ネットに投稿したのは誰?
「柚希!」
「えっ?!」
いきなり上坂先輩が入って来た。お昼休み時間はまだ少しあるけど、どうしたんだろう?
「ねえ、上坂先輩、今山神君の事名前呼びしたわよね」
「うん、うん。でも友達だって言うから」
「そうかあ」
俺は雑音を無視して
「どうしたんですか。上坂先輩」
「柚希、話がある。ちょっと来て」
「えっ、あっ、はい」
上坂先輩が俺の手を引いて廊下に連れ出した。階段下まで来ると
「柚希」
「はい?」
「土曜か日曜会って。お願いだから」
「でも俺用事が」
「用事終わってからでいい」
「…………」
少しだけ無言の時間が続いた。先輩が思い切りすがる様な目で俺を言っている。どうしたんだ先輩は?でもここまで言うなら仕方ないか。
「じゃあ、日曜日なら」
「ほんと、ありがとう。嬉しい、じゃあ今日一緒に帰ろう」
「それは駄目です」
流石にネットに出回った後だ。少し控えた方がいいだろう。
「えーっ、良いじゃない。もうみんな知っているんだし」
「それでも駄目です」
予鈴が鳴った。
「じゃあ、俺教室に戻ります」
あーぁ、柚希戻って行っちゃった。でも日曜日会う事が出来る。用事って何だったんだろう?
放課後、いつもの様に帰宅部の俺達は、亮と詩織と一緒に駅に向かいながら
「なあ柚希、ネットに投稿したの誰だろうな?俺ちょっと不自然に感じるんだ。だって喜多神社の出来事は偶々その場に居合わせたクラスメイトの誰かが面白半分でアップしたって事で済むけど、その後の公園で先輩と一緒の所もアップされている。これって喜多神社の後もお前達をつけていたって事だろう」
「確かにそうだわ。同じ生徒が偶然、喜多神社と公園に居合わせたっていうのは無理があるわ」
「その通りだけど…。そんな事する奴今のクラスで居るのかな。俺、まだそんなに皆の事知らないし」
俺は中喜多高校に入ってまだ半年。クラスの人とは当たり障りなく接してきたつもりだ。陰キャとか陽キャでもない普通の人間だ。友達も少しずつ出来ている。
そんな俺が、恨まれる要素は無いのだが。だとしたら上坂先輩が目当てか。あの人なら目立つし、半年も経てば、一年生にだって知れ渡る。
上坂先輩をストーカーしている訳ではなさそうだし、多分この前の事は偶々喜多神社で会ったから、そのままの流れで付いて来たのではないだろうか。
でも誰が、想像が付かない。
はぁ、やっぱり先輩と一緒ってのはデメリット多いかなぁ。でもなあ、先輩綺麗だしなあスタイル良いし。あれっ俺何考えているんだ?
「おーい、ゆ・ず・き」
「えっ?」
「えっじゃない。どうしたんだよぼーっとして。俺もう降りるから。じゃあまた明日な」
「ああ」
亮が電車を降りて行く姿を見ながら
「亮、どうしたの?ほんとにぼーっとしてたわよ」
「…………」
俺、山神柚希。家に帰って自室の部屋でベッドに横になりながら亮の言ったクラスネットに投稿した人間の事を考えていた。
亮が言った通り喜多神社だけだったら、クラスの誰かが面白半分で投稿したで済ませることが出来る。時間が経てば誰か分かるかも知れないし、分からないかも知れないけどさして大きな問題ではない。
問題は、何故公園で先輩と一緒に散歩している姿まで撮っていたのか。更には何故校内ネットにまで投稿したのか。
投稿者はネットサーバのログを見れば投稿者のアカウントから誰か想像つく。うちの高校のアカウントは、学校払出のアカウントだ。当然生徒全員と結びついている。
だがその後だ。投稿者が分かったとして、何故投稿したかを聞いてもはぐらかせられるだけだろう。そいつの目的が分からない以上繰り返される可能性がある。
そんな事を考えているとスマホが震えた。画面を見ると上坂先輩だ。
「はい、山神です」
「柚希、今度の日曜日の事なんだけど…。どうやって会おうか?今の状況考えると出来ればどちらかの家の中が良いと思うんだけど」
「ちょ、ちょっと待って下さい。家の中って。瞳さんか俺の家って事ですよね。それはちょっと…」
「えーっ、じゃあ外で会う?」
「うーん…」
ちょっと考えが思い付いた。この前もし偶然に俺達を見かけたのか、それとも上坂先輩がストーカーされているのか。
それを確かめる為には外で会って、またネットにあげられるか確かめればいい。これなら相手を特定した時に追及出来る理由になる。
「瞳さん、外で会いましょう。ちょっと俺に考えがあります。公園のある駅で午後一時で良いですか?」
「やだ!」
「えっ?」
「午前十時がいい。会って公園を散歩したら一緒に昼食取りたい」
はーぁ、何考えてんだこの人。仕方ないか。
「分かりました。午前十時にしましょう」
「うん!思い切り楽しみにしているから」
「じゃあ、そういう事で」
俺は直ぐに切ろうとすると
「ちょっ、ちょっと待ってよ。もう少し話せない。せっかく電話したんだし。駄目かな?」
「いいですけど」
それから話をしたが、俺の方からは話題が無くて瞳さんからのほとんど一方通行だった。ただそこで分かった事は、瞳さんは父親が地元の一番大きな企業、上坂精密機器の社長で瞳さんは一人娘だという事。父親は東京に本社を置く関連会社の役員もしているという事だった。
だとするとやはり瞳さん狙いと考えた方が普通だろう。
そして翌木曜日、いつもの様に学校の最寄り駅の改札を出て学校が近くになるにつれ俺を見る目、嫉妬、妬みの目が多くなって来た。
「はぁ、まだまだ多いな」
「仕方ないよ。一昨日の夜だからなアップされたのは。当分無理だ。我慢するしかないだろう」
「でも柚希一週間もすれば慣れるから」
亮も詩織も良い奴だ。後ろを歩いている梨音はどう思っているのかな。電車に乗って来た時はいつもの顔に戻っていたけど。
下駄箱に行くと俺の上履きの上に手紙が乗っていた。
「あれ、これなんだろう?」
開けて見ると
「放課後、体育館の裏に来て」
「柚希、これって告白?」
「いやいや、ありえない。多分逆方向だと思う」
「じゃあ、断りなさいよ」
「無視すると引き摺るから行くけど亮、陰で見ていてくれ」
「分かった」
昼休みまでは何も無かった。教室で昼を食べているといきなり教室の入口から三人の男子が入って来て入口の側に居た子に声を掛けた。徽章から二年生だ。
「山神はいるか?」
その子は、俺の方を見ると
「おう、いたいた。昼飯の時に悪いが、顔貸してくれ。直ぐに」
「ちょっと待ちなさいよ。山神君は食事しているのよ」
「何だ手前は?」
「いいよ。ちょっと行って来る」
皆の注目の中、二年生に連れられて校舎裏に来た。
「おい、お前上坂さんと付き合っているのか?」
「いえ」
「じゃあ、どういう関係だ。どうしてあんな動画が校内ネットに流れているんだ」
「知りません。俺と山神先輩は友達です。友達として付き合っています」
「付き合っているだと!」
俺の胸倉をいきなり掴んで来た。
「おい、止めろよ。もう良いだろう」
「だってよう、俺の憧れの…」
「諦めろ。悪かったな山神。こいつ上坂に片思いしていたんだが、あの動画で頭に血が上っちまってな。どうしてもお前に会って一言言いたかったんだ。もう良いだろう行くぞ」
俺の胸倉を掴んだ男が悔しそうに手を離して、三人で去って行った。
「ふーっ、参ったな」
「柚希」
「亮か」
亮とクラスの仲間が見に来ていた。
「大変だったな。山神」
「武田か仕方ないさ」
更に放課後、手紙に書かれていた通り体育館裏に行くと予想通り三年男子二人が立っていたが、昼休みと同じ様に友達として付き合っていると言うと安心と残念が混ざった様な顔をして去って行った。昼間より紳士的で良かったけど。
こんなの続くのかなぁ…。
―――――
柚希、大変です。
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
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宜しくお願いします。




