第二十五話(前) 僕は先輩に勝ちたい
この作品を中心に見てくれていた方へ、本当にゴメンナサイ。約1ヶ月ぶりの投稿となりました。
この作品を書くのが久々すぎて少し変になっているかもしれません。間違っているところがあったら、指摘してください。
「―――ト!!――ント!!」
何か声が聞こえる。僕を呼んでいるように聞こえるが、鮮明に聞こえない。
「―ェント!!ヴェント!!」
何回も呼ばれ目が覚めた。そこには母がいる。
「母さん、どうしたの?」
「どうしたも何も、あなたの試合が始まるのよ!!」
「何言ってるの?母さん、試合は明日でしょ?」
「今日だよ!!ヴェントあなた昨日の昼から1日分寝てたのよ!!」
母はそう言いながら時計の方を指差す。そこにはお昼時を示す時計の針があったのだ。
「あと5分よ!!早くしなさい!!ほら、軽食に着替えに一応体も拭いて!!」
母は過保護によるせいか、ここら辺は本当に一瞬で終わらせる。
そうして準備が終わった途端、母に部屋から連れ出され、会場に繋がる直線状の通路から投げ出された。
受け身はとったものの大量の土煙が舞い、会場はザワついている。
『さ、さぁ始まりました!!二日目の初戦!!対戦カードは、学園屈指の剣使いコレレ・ホーグルの弟であり、フルファンテ所属のヴェント・ホーグル対同じくフルファンテ所属のフェルメッツァ・フォンダメントォォ!!!さぁ、二日目初戦から大波乱の予感!!どちらを応援しても構いませんよォ!!勝っても負けても泣いても笑っても結果は変わらないこの大会!!勝利を手にするのはァ、いったいどっちなんだァァァァァァアァァアアァァァ!!!!』
実況が僕とフェルメッツァが対戦することを説明したが、すこしおかしい。自分が戦う人のトーナメントを見ていないとはいえ、フルファンテの人同士初戦でぶつからないようにしたんじゃないのか?
「ヴェント、今回は俺の個人的な感情で学園にお願いしたら、オッケーしてくれたんだ。そのためにも、全力でぶつかってくれなきゃ困るぜ。」
犯人いたわ。こいつのせいだわ。
まぁ、ともかく戦うことには変わりないし、僕は剣を構える。
『それでは、スタァートォォ!!!!』
実況の合図とともに試合が始まる。
「針山ェェ!!」
フェルメッツァが大剣を地面にぶっ刺し攻撃を始める。地面から大量の針が出て来てこちらへ向かってくる。
僕はその攻撃を走って範囲から逃れる。ただそれはフェルメッツァにバレていたようで、
「大車輪!!!」
体を回転させ範囲的な攻撃をする。
走っていたので何とか範囲外に逃げれたが、自分から攻撃する手段が現状ないともいえるだろう。
そこで僕は色々考える。
僕のハンデは「魔力制限」。特段魔力を使うわけでもないし、そもそも人並みしか魔力はないからね。
フェルメッツァのハンデは「重り」。なんでも、筋トレになるかららしい……
ハンデを考えてみたけど、フェルメッツァが今までとほとんど動きが変わっていないので、対策する手段がやはりない。一回攻撃してみてから考えるか。
「イントレッシオ・セスト!!」
フェルメッツァの体の周りに吸い付くように何度も攻撃する。フェルメッツァも対応こそしているものの、いつもより細かい動きが出来ず、何発か攻撃を受けている。
おそらく重りによる影響だ。
重りは手首と足首につけられている。その位置が悪影響となって柔軟な動きが出来ないのだろう。
「おッ、なんか目つきが変わったな。いいぜぇヴェント!!それでこそ燃えるもんだ!」
フェルメッツァは自分から攻撃を仕掛けるために僕に突撃してくる。さっきとは比べ物にならない速さで剣を振り重く速い一撃を何度も何度も撃ちこんでくる。
「ジェルモグ・チューディ!!」
結構前に考えたけど使うタイミングがなかった技。意味は「閉じる蕾」。周りからの攻撃をいなしつつ、剣筋を一点に集め攻撃する技。
フェルメッツァは攻撃していたせいで小回りが利かず、胴の部分にダメージを負わせることが出来た。
「いいじゃねぇか!!だが、まだまだだ!!!」
フェルメッツァは大剣を横に振り、僕に当てる。受けることはできても、衝撃は0にできず、壁に激突してしまった。
「痛った!!」
痛い。背中に強い衝撃を喰らったせいでビリビリする。
とりあえずさらに攻撃を加えるため、壁を蹴りだし加速する。
「直線的な動きは、俺の餌食だぜぇ!!」
フェルメッツァは大剣を構える。でも僕はそれを避けるための策を見つけた。
「ガルツィエ・ムーデ!!」
新しく身に着けた技。魔力を消費して蹴るための壁を作る。風魔法で強制的に空気の壁を作り、そこを蹴り込むことで空中での移動性能を上げ、多彩な動きを可能にしたのだ。
とは言っても、魔力消費がそれなりに多いので連発はできないし、魔法にまだ慣れ切っていないのもあって、空気抵抗を無くすための魔法と同時に使えないので、移動速度がガタ落ちする。
「そこだッ!!」
それでも移動速度が落ちるのは空気の壁がある時だけなので、空気の壁を蹴った後にすぐ空気抵抗を消す魔法を作れば移動速度を安定させられるのだ。
僕はフェルメッツァを陽動しつつ背後に周り、攻撃を仕掛ける。
一撃は通ったものの、すぐに反応される。
「蜘蛛の巣斬り!!」
周囲を破壊され僕が体勢を崩すと、続け様に
「鍾乳石の籠!!」
土を操り、逃げられなくする。
「それだけ狭けりゃ、自慢の速さも生かせねぇだろ!!このまま終わらせるから待ってろ!!」
フェルメッツァは勝ったと言わんばかりに勝つための大技を準備している。だが、
「いいや、勝つ方法はある!」
僕には勝つ方法がある。
フェルメッツァによって作られた籠は狭いが動けない程ではない。ここでひたすらに回転する。回転する速さが上がれば、与える力も大きくなる。
ただ、攻撃する際に距離感を見誤って腕を破壊したくはないので、逆手に持ち、衝撃に備える。
僕は少しずつ、傘を広げていくように籠の部分に刃を通し、削っていく。かなりの音がするけど、持っている武器はあの時もらった短剣。そう簡単に壊れる物ではない。
「オラアアアア!!!!」
声を上げてひたすら回転する。世界が傾きワングワンしてきて、体の中から何かが出てきそうになっても、ひたすらに回る。その時、バキイィィンという音と共に、籠が崩れる。
「オエッ」
中から何かが出てきそうになったけど、耐える。一回深呼吸して整えよう。
「いいじゃねぇか。ヴェント。それでこそフルファンテにいる価値があるんだ。」
フェルメッツァは感心したかのように見物し少し待機する。倒れている僕より、真剣に戦った僕を打ち倒した方が得られる気持ちが大きいのだろう。
「もう大丈夫か?」
僕は頷く。
「それじゃあ、続きの始まりだ!!」
フェルメッツァとの戦いは1話で終わらせようとしたけど、想像以上に白熱したので、次の話に続けて書いていきます。




