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雨上がりの師弟

作者: モーニングあんこ

雨だから楽できると思ったら雨になるとはしゃぐ奴らってなんなん?あーもー泥だらけじゃないか。なんで僕にばかり仕事押し付けんの?あー寒い。帰りにいつものあの店に行こ

副キャプテンこれも洗っといて。先帰るわ。


僕は、高2でサッカー部の副キャプテン。卒業後の事はまだ未定。同級生たちは、大学やプロを目指すとか言ってる。僕にはそこまでの才能があるとは思えない。


部活帰りにいつもの店に寄る。

「ぃらっしゃい」

走った後だから腹減ってる。アツアツのアレを食べないと気が休まらない。


「大盛りで」

「あいよ。ソースは、自分でやってな」

「うん。マヨもお願いね」

「あいよ」

寡黙な主人。

「兄ちゃんサッカーやってんのか?」

珍しく声をかけられた。でもなぜサッカー部だと?

「なんで分かるんですか?」

「暑苦しくないからや。運動部の割にはシュッとしてるしな」

シュッと?なんだろ。

「店長さんもサッカーしてたりするんですか?」

「まぁな。コレをする前はやってた。きっと丸いもんが好きなんやろな」

まぁ丸いけど。けどなんで?

「ポジションは?どこですか?」

「ポジションは、左のサイドや」

「運動量凄そうですね」

「せやから辞めたんや。走るのシンドイし」

は?

「それに地味やしな」

は?

「まぁ今は、助手席が特等席や」

は?

「店長さんは、なんでサッカーしてたんすか?」

「そりゃモテるからに決まってるやろ」

なぜ髪をかきあげる。

「それでモテたんですか?」

「おうよ!メチャメチャモテたで」

「それは凄い」

走るの嫌なのに凄いな。

「じゃあなんで辞めたんですか?」

「せやから走るのシンドイ言うてるやろ」

「モテモテなのに?」

「練習ではモテんねん。試合だとライン割りすぎてしもてな」

「それで交代させられるんですね」

「いや、代わりはおらん。みんな走りたないから全部ワシに押し付けんねん。みんなコントロール悪いし必死でカバーしようとするけど」

「それって店長さんが悪いんやないと」

「せやけど、一番モテるキャプテンがヘタなのばれたらワシのモテ期も終わるやろ。せやからワシは」

かわいそ。

「何年生で辞めたんですか?」

「高3の夏にな」

「それ、普通じゃないですか?」

返事はない。寡黙な主人に戻る。


「ほれ、大盛りだ。つ・い・で・に」

4つもまけてくれた!やった!

「ありがとう店長さん」

「ああ」

鰹節が踊る。そこへソースとマヨネーズをかけて。ふーふー。息をかけて冷ます。

「いただきます」

アツアツのたこ焼き。美味しい。中がアツアツで外をなんぼ冷やしてもアツアツは変わらない。あー今日も上あごヤケド決定だな。タコの身がしっかりとしてて噛みごたえある。このタコが食べたくて通ってる。

「ほれ、水だ。飲みな」

返事が出来ない。うんうんと頷きたこ焼きと格闘。あまり深く頷くとたこ焼きがポジションチェンジしてしまう。かと言ってすぐに水飲んだらこの美味しいたこ焼きの味を薄めてしまう!たこ焼きとの異種格闘技そのものだ。

「はふはふ」

「美味そうに食ってくれるな。その調子でそこで食っててくれ。あー出来ればあっち見ながらな」

なんか分かんないけど褒められた。今は異種格闘技戦で忙しい。たこ焼きに食うか食われるか。言われたとおりにする。

「はふはふ」



「ぃらしゃいやせー」

僕がたこ焼きとの異種格闘技戦で戦っている間に、コップが遠ざかる。ちょっ!

「お待たせ。600万円いただきましたー」

なに八百屋のおじさんみたいなことを

「はふはふ」

「兄ちゃん猫舌なのになんでひと口いくん?」

「はふ、はふ」

「ふんふん。ほぅか」

「はふ。はふ」

「なるほどな」

「はふ」

「わかったこう言う事やろ。美味いから」

なぜか通じた。


お客さんが途絶えて店長さん出てきた。

サッカーボール片手に。なんで?

「リフティングだけは上手いんや」

ほんとだオットセイみたいだ。

「はふはふ」

店長さんがこっち見た。

パスされた。待ってまだ食べてるから!

「はふはふはふー」

あっ。口の中の熱さが少し和らいだかも。

「それな。鼻から熱を流すんや。鼻から吸って口から出す。これだと口の中の熱が逃げにくい。鼻から出しな。すると香りもいいから」

ほんとだ。たこ焼きの香りが鼻から抜けて口の中の熱さがいくらか和らげる。

「なー勢いよく食べた割にまだ一個って遅ない?他だいぶ冷えてるんとちゃうか?」

「はふはふ」

何も言えてない。惜しいけど水で流す。

「味わいたいのもあるので」

「他が冷えたら美味しくないやろ?」

「大丈夫です。中はいつまでもアツアツですから」

「兄ちゃんはな」

「僕もっと上手くなりたい」

「たこ焼き食べるのをか?」

「違います!サッカー」

「あーそっちか。シュッと打てばええんや」

シュッと。またシュッと。

「シュッと打ってバーンとやな。ほんで、ダダダダといってバシっと決めたらええ」

わかりません。

「もぐもぐ」

「わからんか?そこの壁つこて教えたる。こうやって来たらこうすんねん。で、シュッと抜け出てサッと引くんや。するとこう来るやろ?そしたら、ダダダダのドーンや。簡単やろ?」

わからん。壁となんか話とる。

たこ焼きを蓋して店長さんに挑む。

「おっ!やるか?いいぞ。そう!いいね!そう来るとしたらこうすんねん」

なんか上手い。なんで?

「兄ちゃんスジがいいな。まだまだ上手くなるで」

褒められた。

「店長さんの名前なんて言うんです?」

「ワシか?ワシは看板に書いてる名前や」

そういえばなんて名前の店だっけ。

「アラメゾンデカンパーニユ」

「それ向こうのパン屋な。そこにあるやろ看板が」

「来夢来人」

「それスナックの看板な。そこのそれや!」

「高収入を目指そう!男性募集」

「それHなポスターな。高校生は応募するなよ。どんだけボケんねん。コレやコレ。もう指差したるわ」

「宮タコひろゆき」

店の名前フルネーム!?

「ワシは、宮タコ言うんや。皆なからは、宮タコ兄さんと呼ばれてる。君は?」

「僕は、高2で副キャプテンしてる仏原とおると言います。みんなからは、ホトケのホトちゃんと呼ばれてます」

「優しそうやもんな」

「いえ、名前からです」

「優しそうやしシュッとしてる」




そして高校卒業後、バイトをして生活。いつものたこ焼き屋で。

店名も変わり「アメタコ」になった。

近所の人からは、「アメターーコ」と呼ばれてる。


僕と店長の掛け合いが面白いと人気になった。

あの日までは。決して。


夢のお告げで書きました。胸が苦しくて寝たらこんな夢を。なんで解散したん!


夢の中で、宮タコ兄さんが出て来てそこから話作れないかなと考えてたらホトケのホトちゃんが出てきた。あーこれ、もうそれやん。

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