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猫の手も借りたいぼくと最高の助手

作者: PYON

「また、仕様変更か」

 ぼくはため息をつく。

 ぼくの勤める会社は金融機関のシステムを構築する仕事の下請けをしていた。

 もう、一週間は家に帰っていない。

 最初はシンプルなシステムを構築したんだけど、お偉いさんが無茶ぶりをして変更に次ぐ変更が続いていた。

 プログラムがわからない人はコンピュータでなんでもできると思っている。

 あとから膨大な仕様変更があったことで、システムは伏魔殿のようになっている。

 本当は一から作り直したほうがいいのだろう。

 でも、クライアントはそんな費用も時間もくれない。


「猫の手でも借りたいくらいだ」

 ぼくは、そう呟く。


「ナー」

 ぼくの耳に猫の鳴き声。

 床を見下ろすと茶色い子猫がぼくを見上げている。

 ぼくはその子を拾い上げる。


「おまえが手伝ってくれるのか?」


「ニャー」

 子猫は目を細めて返事をする。

 こいつはぼくの言葉がわかっているのか。

 猫はぼくの手からデスクの上に飛ぶ。

 そのまま、キーボードの上に乗る。

 猫ってなぜかキーボードの上がすきなんだよな。

 でもじゃまするのはやめてほしいな。


「君のおかげで少しほっこりできたよ。

 ありがとう。

 君は最高の助手だよ」

 そう言って猫をキーボードの上からのけようとする。

 猫は少しいやがって暴れ横のコーヒーの紙コップを倒す。

 キーボードの上にコーヒーがこぼれる。

 それだけでなく、画面が消える。

 もしかして、猫がへんなボタンを押してしまったのだろうか。

 やばい、しばらく保存してなかった。

 ぼくはキーボードを替えて、PCを立ち上げる。

 やっぱ、だめだ。


「こら」

 ぼくは猫を叱る。

「ニャン」

 猫はそう言って僕を見上げる。

 それは、もう頑張らなくていいよ、これでいいんだよって言ってるように見えた。


 そうだよな。

 ぼくは猫の頭を撫でる。

 そして、帰る用意をする。

 

 最後にPCの上に退職願いを乗せる。

 そう、ずいぶん前に書いたものだ。

 ずっと出そうかどうか悩んでいた。


 ぼくは腕の中の子猫に話しかける。

「ありがとうな」

 そう言ってぼくは会社をでた。


 その2か月後にあの金融機関のシステムエラーが問題となった。

 もちろん、システムの全貌を把握しているものは誰もいなかった。

 ぼくにも連絡はあったが、知ったことではない。

 もう、外資系のシステム会社に再就職したんだからね。

 年収も数倍に跳ね上がったし、今も在宅ワークでシステムを組んでいる。

 そして、その膝の上には、あの最高の助手が寝ているのだった。

★これからもいろいろな猫ちゃんのお話をどんどん書いていこうと思っています。

まだ未熟ですが、猫ちゃん小説好きのかた、応援していただけるかたがいれば下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマなどお願いします。

それがなによりも作者の励みとなりますのでよろしくお願いします。


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