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夜を纏う男はかく語る_004

 丸窓から空を見上げると、そこには眼球のような月が浮かんでいる。

 ヌラリとした蒼みを帯びたその光は、マヤカシだ。

 ヒトも獣も何もかも、その蒼い月光によって何もかも狂わされる。

 そんな月の下に、脆弱な魂魄うつわを曝すわけにはいかない。

「それにしても、珍しいのう……。冥一郎が初めから甲斐甲斐しく世話を焼くとは。普段なら放りっぱなしじゃろう」

「放りっぱなしじゃない。……ただ、上手く接することができないだけだ」

「カカッ、同じようなモノじゃろうが。何かキッカケでもあったのか? そうでもなければお主は動かん」

 互いに付き合いが長いからだろう。キッカケがある筈だと断言する黄泉月。

 その言葉を頭の中で解きほぐしていく。それこそ大層な理由があるわけではない。

「……助けようとしただけだ」

「助ける? まさかお主のことをか?」

「……嗚呼」

 訥々《とつとつ》と、黄泉月にあちら側で起きた出来事について掻い摘まんで話してみせた。

 すると珍しく、黄泉月はらしくない嘲笑をもらした。

「カカッ! それはなんとも愚かしい――愚かしく面白いことをする娘じゃのう……!」

「…………」

「ワシはてっきり〝メ〟として見定めた上で、連れて来おったとばかり思っておったぞ」

「……。質は、悪くない筈だ」

 魂魄うつわの質を見定めること。

 その目利きについては、黄泉月から嫌というほど叩き込まれたのだ。

 今更善し悪しに関する説教はされないと分かっていても、つい言い返した。

「……!」

 その時だ。ザァと雨のような音が丸窓の外から響いた。

 気づけば月は群雲に覆い隠され、周囲の闇はいっそう深く濃さを帯び始めている。

「その娘に執着するのは構わん。だが、いい加減お主の務めも果たさねばな」

「……。分かっている」

 そっと握っていた女の手を置くと、音もなく立ち上がり縁側へと進み出る。

『我が〝メ〟に、月の祝福と呪いが在らんことを』

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