対策会議その二
俺、山神柚希。昨日の土曜日は結局お昼食べてからは瞳さんとイチャイチャして終わってしまった。
今日も午前十時には瞳さんの家に行く為、午前八時に起きて朝食を摂っていると
「柚希、上坂さんと相談した?」
「うん、一緒に入れないかだって」
「そう、良いわよ。月曜日の放課後生徒会室に来て」
「分かった」
入る事を受けたけど大丈夫なのだろうか。姉ちゃんは簡単な事と言っていたけど実際は分からない。でも瞳さんと一緒ならいいか。
約束通り、瞳さんの家に行って玄関のインタフォンを鳴らすと
ガチャ。
「柚希、いらっしゃい。さっ、入って」
俺は何も言わずにそのまま玄関に入ると
えっ!
「いらっしゃい。山神さん」
「お、おはようございます」
なんと瞳さんのお母さんが上がり口に立っていた。じっと俺の事を見ている。頭の天辺から足の指先まで俺の体、心の中を見抜こうとするように。俺はただ体が動けないままにそこに立っていた。何秒か何分か知らないけど。
「柚希、私の部屋に行こう」
「は、はい」
何かお母さんが言いたそうな顔をしていたけど、瞳さんの声で直ぐに二階に上がった。助かった。部屋に入ると
「柚希、ごめんね。お母さん、今日は午前中家にいるのよ。午後からは出かけるけど」
「別に構いません。勉強ですから」
「そ、そうね」
瞳さん、何を気にしているんだろう。
昨日は午前中数学、午後から英語の予定だったが、昼食後の勉強が消えてしまった為、今日は英語を持って来た。国語は元々ある程度出来るから特に普段の勉強で良いと思っている。
「じゃあ、早速始めようか」
昨日と同じ様に瞳さんは俺の横に座っている。ちらりと見ると一年の内容とはずいぶん違う。
「どうしたの?」
「随分内容が違うと思って」
「ふふっ、二年になるとこの模試は結構重要なの。大学の志望校を決める基準の一つにもなるわ」
「大学ですか。瞳は何処を考えているの?」
俺はどこでも良いんだけど。
「まだ絞り切れていない。出来れば国公立に行きたいけど。そういう意味では柚希は何処か行きたい大学ある?」
「まで決めていません。受験の前に自分で行ける大学に行ければ程度にしか考えていないです」
「そう、じゃあ同じ大学行かない?」
「いやいや、瞳さんの頭と俺の頭では違い過ぎます」
「柚希はまだ二年有るわ。何とかなるわよ」
柚希と大学も同じ所に行ければ。ふふふっ。
俺のペンが止まると直ぐに覗き込んで来る。でもおかげで順調に勉強が進んだ。お昼頃になるとドアの外から
「瞳さん、お母さん出かけて来ます。帰るのは昨日と同じよ」
「分かりました」
玄関が閉まる音がすると
「ふふふっ、ゆ・ず・き」
いきなり俺に抱き着いて来た。
「ちょ、ちょっと待って下さい。せめて勉強範囲終わってからにしませんか」
「柚希のケチ」
どこがケチなんだ?
三十分もするとお腹が空いて来た。
「柚希お昼にしようか」
今日はカルボナーラスパを作ってくれた。とても美味しい。食べながら
「あのう、武田と渡辺さんの件なんですけど」
「それの事。うーん、私も分からないな。武田君は渡辺さんに近付きたいのよね。やはりここは武田君の努力に任せるしかないんじゃない」
「それでは、何もしていない事になるし」
渡辺って子は柚希に好意を抱いている。武田君が理由で渡辺さんが柚希と話す機会を増やす訳には行かない。ここは何とか武田君の努力だけにさせないと。
「出来ない事もあるわ。私以外の日にお昼を食べる時、呼んであげる位しかないんじゃない。だって武田君は取巻きの子をそのまま維持して渡辺さんとも付き合いたいというのは、都合良すぎる訳だし」
確かに言える。もし本当に彼が渡辺さんに好意を寄せているなら、取巻きの子を振り切ってでも俺達と一緒に食べればいいだけだ。
「分かりました。もう一度武田と話してみます」
昼食を食べ終わり食器の片付けも終わると、また部屋に戻った。瞳さんはベッドに座るとじっと俺を見ている。
俺も瞳さんの隣に座ると俺の手を取って自分の腿の上に乗せた。そっと俺の方に体を寄せて来た。そして俺の顔を見ている。身長が俺と同じ位なので顔が目の前にある。
目を閉じた。
…………。
俺の横に何も身にまとわずに目を閉じている瞳さんがいる。背中の中ほどまで伸びている艶のある黒髪、色白で胸は大きく腰は括れそしてお尻も大き過ぎず可愛い形をしている。切れ長の大きな目、長い睫毛が目を閉じていてもしっかりと上を向いている。
スッとした鼻立ちに下唇だけプルンとして可愛い。顔の輪郭がそれらのパーツを引き立てる様に描かれている。美しいとしか言いようがない。
いいのだろうか。俺も男子高校生だ。興味一杯だし気持ちいいし、こんなに綺麗な人とこんな事出来るなんて嬉しい。でも万一有ったら…。
もしそうなったら…。俺にそれだけの覚悟は有るのか。瞳さんの事は大好きと言っても過言ではない。でも心底この人の運命を背負って生きるなんて覚悟はまだ出来ていない。
もしこの人に俺の赤ちゃんがお腹の中に出来たら、俺は身に変えても守って行く心構えが有るのかと言われたら自信がない。だから…。
そんな事を思いながら髪の毛をゆっくりとすく様に撫でていると目を開けた。
「ふふっ、ゆ・ず・き」
瞳さんの柔らかい肌を思い切りくっ付けてきた。
もう午後四時を回った。
「そろそろ起きませんか?」
「うん、これで一週間の充電が出来たわ」
「一週間だけですか?」
「ううん、じゃあ三日だけ」
「いやそれは」
「嘘よ。それよりもう敬語もう止めて。私はあなたの彼女。こういう事もしている。だから同じ目線で話して」
瞳さんが週末に練習しようと言っていた事か。
「でも、中々難しいです。少しずつ直しますから」
「そうね、分かった」
彼女が顔を近づけて口付けをすると
「お母さんが返ってくる前に駅の喫茶店に行こうか。柚希もそっちのが良いでしょう」
「はい」
駅に向かいながら
「そうだ、明日の放課後、姉ちゃんから生徒会室に来てって言われています。大丈夫ですか」
「大丈夫よ。明日は柚希と一緒に帰る日でしょ。問題ないわ。私が柚希を迎えに行った後一緒に生徒会室に行きましょう」
「はい」
駅前の喫茶店で一時間位、話をしてから家に戻った。
「ただいま」
「柚希お帰り」
何故か最近姉ちゃんが、俺が帰った時玄関に来る。何故なんだ?
「柚希、瞳さんと一緒だったの?」
「うん、そうだ明日放課後一緒に生徒会室に行くから」
「分かったわ」
何故か俺の顔をじっと見るとダイニングの方に行ってしまった。何だろう?
私、山神理央。柚希は最近上坂さんとしっかりと恋人同士の様だ。家に帰って来ると彼女の匂いを体に染み込ませて来る。いやでも何をして来たか分かる。
柚希はどこまで覚悟が出来てそういう事しているのかしら。高校生だからそういう事に興味を持つのは仕方ないけど、間違わないでほしい。
生徒会の庶務は柚希一人でも良かったのだけど彼女も入りたいと言うなら仕方ない。でも彼女が生徒会に入るなら色々都合が良いかもしれない。
―――――
柚希の気持ちとても分かりますが…。ところで武田君どうなるのかな。
次回をお楽しみに
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