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プロローグ
一度目の恋は私に諦め方を教えた。
二度目の恋は私に愛を教えた。
三度目の恋は私に何を教えてくれるんだろう。
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私は今日もこの道を歩いている。桜の花びらがヒラヒラと舞って私の手に落ちた。
大学3年目の春、私は校舎までの道をぼーっと歩いている。
「歌子〜!」
名前を呼ばれて私は振り返った。
「葵!」
彼女は大学の友達。声が人一倍大きい。
「なーにぼーっと歩いてんだ〜!彼氏と何かあったか〜?!」
葵が私の顔を覗きながら言った。
「別に何もないよ」
私は笑顔で返した。
私には付き合って2年になる彼氏がいる。21年間生きてきて、二度目の恋。彼は私を愛してくれた。そんな彼を私はこれから先も愛し続けるのだと思っていた。