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きみのとなりに。  作者: 玖芦花
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-ふたりの出逢い-

「それじゃ皆さーん、飲み物はもちましたかー?いきますよーせーの!!」


「「かんぱーい!!」」


過去最高に盛り上がった学校祭最終日の夜、クラスのみんなで高校の近くにある施設で打ち上げをしていた。

いやー今年は盛り上がったななどわいわい騒いで盛り上がっているなか、俺、朝霞夕あさか ゆうはこの日と心に決めていたことがある。でも緊張で体が震えてどうしても実行する勇気がでなかった。


「お前、今日じゃねーのか?例の日」


そんな緊張で震えてる俺に話しかけてきたのは、相宮春あいみや はる、俺の親友だった。

よく相談に乗ってくれたり何かあったらすぐに励ましてくれたりと、とても友達思いなやつで、本当に感謝している。


「うん、今日だよ、だけど無理だ、やっぱりできない」


「でもやらないと後悔するぞ、やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいいだろ、ほら、タイミングは今しかないぞ、手助けしてやるからあとは自分で決めろよ」


「え、ちょ」


俺は春に引っ張られ施設のトイレへ連れて行かれた。

何故トイレにと思ったが近くまで行ってやっと理由が分かった。

トイレへ着くと、ちょうど彼女が用を済ませて出てきたところだった。

どうやら彼女がトイレに向かったところを春は見ていたらしい。

そんなとこよく見てたなと思いながら俺は今しかないと思い覚悟を決め、話しかけた。


「ね、ねぇ藤咲さん、今ちょっといいかな?」


「え、朝霞くん?」


彼女、藤咲凛ふじさき りんは戸惑っていた。それもそうだ、なにせ俺たちは一度も話したことがないし、トイレから出てきたところを話しかけられたんだから。

え?と藤咲さんの付き添いできていた女子も状況が飲み込めずにいた。

春は「さっ行こ」と付き添いの女子をさりげなく連れて行き、その場に俺と藤咲さんの二人きりになった。


「えーと、じゃとりあえず歩きながらはなそ。こっちからでいい?」


「うん、いいよ」


施設へ戻る道は何本かあるが、俺は一番遠回りする道を選び、話を切り出した。


「こないださ、俺LINE送ったんだけどちゃんとみてくれた?」


「あーなんか友達追加のところにきてたよ、見てはいないけど」


見てくれてないんだ、と心の中で残念に思いながらも話を続けた。


「そっか、じゃ今言うね、学校祭の準備のとき迷惑かけたことを謝りたかったんだ」


「え?別に迷惑なんてかけてないと思うけど」


「ならいいんだけど」


そして俺は覚悟を決め、その言葉を紡いだ。


「それと、俺さ、ずっと前から凛のこと好きだったんだよね。もしよかったら俺と付き合ってください」


心臓が今にも破裂しそうなくらいばくばくしていた。

彼女はまさか告白されるとは思ってなかったらしく、驚きとともに顔を両手で覆っていた。

その顔は暗闇の中でさえはっきりとわかるくらい真っ赤だった。


「え、いつから好きだったの?」


震えている声で聞いてくる凛にたいして、俺は落ち着いた態度を装い言った。

「2年の簿記の授業の時かな。俺に話しかけてくれたときあったでしょ?あのときすごい嬉しくてさ気が付いたら好きになってた」

「そーなんだ」と凛は返すとそのまま黙ってしまい、長い沈黙が訪れた。

しばらく沈黙が続いたあと、俺は緊張に耐えられなくなってどう返すか悩んでいる凛に


「じゃー友達からはどう?」


と聞いていた。

やっちまったなと後悔していると彼女から返事が返ってきた。


「友達からならいいよ?」


俺はその瞬間後悔なんか忘れてただただ嬉しくなり


「じゃ友達からお願いします!」


とだけ伝えて凛と別れ、こみ上げてきた恥ずかしさをかなぐり捨てるように春のもとへ急いだ。




「はるー、はーるー!」


俺は戻ってくると同時に大声で春の名を呼んだ。


「おお、戻ってきたか!どうだった?」


テンションが高く、ニコニコしながら聞いてくる春に、俺は告白のことを全て伝えた。


「うん、伝えたよ俺の想い、友達からになった」


「は?ともだち?」


なぜ恋人じゃないのかと思っている春は、納得がいかないようだったが、それでもおめでとうと言ってくれた。


「俺、走ってこようかな、まだドキドキしてじっとしてられないんだ」


まだ緊張でドキドキしていた俺は、気持ちを紛らわすために走ってくると春に伝え、駆け出した。

そしたら春も「じゃー俺も一緒に走るよ」と言い、俺の隣をついてきた。

時間帯は夜遅く、クラスメイトの大半が肝試しを行っている中、俺と春は、そのルートをかなり速いペースで駆け抜けた。


「ちっくしょおぉぉー!でもうれしいー!」


「でも良かったじゃん、進展したんだろ」


「そうだよーでも悔しいー!」


俺は叫んだ。嬉しい、悔しいなど溢れてくる感情を言葉にして叫んだ。春も嫌なことは何一つ言わずとにかく励ましてくれた。

もう何キロ走ったかわからないぐらいクタクタになった俺たちは、再び打ち上げの施設へと戻ってきていた。

戻った頃には、後片付けがしっかりされており、帰っていく人もちらほら見かけた。

高校には汽車で通っている人が大半で、終電に合わせて帰っていくみたいだ。

そんな帰っていく人を眺めながら休んでいた俺と春はその人影の中に凛の姿を見つけた。

見つけると同時に春は、自転車に乗り、俺を引っ張って凛のもとへ連れて行った。


「ほら、送ってってやれよ」


凛はほか女子2人、計3人で歩いていたが、春はそう言うと、凛に向かって俺を差し出した。

春は視線で頑張れと伝え、他の女子2人を連れて先に駅に向かった。

それはあまりに唐突で混乱していたが、横を見れば、凛も同じだということがすぐに分かった。


「さ、急がないと間に合わないよ」


俺は、そう言って凛のペースに合わせて歩き出した。

歩いている最中、当然のようにお互い無言の時間が流れた。

何か話さないとと思い、とあることを思い出した俺は、それを言葉にした。


「そーいえばここ、心霊スポットで噂の場所なんだって」


凛はえ?と一瞬疑問を浮かべたが、すぐに理解したみたいだ。

理解した途端、微かに震えていた。


「心霊とか、怖いの苦手なの?」


と聞くと、


「うん、無理」


と即答してきた。

またやっちまったなと思いながら、必死に安心させる言葉を探した。


「だ、大丈夫だって、ただの噂なんだから」


「でも見た人がいるから噂になってるんでしょ?」


「まぁ、それもあると思うけど、雰囲気とかでも噂になるんじゃない?」


「それでもやっぱり怖いよ」


「そっか、じゃあ」


俺は彼女の手を引き、急いでこの道を抜けようと気遣いながら走った。

生い茂った森を抜け、開けた場所に出ると近くに駅が見え、そこに春の姿が見えた。

俺と凛は時間に余裕がないため急いで春のところへ行った。

すると、なぜか春と女子2人がこっちへ向かってきた。


「なんでこっちにきたんだ?」


俺はそう聞くと


「こっちは駅の反対側だったんだよ。向こう側からぐるっと回る必要があるんだ」


と春は遠くに、かすかに見える連絡橋を指さして言った。

凛は慌てて時間を確認すると、「あと10分しかない」と焦って俺に伝えてきた。

春はみんなを誘導するように「急ごう」と言って、もう疲れた、走りたくないと言っている女子2人を引っ張っていく。


「ほら、走るよ!」


俺は再び凛の手を引き、走り出した。


「それ、持ってあげるよ」


「ありがとう」


彼女が肩にかけていた重そうな鞄を持ってあげ、なるべく彼女を気遣うように、それでいて時間に間に合うように走っていた。

このペースならぎりぎり終電に間に合いそうだ。

僕は内心ホっとしていると急に凛を引く手が重くなった。


「もう疲れたー諦めようかな」


「あと少しで連絡橋だからもう少し頑張って!」


疲れて途中何度か諦めようとしていた凛を励ましながら、なんとか連絡橋までたどり着いた。


「着いたよ、こっからは一緒に行けないけど時間気をつけてね」


「ありがとーあとでLINEするから、じゃーねー」


俺からカバンを受け取り、ばいばいと手を振ると先を走っていた女子2人と合流して、急いで連絡橋を駆け上がっていった。

俺は嬉しさを感じて笑みがこぼれた。


「よかったな」


「うん、春のおかげだよありがとう」


「じゃ帰り乗ってくか?」


「どこに?」


「ここに」


そう言って春は乗っていた自転車のサドルをポンポンとたたいた。

どうやら2人乗りして帰ろうということらしい。

でも春の乗っている自転車は一般的な形でサドルの後ろに荷物を乗せる部分がついてないのだ。


「俺が座ったら春はどこに乗るの?」


「ん?俺は立ち漕ぎだけど?」


春はとりあえず座れと俺を乗せ、ゆっくりと漕ぎ出した。


「しっかり掴まれよ」


この道はもともと人通りが少なく、警察にも見つかることが滅多にないため、春はどんどんスピードを上げ、走ってきた道を戻った。


「きもちいいだろ!」


「うん、すごいきもちいいよ!」


火照った体に涼しい風があたって何とも言えない気持ちよさを感じていた。

心霊スポットと言われていた森の小道に入ろうとしたとき、一番心配していたことが起きた。


「うわぁぁ待って!春!ストップストップ!」


ドンッと鈍い音が響き俺たちは宙に放り出され、次の瞬間地面に叩きつけられた。カラカラッと力なく回る車輪の音が聞こえる。

そう、案の定事故ったんだ。

そりゃ事故るよな。2人乗りは不安定だし、それに春は視力が悪く、街灯がない中何があるか確認できずに漕いでいるんだから。

俺が気づいたときにはもう遅かった。道の付近には数段の段差があり、1人ならまだしも、2人なら絶対乗り越えられない段差だ。春はそれが見えてなかったらしくすごいスピードで突っ込んでいった。


「いってぇ…」


「大丈夫?はる?」


俺は春を下敷きにしていたため無傷だった。

サッと春の上から避け、春を起こしてやる。


「コイツがいなきゃかなりやばかったかも」


そう言って春が指差すところを見ると、カゴに積んであった鞄があった。

どうやらその鞄が春の顔の下に敷かれ、守ってくれたらしい。

ゆっくり自転車を起こすと、春は笑った。


「はは、見ろよこれ、カゴが変な形してるぞ」


「ほんとだ」


「よし、ほら早く乗れよ、戻るぞ」


「…歩いていこ?」


事故ってもまだ2人乗りを続ける気満々の春だったが、怖くなった俺は歩くことにした。






初めまして玖芦花です。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

今回が初登校だったんですが興味を持ってくれたら幸いです。

この物語は連載していくのでぜひ最後までご覧ください。

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