プロローグじゃ
ワンタジア王国の最西にあるニーコ村。
動植物の多い豊かな森と綺麗な湖がある土地だがド田舎と言っていい村だ。娯楽が少なく、恵はあるが自然の驚異とも隣り合わせのニーコ村では若者は国の中央都市へと出ていくのがほとんどであった.
それは今いる数少ない子供達も変わらない。
村近くの森に建てた秘密基地で、子供たちは夢を語りあっていた。
「俺は王都へ行って騎士になる!」
「僕は文官だな、そしてゆくゆくは国を動かせる大臣になってみせる」
「イジーはヒョッロヒョロだからな」
「アークは脳筋だろ」
「オレはやっぱり冒険者だな、お宝見つけて大金持ちだぜ」
「なんだよウゴ、一緒に王都で騎士になろうぜ」
「お堅そうな城勤めなんて嫌だね、オレは自由に生きたい」
「冒険者なんて、効率の悪い博打じゃないの、今のご時世稼ぐならやっぱ商人でしょ」
「わかってないなエネカは、 冒険は効率じゃなくてロマンなんだよ!」
「これだから男は馬鹿なのよ!!」
「まぁまぁエネカちゃん」
「オリアはどうすんだ」
「ん~…、私も王都に行くよ」
「お!、オリアも騎士になるか」
「ふふ、まさか。私がなるなら踊り子とかかな」
「踊り子か、オリアなら似合いそうだな」
「エネカは無理だろうけどな」
「うるさいわよ!」
「ヨコは?」
「オラ?」
「ああ、ヨコだって将来村をでるだろ?」
「オラは…別にこの村で今のままでも」
「おいおいマジかよ!?」
「こんなド田舎の村にいたって毎日毎日土いじりして一生を終えるだけだぜ」
「嫁に来てくれる女だっていない」
「でも」
「いいんじゃないかな」
「オリア?」
「ヨコはここにいて、私達がたまに帰ってきた時に「おかえり」って迎えてくれるの」
「はははっ、なんかわかるね」
「まぁ、それもいいかもな」
「この村同様、のんびりしてるからなぁヨコは」
「そうだな、ヨコがしたいようにしたらいい」
「うん!」
その後も子供達は楽しく笑いながら語りあった、明るいと信じて疑わない自分たちの未来を。