表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この姉妹は悪戯っ子である

作者: 虹彩霊音


「…むぐ」


とある日、私は夢から覚める。私は、姉と妹との三人暮らしだ。


「……あにゃ、昨日面倒くさくて狼のままで寝ちゃったんだっけ」


まぁ、ここはあまり気にしないでいい。とにかく、私は自室を出る為にベッドから身を乗り出す。



          バシッ



「ぎゃーーーーーーッ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!やばい、痛すぎるッ!!!ふぉーーーーーーッ!!!何が痛いかって何が痛いのかわからないほど痛すぎるッ!!!」


自分の足を見る……なんとトラバサミに捕えられているではないか!!!なんでトラバサミがあるんだよッ!!!


そこで、部屋の扉が開く。


「どうしたの姉さん!」


驚いた表情でこちらを見るこの子は、妹の幻。


「幻ッ!良いところに来てくれたッ!!」


幻はトラバサミをとってくれた。


「ていうかなんでトラバサミが寂滅姉の部屋にあるのさ」


「アンタが置いたんでしょうがッ!!!」



「………ふっ、ぷぎゃーーーーッ!!!あははははははははは!!!そうだよ!私が開いたんだよ!!ある程度先読みして置いたけど、案外当たるものなんだね!あははははははは!!!」


幻はお腹を押さえてぴょこぴょこ跳ねている。私はただ呆れた、反論するネタもないや。


「……はぁ、私だからこんな悪戯できるけど、他の人にやっちゃだめだからね」


「はーい! そうだ、叡智姉がごはんできてるよーだってー」


「………」


「…?」


「その前に……悪戯っ子にはお仕置きだね!」


「ふぎゅっ!?あはははは!!だめ!!くすぐるのやめてぇ!!!」





……と、こんなふうに私の妹は悪戯真っ盛りなのである。


「ぶー、姉さんも何か言ってよー」


「悪戯するってことはそれほど寂滅のことが好きな証拠でしょう、毎日するならなおさらだよ」


「それはそうなんだろうけどさ!今朝のは痛いよ!」


「わかったわかった、私から言っておくよ。あまり痛い悪戯はしないようにって」


「…むんぎゅ」


後ろから幻が抱きしめてきた。


「あー…今朝の寂滅姉の反応…面白かったなぁ…」


「貴方のせいでしょ」


「次もちゃんと用意しておくから期待しててね」


「いらないよ」


最後までいじられる私なのである。





「………ってことがあったんだよ、どう思う?」


「別に、仲の良い姉妹じゃねぇか」


「私もそう思うよ、別に良いじゃないか」


「いや……仲が悪いとは思ってないけど…トラバサミとか最悪足千切れるんですけど?」


「まぁ………俺も幻の立場なら幻と同じ反応してる自信あるな」


「右に同じく」


なんだよ、結局幻の味方するの。


「でもさ、こうして聞いてると羨ましいな、俺は兄弟だけど弟は別の所で住んでるからあまり会う機会がないんだよな」


「私は家事くらいしかやらないね、妹はいるけどなにもしてこないからなんか暇っていうか?」


「貴方家事できたんだ」


「あ?虎だからって舐めんなよ?」


「こいつの家事スキル割と高いんだぞ、まぁたまに自分の抜け毛が落ちてるけどな」


…と、舐められる私なのであった。






「……ね?寂滅姉って面白いでしょ?」


「うひゃひゃ!笑いすぎてもっと腹筋が割れそう」


「私と同じこと言ってるや」


「幻さんは限度を知らなそうだね……」


「寂滅はよくその悪戯に耐えられるね…」


「大丈夫だよ、姉さんだもの」


「幻はほんとお姉さんが大好きだね」


「叡智姉には負けるけどね」


「ていうか、アルカディアはいつまで笑ってるのさ」


「だって……おもしれーだろこれ…うっひひw」


「ふふ、幻と寂滅さん、毎日楽しそうだね」


「うん!楽しいよ!」


「まぁそうじゃなきゃ毎日悪戯しないよね…これは、勝ってるね」


「そうだね」


「何がー?」


「君のお姉さんに対する好感度だよ」


「えー?姉さん達も負けてないと思うけど。抱きついてくるし」


「それ以上に幻はおねだりしてそうだけど」


「そ、それは言わなくてもいいじゃないか!」


「お、こっちも負けていられないね?」


「別に勝負事じゃないと思うけどね」


「そういえば、みんな姉妹っ子だっけ」


「私は姉さんが居るよ、私と違って虎なんだー」


「僕は兄さんが居るよ」


「私達は幻と同じ三人姉妹だね、一番上は家に居るけど」


「…あ、そうだ!」


「どうしたの?」


「みんなで悪戯を考えようよ!」


「いいね!やろうやろう!」


「それって私も入ってる?」


「寂滅に…かぁ…」


「大丈夫だって!姉さんこんなことじゃ怒らないから!」


「めっちゃ楽しそうだね」


「じゃあ紙と鉛筆持ってくるから待っててー!」






「ここはやっぱり定番の落とし穴かな?」


「まぁ、捻りすぎるのも良くないよね」


「でも、寂滅さん本人にバレたら意味ないよ?」


「姉さんもしかしたらこういう系に耐性あるかもなぁ〜」


「そこは幻の技量次第じゃないかな?」


「いかに寂滅さんを騙せるか、だよね」


「そういうことだね、頑張れ幻さん!」


「大丈夫だよ、私も寂滅姉のことはよく知ってるから」


「それじゃあ早速出かけようか!」


「うん、悪戯道具も切れてきたからね!」


「どれだけやってるの…」


「まぁまぁ、細かいことは気にするなっ!」









「あー、時間が経つのが早いぜ。1日が50時間くらいあればいいのに」


「まあ楽しいことをしてれば早く経ってしまうものだよ。でも、今日は一段と楽しかったよ」


「え?別にいつもと変わらなくない?」


「さぁ、どうだろう?」


「どう足掻いても幻のことだな。寂滅の話を聞いていたらこっちも笑ってしまうよ」


「じゃあいいよ!もう幻の話しないから!」


「それをあと何回聞くはめになるんだか」


「うるせー」


「それじゃ、俺はこっちだから」


「私はこっちだな、それじゃ寂滅殿、幻殿と仲良くするように」


「余計なお世話だっ!」







「ぷくくく!楽しみだな、思わず笑いが溢れちゃうや」


今朝の仕返しとして、幻に悪戯を仕掛けるんだ!今朝の愚行を後悔するがいい!


「えーと…これを体毛に塗って……よし!」





         コンコン




「…あ、寂滅だ」


「叡智姉よくノック音で誰なのかわかるね」


「割とわかるものだよ、折角だから迎えに行ってあげなさい」


「はーい」




「寂滅姉〜、おかえり〜、今開けるよ〜………え?」


その直後、幻の叫び声が静かな夜の空間に反響した。そう……私が行った悪戯…名付けて!



 『玄関を開けた瞬間血まみれの人狼が立っていた』だ!



幻は怖いものが苦手なのであるっ!これは決まったっ!


「仕返し大成功!いえい!」


「はぁ…はぁ…」


怯えて泣いている幻がそこに居た。


「それは……ずるいじゃない……」


「人狼の姿は別に見慣れてるでしょ」


「違う、そうじゃない…」


「あはは!とりあえずお姉ちゃんお風呂入ってくるからね」


「わかった……」





「ふふふふ…」


お風呂から上がっても、まだ笑いが止まらない。


「…ん?」


ご飯の準備をしてた姉さんが笑っている。


「どうしたの姉さん」


「いやいや、さっきの光景後ろからこっそり見てたけど、面白くてね」


「やっぱり〜?」


「でも、ああいうのはあんまりやっちゃいけないよ」


「ぶー」


遠くで幻が拗ねている。


「……あ、そうだ。寂滅姉!今日の晩ごはんなーんだ?」


「……ああ、この匂いはカレーだね」


「正解!」


「作ったのは主に私なんだけどな…」


「ルーをぶち込むの手伝ったじゃない」


「それじゃあ……一緒に食べようか」


「「はーい!」」




「いただきまーす」


はむっと、私はカレーを一口頬張った。



………………



「うむんぐっ!!!辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛いッ!!!やばい、辛すぎるッ!!!ふぁーーーーーッ!!!何が辛いかって何が辛いのかわからないくらいに辛すぎるッ!!!」


「あははははは!!!」


隣で幻が大笑いしていた。


「悪戯大成功♪こっそり激辛香辛料入れて置いたんだよ!」


「こらこら幻……やりすぎだよ」


「えー、面白いじゃない。それに、さっきの仕返しにもなったしー♪」


そうして、幻もカレーを頬張る、すると……


「!!?辛いッ!!!待って半端ない辛さッ!!!ふぉあーーーーー!!!」


悪戯の張本人であるはずの幻も苦しんでいた、ということは………



「あはははははは!!!」



姉さんが笑っていた。


「これ……まさか叡智姉がやった!?」


「そうだよ、悪戯大成功。さっき貴方が香辛料ぶちこむところを見てね、私もこっそり入れさせてもらった。いえい」


「むぅ!折角アルカディア達と考えたのにー!」


「…………ねぇ、幻」


「む?」


「これ……姉さんにも食べてもらおうか」


「! さんせー!」


「あー、私は自分のがあるから遠慮しておこうかな。え、待てこっちくるなていうか見た目がもう辛いなそれ、やめろ!やめるんだーー!あむっ」


「お口に入った☆」


「ちょ、ま、マジで辛ッ!!!本気で辛ッ!!!冗談抜きで辛いんだがッ!!!」


「あはははは!!!」





ああ…今日も騒がしかったな。まぁ、これが普通なんだけどさ。今日も壮絶な1日を過ごしたわけだけど、流石にトラバサミは嫌だけど、明日はどんな悪戯が待っているのかな?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ