プロローグ
これは、モンスターが蔓延る異世界のお話です。
この世界には、『人間種』のみならず、『獣人種』『エルフ種』『ドワーフ種』『魔人種』など様々な種族が暮らしていました。
このお話は、その中の『人間種』の国、“ランドワール王国”から始まります……………
今日は、ランドワール王国民にとって特別な日、とりわけ15才になった子どもたちにとって特別な日、神様からスキルを与えられる日です。
王国の北にある小さな田舎町、“ウィーシャ村”でも、15才になった子どもたちが教会に集められて、スキル授与の式典が行われていました。
この村で育って、今年15才になった少年も教会で式典に参加していました。
式典では、神父様のお話を聞いた後、順番に“審判の宝珠”と呼ばれる水晶球に手を当てます。
そして宝珠が光ったあと、与えられたスキル名が宝珠の中に浮かび上がってくるのです。
この世界は常に、モンスターの脅威に晒されています。
そのため、この式典でどのようなスキルが授与されるのかは、今後の人生を大きく左右することになります。
一番人気のスキルは、モンスターを狩る職業であるハンターになるために必要な戦闘系のスキルでしょう。
代表的なものに【剣術】や【槍術】といった、武器の扱いに長けるようになり物理攻撃力が上昇するもの、【火魔法】や【風魔法】といった、魔法を扱えるようになり魔法攻撃力が上昇するものがあります。
人数が少なく貴重なスキルや、これまでにただ一人にしか発現していないスキルもあり、そういったスキルを得られれば、【勇者】や【聖女】として歴史に名を残すことも夢ではありません。
そういった唯一無二のスキルはユニークスキルと呼ばれ、どれも強力なスキルとして名を馳せています。
ラック少年もご多分に漏れず、ハンターという職業に憧れており、ユニークスキルとは言わないまでも、戦闘系のスキルを得ることを夢見ています。
【剣術】スキルを手に入れれば剣士になるために○○道場で修行しよう。
【火魔法】スキルだったら、やっぱり魔術師学校に通わないとな………と夢は膨らむばかりです。
自分の将来に思いを馳せていると、いよいよラック少年の順番になりました。
ドキドキしながら審判の宝珠に触れると、これまで他の人が触っても普通に光っていただけの宝珠が虹色に輝き出しました。
あまりの眩しさに、目をつぶってしまったラック少年がおそるおそる目を開け宝珠を見ると、宝珠の中には【ラッキーNo.7】と浮かび上がっていました。
隣で様子を見ていた神父様も唖然としています。
これまで審判の宝珠が虹色に輝いたことなどなかったのですから。
さらには【ラッキーNo.7】なんて、そんな名前のスキルを今まで一度も見たことも聞いたこともなかったからです。
そう…ラックが神様から授かったスキルは、ユニークスキルだったのです。
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
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【ラッキーNo.7】 ユニークスキル
このスキルを持つ者は、人生で7度の至上の幸運を得られるだろう。(0/7)
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