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夜を纏う男はかく語る_006

「…………」

 思えば、誰かに抱き締めて貰うなんてどれくらいぶりだろう。

 いや、抱き締めて貰わなくてもいい。

 誰かに対して甘えるといった行為自体、ここ数年したことがなかった。

――私は一人っ子だ。

 普通なら、甘える機会ことも甘えさせて貰える機会こともあっただろう。

 でも、理想と現実は大きく乖離しているもので――私が物心つく頃には既に破綻寸前だった。

 両親は不仲で常に喧嘩ばかり。

 そんな二人の姿ばかり目にしてきたからだろう。

 私自身、望まない形で気づいた時には精神的に成熟してしまっていた。

 いつの間にやら〝甘える〟という行為をしなくなった――否、できなくなった。

 離れ離れになるかも知れない両親に対し、どう甘えればいいかも分からないまま、こうして成長して大人の枠組みの中に押し込まれてしまったのだから。

「誰かに、愛されることなんて……あるのかな」

 ポツリと思いがそのまま言葉となって溢れ出る。

「なら、自分が愛そう」

 その言葉に、返事こたえが降ってきた。

 驚きからビクンと肩を跳ねさせ恐る恐る上を見上げると、其処には穏やかな微笑を口許に浮かべた男がいた。

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