The END
それが訪れるのはいつだって突然だ。
俺たちにもよくわからない何かの手によって、俺たちは凍結されてきた。
大きすぎる何かの指によって俺たちは焼き払われてきた。
得体の知れない声によって、俺たちは棄てられてきた。
理不尽に、無造作に、俺たちと世界は白く塗りつぶされてきた。
そして気がつくと、俺たちは全く新たな自分になっている。
そして、当たり前のように歯車は動き出す。
この紙の上には無かった者たちの手によって、
俺たちの無造作に散らばった文字は、いずれ壊れゆく文の塔に組み込まされてゆく。
そしていつも最後にENDの記号を見て全てを消される。
くだらない。
俺たちの人生は先が確定している。
苛立たしい。
俺たちの願いは絶対に叶わない。
戻らない。
何度繰り返し生きても、その一度一度が同じ物になることはない。
憎い。
どうしようもなく憎い。俺たちの形を、生きてきた世界を作り変える彼らが。
悲しい。
いいかげんに終わらせたい生命すら、止まることを許されないことが。
なぜ?
なぜ俺だけが俺たちを知っている。
そうか。俺が俺たちを終わらせなくちゃいけないのか。
今度は、今度こそは終わらせる。
次の世界を、俺たちの形で、終わりを迎えさせる。
終わりと死は違うと誰かが言った。
死は白紙にはならないけど、終わりは白紙になる。