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許可がでたのじゃ


 ちゃんこ鍋屋の厨房に立つ期間が終わり、予定通りロード会へ雇われる意思を伝えたヨコヅナ。


「随分待たされたから、断るのかと思ったよ」

「ごめんだべオリア姉。忙しくて来れなかっただよ」

「……突然だったしねぇ。でも、協力してくれるのはありがたいよ」


 ヨコヅナはロード会の応接室で、オリアとデルファの三人で話している。


「オラは具体的には何をするだ?」


 以前来たとき、仲間を守る為に協力してほしいと言われたが、警備兵のようにただ護衛するわけではないとも言っていた。


「それなんだがね、ボーヤが不定期でしか来れないと言ってたから、普段は何をやってもらうか決まってないんだよ。協力を頼んでおいて悪いんだけど、しばらくは皆の仕事の手伝いな感じだねぇ」

「苦手な仕事だと役に立てないかもだべ」

「…どんな仕事が苦手なんだい?」

「事務仕事とか苦手だべ、あと言葉巧みに商品の売り込みをするとか」

「あははっ、確かにヨコはそういうの苦手そうだね」

「うちにはそんな奴ばっかりだから、その辺も手伝ってもらえると助かりはするけどねぇ」


 ロード会はろくな教養を受けずに育った者達が多い為、事務仕事が出来る人材は貴重だった。


「商売やってるのにその辺出来ないのはどうなんだい……本当の姉に任せっきりて事かい?」

「「本当の姉?」」


 デルファの言葉に首を傾げるヨコヅナとオリア。


「清髪剤売ってる店の女店主だよ。オリアの弟分って聞いてたけど、正確には同郷の友達の弟って意味だったんだねぇ」

「「……あはははっ!!」」


 デルファの言っている意味が分かって笑い出す二人。


「どうしたんだい?」

「違うよデルファ。エネカちゃんもヨコとは血は繋がってない、ヨコを弟のように思ってるのは同じだけど」

「そうなのかい。似てたからてっきり」

「みんな勘違いするだよ」

「エネカちゃんは王都に来て、年々太ってるからね。この間会った時また太ってたし」


 ヨコヅナとは逆で、エネカはストレスが増えると暴食してしまい太るタイプ。最近は清髪剤の忙しさとクレーム対応のストレスから、暴食の歯止めが効かない。


「因みに店主は旦那さんのはずだべ。まぁ文字通り尻に敷いてるから関係ないみたいだべが……」


 貫禄は確かに店主以外の何者でもない。あくまで店の持ち主が旦那なだけで、実務的に見てもエネカが店主と言って差し支えはなかったりする。


「あ、先に言っとくだが、清髪剤の作り方なんかは教えないだよ」


 清髪剤のという言葉が出たので改めてデルファにも言っておくことにしたヨコヅナ。


「その辺はオリアから聞いてるよ。安心しな無理に聞き出したりしないさ」

「でもヨコ、アイリィには気をつけてね。清髪剤に興味深々みたいだから」

「あのピンク髪の人だべな。前の時も清髪剤使ってくれてただな」

「へぇ~、さすが製作者、分かるんだねぇ。気に入ってるみたいで仕事の時はよく使ってるよ」


 アイリィの仕事は遊女だ。とりわけ美意識が高く、人気の美容商品などのチェックは怠らない。

 清髪剤を愛用しており、高価なうえ、品薄なことが多いとボヤいてのをオリアは聞いたことがある。


「色仕掛けしてくると思うわ、無視して構わないからね。しつこいようならエチベルトと同じようにぶっ飛ばしてやりなさい」

「それは出来ないだよ」


 オリアもヨコヅナが女性に手をあげない本気で言ってはいない。だがその女性に優しいところ、弱いところが不安なのである。


「色香で惑わせて、情報を引き出すのもアイリィの仕事だからねぇ。まぁヨコは協力者なんだ、私からも言っておくよ」

「お茶入れたっす」


 ノックもせず応接室に入ってきたエフ。


「エフ、客が来てる時はノックぐらいしな」

「でもヨコやん仲間になったんっすよね」

「そうだべ。これから宜しくお願いしますだ」

「宜しくっす!」


 エフは三人の前にお茶を置いていく。


「今日は一人でちゃんと入れれた?」

「バッチリっす」


 自信満々に親指を立てるエフ。

 三人は前に置かれたお茶を手に取り、口をつけて、


「「「薄っ!!?」」」


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