シーン79:ぜ、絶対勝つんだからな……いつか
続・昼食中。
「つーかさ、なんで今日雨宮家のみんながうちに集合してんの?言い出しっぺは誰?」霧崎が言った。
「わたしかな?一応。美羽ちゃんと美久ちゃんに、ここで昼飯食べなっていったのはわたしだから」響が言った。
「なんかあんの?」
「ないよ」
「ないのか……」
「いいじゃん。こうやってみんなでご飯食べるの。わたしは好きだよ」
「そりゃ、ぼくも好きだけどさ……。ええと、じゃ、なんで美羽ちゃんと美久ちゃんがうちにいたわけ?」
「にいちゃん馬鹿だなー。そりゃ、ぼくの友達だからに決まってんじゃん」隼が言った。
「………隼のやつ、人のこと馬鹿って言いやがって」
「成績は兄さんよりいいからね」
「でもさ……。隼、自分の方が頭いいからって、人のこと馬鹿にしちゃだめだぞ。傷つくんだからな。結構」
「わかってるよ。けど、ヒビキねえちゃんが、にいちゃんだけは馬鹿にしても問題ないって」
「響ぃ?!」
「話を戻すけど、美羽ちゃんと美久ちゃんは、隼と仲いいんだねって話」響が美羽美久の方を見て言った。
「ちょっと待て、話を逸らすな」
「特別仲いいってわけじゃねーよ。今日は暇だったから遊びに来ただけで」
「あたしは美羽ちゃんが行くって言うからついてきただけで」
「美久ちゃんなんて、ずっと本読んでたもんね。隼と美羽ちゃんがゲームしてる横で」
「一応、あたしもちょっとはやったんだけどな。けど、勝ちっぱなしだからつまんなくて」
「ぼーげんだよ。美羽ちゃん」
「ぼーげんだな。隼」
美羽と隼は顔を見合わせた。
「絶対勝つからな!!!」二人同時に美久に向かって言った。
「無理だと思うけどなぁ」美久は微笑んだ。余裕の笑みだ。
「ぜ、絶対勝つんだからな……いつか」
「仲いいねえ。隼くん、美羽と美久と仲良くしてくれてるんだね」雨宮が言った。
「うん。美羽ちゃんと美久ちゃんと遊ぶの、楽しいもん」
「違うよあねき。あたしらが、隼と仲良くしてやってんの!」
「そうなんだ?」雨宮が隼を見た。
「うーん、そうかも」
「肯定するのか……」
「美緒ねえちゃんも、今度一緒に遊ぼうよ」
「お、いいねえ。なにして遊ぶ?」
「鬼ごっこ!」
「……ほんとに好きなんだな、鬼ごっこ」
「ねーみんな。このあとはなにして遊ぶ?」隼が言った。
「あたしはこのあと野球やるんだよ。友達と約束してるからさー」美羽が言った。
「野球かー。いいなー」
「隼も来るか?」
「いいの?」
「いいよ。部活とかじゃなくて、ただの遊びだからな」
「行く!じゃあ――」
「は、隼くん。な、なんでなにかを期待するような目でこっちを見るのかな。あたしは行かないよ」
「ゲームでは美久ちゃんに敵わないからなー。せめて野球で」
「あ、あたしは、えーと、そうだ。おにいちゃんに本を貸してもらう予定だから、野球なんてできないやぁ」
「そうなの?にいちゃん」
「ん?そんな予定――ああ、そういうことか。うん、そうだったな、確かにそういう予定だったよ」
「なんだよー。にいちゃん、空気読んでよー」
「空気を読んだ結果、こうなったんだよ」
「じゃ、にいちゃんも野球やろーよ」
「やらねーっつーの」
「じゃ、美緒ねえちゃん」
「ん?あたし?」
「ねえちゃんも野球やろーよ」
「野球かー。やったことないからなー」
「やったことなくても教えるよ。美羽ちゃんが!」
「なんであたし任せなんだよ!けど、あねきが来るっつーんなら、別にいいけど?」
「さすがに小学生に混じってはやらないよ。けど、野球か……」
「どうしたんですか?雨宮さん」
「ん?ああ、夏休みだから、暇だなーと思って」
「野球やるんですか?」
「野球はやらないけど、運動するのはいいかもなーと思ってね。ま、暇つぶしだけどね」
「いいですね。バスケだったらわたし付き合いますよ」
「わざわざ疲れることするなんて、ご苦労なこった」
「兄さんも、夏休み中引きこもってたら、人とまともに会話できない根暗になるよ。あ、今がそうか。ごめんごめん」
「……くそう。ああ神様、どうか根暗に人権を!」
「つーか霧崎、引きこもるなよ?」
「てか、まんまと話逸らされた。響、ぼくだったら馬鹿にしてもいいってどういうこと!」
響は雨宮と会話している。
「そっか、雨宮さん家事してるから、料理得意ですよね。今度教えてもらおうかな」
「いいよー。響ちゃんだったら教えがいがありそうだ」
「む、無視すんなあ!」




