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1章 不幸な人間_001
私――四季みことは不幸体質な人間だ。
一概に不幸と言っても感覚は人それぞれだから、共通認識を持つことは難しい。
それでも、私自身こうして自分の境遇が不幸だと断言できる所以は色々ある。
気の持ちようだ。病は気からだと散々慰めにもならない言葉を耳にしてきた。
この世に生を受けてから二十余年。
それこそ誰にでも起こりそうで起こらない出来事の数々が、人生の岐路に立つ度に必ず降りかかってきた。
かけがえのない親友と離れ離れになったこと。
大好きだった祖母の死に目に会えなかったこと。
大切にしていたペットの文鳥が、目の前で猫に襲われたこと。
一番に志望していた会社が、突然倒産したこと。
なんとか職にはありつけても、毎日失敗ばかりしていること。
身内間の出来事から余所での出来事まで、それは多種多様で一から挙げればキリがない。
私の人生は、常に怪我と隣り合わせで、死の香りを纏っている。
一生の中で、いったいどれだけの不幸を享受しなければいけないのか。
もしくは、不幸だと嘆くことを減らすことができるのか。
誰か、教えて欲しかった――。