第七話 僕は斬撃を行いたい
いっぱい出すとか言って全然出せませんでした。ゴメンナサイ。
だってアニメ楽しいんだもん。今週と来週の三連休は怠けないようキッチリと頑張ります!
……多分。
短剣の扱いがある程度できるようになったので、僕は誰かの任務の見学をすることになった。
といっても仕事が来ないので1ヶ月後の話だが。
初めて見学する仕事は盗賊狩りだった。内容としては先週から国同士の物流が不安定になり、調査を行ったところ、盗賊がモナーキア王国周辺で暴れているらしい。
おととい、冒険者や警察団をそれぞれ50人ほど派遣したそうなのだが、盗賊の数が多く、その殆どが死に、帰ってきた人も重症だったそうだ。ということでフルファンテに仕事として依頼が出されたわけだ。
仕事をこなすのは、父、サキット、ネビア、コレンテそして僕。
どうしてこの人たちなのかというと、乱戦状態を避けるために、攻撃の範囲が広いフェルメッツァやクレミシ、母といった人は、一度にたくさん盗賊を倒せるかもしれないが、増援が来てしまえば戦いずらくなる。というわけで移動が速い人たちで行くことになったのだ。
でも、1つ懸念するべきことがある。僕はまだ人や魔物が血を流したのを見たことがない。仮に見たとしても、それはイモさんの見せた画面からであって、直接見たわけじゃない。だから気持ち悪くなって吐くんじゃないかと思っている。そのことを父に話したが、「私も最初はそのまま連れてかれて血をたくさん見たよ。最初は吐いていたけど、慣れるさ。きっと。」と満面の笑みで言ってきた。完全に子供に言うべきことじゃないよ!
———きっとみんなが守ってくれるだろうし、大丈夫だろう。
そう考えながら、早速現場へ向かう。現場は道が一本だけ通っているところが崖に挟まれていて、盗賊が狙いやすい場所だ。現場へ向かうといっても、商人が通る道を狙って待ち伏せしている盗賊たちを待ち伏せしてるだけなんだけどね。
5分ほど経つと、商人が通りかかった。商人は少し急ぎ目に移動している。きっと盗賊のことを知っているのだろう。すると盗賊たちが崖の上から顔を出し、様子を窺っている。あの商人を襲うと決めたのか、早速崖から降りて取り囲んだ。それを見たみんなはいっせいに盗賊たちを襲おうとしたが、父が
「穏便に済ませろ。もしかしたら知らせ役がいるかもしれない。」
と言った。その言葉を理解したのか、最初にみんなは盗賊のいた崖の上から捜索を始めた。そこには知らせ役がいなかったため、早速盗賊たちに攻撃を始める。その時、父に
「商人を抱えて近くの安全な所へ」
と言われた。盗賊が商人に向かって剣を振り下ろしたその時、僕は走りながら商人を抱えまた走った。勿論、出来るだけ速く。盗賊は剣を振り下ろしきったが、その剣は誰にも当たらず、ただ空を切るだけだった。
「あれ?あいつ、どこいった?」
と僕が商人を抱えて離れたことに気付かず、辺りを見渡している。
その隙にみんなが攻撃を仕掛ける。といっても出来るだけ穏便に済ませるようにしているため、盗賊が一人ずつ倒れていっても、盗賊全員に疑問と焦りの表情が顔に出ている。
そのため、盗賊の統制もままならず、あっさり倒されてしまった。
「あ、ありがとうございます!!」
商人が盗賊が倒されたことに気付き、お礼を言ってくれた。
「我々はフルファンテです。賊共の狩りを依頼されここへ来ました。ですので、出来るだけ早く王国の中へ。」
ネビアが冷静に対処し、商人を安全な場所へと誘導した。
「さて、次だ。」
そうして次の場所へ行くとき
「ピイイィィィ!!!」
甲高い笛の音が響く。音のした方向を見るとそこには知らせ役と思われる男が一人、木の上で笛を鳴らしていた。
父がそれに気づき、すぐさま攻撃し、賊を木から落とすことはできたのだが、笛の音を聞きつけた多くの盗賊がこちらへ走ってくる姿が遠くから見えた。その数はおよそ200。
「ヴェント!今から乱戦になると思う!今ここで帰るか、戦うかどっちか選べ!」
父がそんな言葉を放った。僕も戦った方が負担が減るかもしれない。でも戦ったことがない子供に人殺しなんて、すぐにできるわけがない。そう思ってそんな言葉を放ったのだろう。
「父さん、僕は戦うよ。」
でも僕は戦うことを決めた。ここで逃げたら、フルファンテに入った意味があるのか。姉に「弱虫」と罵られるんじゃないのか。そして、僕が何もできずにみんながここで死ぬかもしれない。
僕は並みの人なら確認できないくらいの速さで走ることができる。だから、乱戦状態になる前に突っ込んで出来るだけ向かってくる盗賊を減らしたらいいんじゃないのか。そう考えて行動に移ろうとしたけど、出来なかった。怖かったからじゃない。気づいたらその通りに体が動いていたから。
みんなが必死に呼び止めてる。
・・・ええい!もうどうにでもなれー!!
そう考えた僕は盗賊達の方へ全速力で突っ込み、盗賊の間をすり抜けながら、盗賊の胴の部分に短剣を添えて斬る。速かったことも相まって盗賊たちは切れ味のいい包丁でトマトをきれいに切るようになる。
そう思っていた。でも、違った。短剣は耐久力と衝撃吸収を重視しているため切れ味がよくない。
僕はその切れ味がどれくらいかが分からなかった。まさかこれほどとは………
短剣は盗賊の胴に軽く傷が入る程度で、後は打撃として思いっきり空へ吹っ飛んでいった。
幸いにも盗賊から血が思いっきり出ることもなかったので、吐いたりしなくてよかった。
少し──と言っても僕にとっては盗賊の間を全部すり抜けた後だ。そのころにはもう盗賊は殆ど倒れこんでいた。残った盗賊は他の盗賊が吹っ飛んでいることにいち早く反応し、僕の攻撃を防いだ人や、防いだ人に守られた人しかいない。でも1人を除いて。その1人には何度も攻撃したけど、攻撃を受けても倒れないし、最後の一撃だけ躱された。その人は、盗賊の中でもひときわ大きく、全身に高価そうなペンダントなどの装飾品や宝石を身に着けている。それだけでなく、ベルト部分に人の指と思われる骨が何本もあった。きもっ。
盗賊を蹴散らしたのは本当に少しの事だったので、みんなはここに着いていない。200人くらい見えたとか言ってたけど、あれは僕の視力の問題だ。きっと1キロ程離れていたのだろう。
「俺の盗賊団をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ。褒めてやる。だがこのオッソ・インタリアル様は殺せないと思え!!」
そう言ったオッソという盗賊の頭?っぽい人と戦うことになった。別に逃げてもいいんだけど、姉にバレたら良くないことが起こりそうなので、逃げないことにする。
オッソは大型の人系統の魔物であるオークなどが持つような大斧を持っていた。僕は攻撃を(僕の中では)ゆっくりと避けて反撃に出る。でもオッソも考えなしに振り下ろしたわけじゃなく、生き残った盗賊に指示を出していたのか、僕にナイフをいくつか投げさせ僕の攻撃を防御に徹しさせた。僕が防御したとき、大斧が水平に振られた。僕はしゃがんで避けようとしたが、ナイフのせいでしゃがめず、短剣でガードした。
斧の威力はすさまじく、受け止めた時、少し遠くへ吹っ飛ばされた。
でも逆に好都合だ。僕はすぐに全速力で走りだしオッソへと向かう。しかしオッソは不敵な笑みを浮かべ、大斧を盾代わりに使い、
「そんな速度で走ったらまっすぐしか進めないだろ!来い!!斧でつぶしてやる!」
と言った。僕は走りながらジグザグに動けるが、全速力では1度もジグザグに動いたことがない。こんな場面で1度もやったことのない動きをするわけにもいかないので、僕はこの仕事が来るまでに考えた技をする。
「ジラーレ・カ・デーレ!!」
と技名を口に出す。意味は「回って転ぶ」。つまり「回転」だ。と言っても意味としては少しずれるが、誰も直訳の意味なんて気にしないだろう。
ジラーレ・カ・デーレは、技の意味通り、回転しながら突撃する技。元々は突きで攻撃が通らない表面が硬い相手の柔い部分へ攻撃するために考えたけど、短剣が「斬撃」より「打撃」に近いと思うので、硬い部分の破壊に使う技とした。
僕は手前で踏み込み回転を加えながら跳ぶ。そして短剣を進行方向へ向け思いっきり回転する。短剣は衝撃を吸収してくれるので手は痛くならない。これならまっすぐ進みながら攻撃しているので、無理な方向転換もせず最高速度のまま攻撃できる。——と言っても結構練習したから最高速度で出せるだけなんだけど。
そして僕の行った攻撃はオッソの大斧にはヒビが入り、ついに割れたのだった。
技名をかっこよくするために色々調べるんですけど、その時に翻訳で別言語から情報を得て技名を考えるんですよ。あ!元ネタの言語分かっても絶対に言わないでくださいよ!!で、ヴェントのジラーレ・カ・デーレなんですけど、回って転ぶを元ネタの言語でやると全然言葉が違ったんで「回る」と「転ぶ」から考えたんですよ~だから元ネタ分かって技名の言語をそれっぽく変えても意味が伝わりにくいものが多いので、元ネタの言語は探さない方がおすすめです。多分。
一応、技の元の意味の説明はルビを入れたり、説明させたりして分かりやすくしますので、元ネタの言語は探さないでください。お願いします。