきます!
…………多分。