第十七話 僕は訓練で勝ちたい
ラフィアンの人が出てくる匂わせしてますが、今回出せません。
次出てくる人は方向音痴なので、出てくるのに時間がかかっているだけです。
そういうことにしといてください。 (逃げてるだけ)
ピアナラが見せた近接戦闘用の技。見ただけでは分からないし攻撃方法も予想だけで向かって行ったらいつも彼女に予想外の行動をされてピンチになる。敵として戦うなら結構厄介な存在なのだろう。……味方だからいいけど。
とはいっても僕はどうやって彼女の攻撃手段を知れるのか。……うん。分からない。とりあえず突っ込んで様子見すればいいや。
ピアナラを見つけた時に驚いてしまい集中が切れていたのでもう一度集中する。
せっかくだしこの深呼吸にも技名を付けておこう。いつもやっていることなのにそれよりも回数が少ない技たちがあるからなんか可哀そうに感じるし。
えっとどうしよっかな~。この言葉をこうして…………こう並べて……ここに一工夫加えたら~。
よし!できた!
「ゴスクエッツァ。」
意味は「意識落とし」。元の意味からかなり改造したから結構離れているはず。単に集中するだけだけど、いざ言ってみた後に深呼吸してみると、いつもしていた深呼吸よりももっと深く、集中できた気がする。
「ハアッ!!」
ピアナラの叫ぶ声と同時に彼女の体に巻き付いている根から何本か伸び出して僕の方へと向かってきた。いつも見ている景色よりも遅い。少し物の動きに意識するだけでその物が止まるように見えるほどだ。僕が踏み込んでピアナラの方へ向かった時も彼女の攻撃なんて元々攻撃なんてしていないくらいに等しい。それに加えて彼女も僕の動きに反応してすらいない。試しに目の前で止まってみても、まだ反応しない。
せっかくのチャンスなので、彼女の纏っている枝や根を切り離して、さっさと僕が勝っておこう。
動きが止まって見えても加えることのできる力が変わったわけじゃないので僕は一度距離を取った後、走り込み彼女の根を切り離す。——切り離すといっても引き千切るの方が正しいかもしれないな。
僕は走り込み枝か根を短剣に引っ掛け千切る。そのまま奥まで走り抜け、もう一度攻撃を仕掛けようとすると、攻撃した部分から新しく枝と根が生え根を纏った時のようにまた無理矢理にまとめて纏った。
「どう?アタシの新技。あんたの動きに反応できなくても守ることくらいならできる。」
彼女は言葉だけでは余裕そうに感じるが枝や根の隙間から見える顔には魔法の酷使によるものだと思われる疲れと、僕の攻撃に全く反応できてないことによるものと思われる焦りが見えていた。
普通の人なら5メートルほど離れたこの場所から根や枝の隙間からピアナラの顔が見えるほどの距離じゃない。でもホーグル家は視力はいい方だ。ましてや眼と身体能力に関しては1番と言われる程の僕の眼からはその根は、無いに等しい程に視える。きっと彼女も見られていないと思って少し安心しているのだろう。
でもその疲れと焦りが見えるということはこの状態は長く続かないはずだ。
僕は彼女の纏っている枝と根を突破するためもう一度向かう。
こういった纏っている装備は一点突破でやるのが最も壊しやすい。なぜなら力が蓄積されるからだ。でもピアナラの纏っている枝や根は傷つくと枝と根を生やし無理矢理に修復する。そこでうまく逃げられなければ捕まって負けになる。
かといって横に抜けるように攻撃をすると方向転換の隙に傷つけた部分は治ってしまうだろう。
ここで僕がとるべき方法は1つ。それは正面突破!今の僕の速さと反応速度なら根が治ってきても回避できる。
僕はさっきよりも距離を離し胴に巻き付いている枝や根目掛けて攻撃を仕掛ける。
僕はここではジラーレ・カ・デーレを使わない。一点突破にはこの技がいいかもしれないが空中に浮いている時間があるため回避に時間がかかる。だから僕は短剣の基本の技である「連撃」をすることで好きなタイミングで回避できるようにする。
でも「連撃」することはあまり良くない。なぜなら僕の攻撃方法と相性が悪いからだ。
僕の攻撃は「速さ」から力を得て一撃を叩き込む。つまり「連撃」に力が乗るのは最初に攻撃する右手の短剣と左手の短剣だけ——2回だけだ。
「ハアアアッ!!」
僕は攻撃の時に叫び声をあげたと思う。だって動いてなきゃ力が乗らないから自分でどうにかするしかないもん。
でも僕は上半身の訓練もしていたおかげでそれなりに威力があり根は少し削れている。
10回程短剣を振ると、修復のために根と枝が生えた。流石に同じ場所で攻撃したのに気付かれたのか、修復用とは別の根を結構な量生やして伸ばし攻撃してきた。でも今の僕では少しだけでも動きに意識すれば止まって見える。
しばらく攻撃が止まなかったが僕がずっと回避しているのを見てか
「これで……最後よ。」
とピアナラが言った。話し方もかなり息切れしており結構疲れているように見える。
「絡木纏蛇……!」
そう言い放った彼女は纏っていた枝と根を全て放った。かなり無理矢理に詰め込んだのか、爆発にも近い規模で植物が広がりその枝と根が全て僕の方へと向かってきた。
その量は数えきれないくらいであり目の前にある枝や根だけでも100は超えているだろう。
それが僕の前から横、後ろ、上に至るまで全体から攻撃を仕掛けている。
練習場では致命傷を受けても、死なないようになっているので、相手の怪我など一切気にせず戦うことが出来る。でもこれは流石に多すぎじゃない?
かといって多すぎだからと諦めるわけにはいかない。
ピアナラはかなり疲れているのか、魔法にもその疲れが影響している。よく見ると枝や根の速度がそれぞれ違ったり隙間が見えたりする。
隙間を無理やりこじ開けるにはちょっと距離が足りなくて力を出し切れないので、避けることにする。
そして出来るかは分からないけど、その場の思い付きでできそうな作戦を実行することにした。
集中——!
僕は少しだけ先に来た枝か根を踏み少し跳ぶ。そして跳んだ時に少し回転し出来る限りの枝と根の軌道を逸らす。そして胴体部分に来た枝か根を上からの振り下ろしで軌道を変え他の枝や根にぶつける。
そうやって繰り返しているうちに空いている隙間は人1人分——つまり僕の分しか隙間がなくなってしまった。
もうだめだ。そう思っていた時、僕の作戦は成功した。
僕が軌道を逸らしたのは避けるため攻撃を弾くためじゃない。空いている隙間に根か枝を差し込んで止める作戦だ。
といってもそこまで正確に隙間に刺せたわけじゃないので何本かは少しだけ進んでしまい、尖った部分が皮膚に刺さって痛い。
「おーい、出してくれー。」
僕がその声を出すと、枝や根は少し力なく小さくなり、無くなった。
「ハァ。まさか生き残ったとはね。あそこからさらに攻撃できればよかったけど、魔力が切れちゃった。」
ピアナラはかなり疲れていて、僕が出られた時にはもう横になっていた。
「じゃあ、僕の勝ちでいい?」
「……本当は譲りたくないけど……いいよ。」
ここで戦闘が終わったことになったのか、ピアナラはいつも?の落ち着いた話し方に戻って?いる。
もうどっちがいつもの話し方かが分からない……。
ピアナラが魔力切れしたことと、訓練の時間が結構経って夕方になったこともあったので解散することになった。
解散してから5分後、僕たちより先に仕事を見つけていたフェルメッツァ達が帰ってきた。
仕事のことを嬉々と報告していたが仕事に行けなかったピアナラがブチギレした。といっても半分起きるのが遅かったせいで!とか昨日本を読みすぎたせいで!とかほぼ自分を責めるような内容だった。内容と怒りの矛先が違うこともあってか、誰もどう反応すればいいか分からず目を点にしていた。
時間も夕方頃に加え、仕事帰りなことと、僕とピアナラは訓練していたこともあってみんなの腹が一斉に鳴っていた。
僕もだけど……何でご飯の時間だけみんな正確なの?
今日の夕飯はいつもとあまり変わらない献立だったけど、その日だけはなぜかみんなと食べるご飯がとてもおいしく感じた。
ピアナラの攻撃って枝と根なので、表現が「枝と根」「枝や根」「枝か根」という感じで似ている使い分けが多く、ちょっと辛かったです。どっかの雑草(もう1つの作品)みたいに根だけ使ってくれればいいのにッ!!




