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第一話 僕は姉を超えたい

 私が書く2作目の小説です。1作目の「雑草ライフ」は1話1話を読みやすくしていますが、今作は1話1話の内容を濃くしてみようと考えています。気になっていただけたら「雑草ライフ」の方も見ていってください。

「速さ=強さ ~常に最高速で動けば相手は簡単に倒せるんです~」をどうぞよろしくお願いいたします。

 アイニツィオ歴497年、アプリル週、26日———


 この日僕、ヴェント・ホーグルが生まれた。

 ホーグル家は狩猟や魔物討伐の名家である。代々ホーグル家は動体視力や瞬発力、反応速度が桁違いに速く、おまけに風魔法の扱いも長けている。そのため、逃げ回る動物や魔物を大量に狩ることができるのだ。

 そんな中僕は、これまでのホーグル家の中でも、動体視力、瞬発力、反応速度が速いという良い体に巡り合えたのだが、逆に風魔法が弱く、木に生えている枯れ葉を少し飛ばす程度しか強くない。

 そして僕の5歳上の姉、コレレ・ホーグルは今のホーグル家の特徴が高水準であるということ。つまり僕程ではないが動体視力、瞬発力、反応速度が速く、風魔法の扱いにも長けている。そのため僕は小さい頃は姉に勝負を仕掛けてはボロボロに負けていた。その時、僕の母であるヴォラーレ・ホーグルと、父であるテンペスタ・ホーグルは

「かわいい子供たちだ。」

と言って面白がってみていたそうだ。数年たっても勝負して勝てない僕は、姉との勝負を面白そうに見ている父と母に気付き、姉に勝つための方法を聞くために強くなるための秘訣を聞いた。すると父は、

「お前は風魔法がそれほど得意ではない。だからお前は素早く動くことだけを考えろ。明日から、私と特訓しよう。」

 そういって父との訓練が始まった。僕は負けず嫌いだ。だから、姉に勝つためならば、例えこの訓練が辛くても絶対に逃げない!そしてもう一つ、僕は賢い!(自称)恐らく姉ならこの訓練は簡単にこなせるだろう。だから、父の訓練が屁と思えるほど体を鍛えなければいけない!

 最初の訓練は、父の手のどちらかから球が落ちるのでそれをいかに速くとるか。というものだ。流石に簡単だったので3日ほどで次の訓練へと移った。だが僕はもっと鍛えるべきだと判断した。だから、家の近くにある川によくいる小魚を捕まえようと考えた。小魚は動かなければ近づき、少しでも動けば逃げて行ってしまう。つまり動いていない状態からいかに速く動き魚を捕まえられるかがポイントだ。そしてセッテンブレ週、つまり秋に入ったこともあり川の水は冷たい。寒くなると、人は動きが鈍くなる。つまり訓練にはもってこいの時期なのだ。この訓練は夜遅くまでやるつもりだったけど、親を心配させるわけにはいかないので、日が沈むころには訓練をやめる。そして、父との2つ目の訓練が始まった。内容は山を全速力で下ること。

 最初は何度も木に当たり、怪我をして逃げ出そうとしたが、訓練しているのは家族全員が知っているので、逃げたことが姉にばれたら

「私に勝ちたいくせにかつ手段を放棄した?ほんっとアンタって弱虫ね。」

 とか絶対言ってくる!嫌だ!僕より弱い相手ならまだしも、いまだにボロボロに負けている姉に言われたら反抗してもフルボッコされるまでがオチだ!絶対にこの訓練は諦められない!

 そうして僕は、気合と根性で1ヶ月ほどで終わらせることができた。だがしかし!父は僕の数倍スムーズに山を行き来している!つまり僕よりも何倍も速いということ……


 決めた。この訓練はもっと継続してやるべきだ。魚を捕まえる訓練の前に何度かやるようにしておこう。そして次の訓練に移るとき、父にこれが最後の訓練であり、最もキツイ訓練だと言われた。


 だが、ここまで訓練したのに諦めたら姉にボロクソ言われるので、諦めるわけにはいかない。最後の訓練は、50キロを走るという訓練だ。と言っても途中父が枝で小突いてくるので、それを避けたり、父と一緒に走り、追い抜かさないといけないというもの。これがかなり辛く、半年経っても安定した走りができるのは30キロほどだ。この間にはもう、魚は最初から動いて逃げられても捕まえられるほど瞬発力が上がり、山を下ることも、全力で走ることと何ら変わらない速度で走ることができるようになった。


 つまり今僕に足りないものは、集中力、体力、そして走る速度である。今のままでも十分いいのだが、姉も動体視力がいいのでこのままでは見えてしまい、せっかく速くなった意味がなくなってしまう。だから僕は父との訓練が終わった後もひたすら走り続けた。といっても避けるものがないので、手足に重りを付けて走るようにした。


 そして半年が経ち8歳になった時、僕は50キロを疲れることなく走ることができるようになった。だが僕はここで満足していない。今僕が課題に挙げていることはこの3つだ。


・姉もこの訓練をクリアできると思われる

・今の速度では姉は目で追うことができ、反応することができる

・父の訓練がまだ、屁だと思える程簡単にこなせない


 せっかくなら姉に着々と実力差を埋めて勝つよりも、最初から僕の方が強くなって姉をギャフンと言わせたい。ということで僕は今までの訓練をより激しく、辛いものへと変えた。

 魚を捕まえる訓練をザザラという小さくてすばしっこい虫を捕まえる訓練にした。そして手足には重りをつけ、集中力を高めるためにその日の朝食、昼食、夕食の献立とレシピを覚えて唱えながら捕まえる訓練へと変更した。山を上り下りする訓練も、反応速度や瞬発力を上げるため、手足に重りを付け、山に住んでいる動物の中で最も速いレプレと言われる耳の長い動物を捕まえる訓練へと変えた。走り込みの訓練も、100キロを1時間で疲れることなく、走り切れるようにしたい。また、できるのならば30分、いや10分まで短縮できるようにしたい。

 そうしてこのことを父にだけ説明した。母や姉に言ったら、母は姉に全員に言ってしまうだろうし姉に言ったらそれはただの馬鹿だ。とにかく、作戦的なのがばれて姉が鍛えてしまうだろう。そうしないために父にこのことを他の人に話さないようにしてもらったうえで、訓練の内容を伝えた。すると父は

「力は質量と速さを掛け算して強くなる。質量と速さが違うものでも、掛け算した合計が同じなら同じ力になる。だから強くなるために重いものを持って速くなくても力が強くなるようにする。でも重いものを持って力を強くしても動きが鈍くなるだけだ。でも、速さを上げることができるのなら、たとえ質量が軽くても重いものを持った時と同じ力が出るんだ。そして、ホーグル家は、速さを重視した戦い方を好む。だからヴェント、この訓練法でひたすらに速くなりなさい。私はヴェントを応援してますよ。」

 きっとすごいことを言ってくれたのだろうけど、僕にはまだ早い話だ。でも、父はこの訓練じゃ足りないということを伝えたかったのだろう。でも今はそれほど速くない。まずはこの訓練をこなすことから始めよう!


 この訓練を始めてから2年経ち、10歳になる年齢の時、僕は今までの訓練をマスターすることに成功した。ザザラは見つけ次第すぐに捕まえられるし、その時喋っていたご飯の献立、作り方も覚えたのでご飯だって自分で作れるだろう。レプレも簡単に捕まえることができる。100キロも30分となりこの速さは父曰く、時速200キロとなっている。でも、父はこれじゃ足りないといっていることをまだ覚えている。そうして次の訓練を考えているとき、かなりやばい情報が僕の耳に入ったのだ。そう、姉が15歳になったうえ、体術や風魔法の才が認められ中央都市の学園へと行くのだった。まずい、このままでは姉がさらに強くなってしまう!

 「速さ=強さ ~常に最高速で動けば相手は簡単に倒せるんです~」を読んでいただきありがとうございます。今のところ略称は考えていませんので、題名のまま書いていくつもりです。

 これからもどんどん書いていきますが、気づかない間に誤字・脱字、表現の間違いがあるかもしれないのでその場合は報告をお願いします。

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