みかん
みかん
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登場人物
俺
内陸の貧しい家で育った。
上京数ヶ月目。
父
肉体労働者。
社長
俺の会社の社長。面倒見が良い。
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俺の父はみかんが好きだ。
理由はよくわからないが、父いわく「高級だからな。」という。
俺にはその理由がわからない。
……………
ある日、俺が小さいころ。父は「高級品を買ってきた。」という。
醤油漬けの"何か"を海苔で巻いたものを俺に渡す。
父は「いいから食え。」と俺の口に突っ込んだ。
それが何だったのかよくわからないが、今まで食べたことのないような、それでいて食べたことのある気がする味がした。
……………
久しぶりに夢を見た。ずっと昔のことだ。
なんで突然こんな夢を見たんだろう。俺は疑問に持ちながらも今日も出社する。
上京して数ヶ月、俺はいい会社に入れたと思う。
仕事は辛いし、決して多い給料でもないが、社長にとてもよくしてもらっている。
社長は俺たち新入社員をよく飯に連れて行く。
11時頃、突然「おい、お前ら。飯食いに行くぞ。仕事の手を止めて早く用意しろ。」と社長が言った。
俺たち新入社員は仕事の手を止め、用意をする。
用意が遅いと社長はキレてぶん殴ってくる。
俺たちは急いで用意をして社長についていった。
そこは河岸の近くの店だ。
社長はいつもガッツリ肉を食う。なのに今日は魚がメインのようだ。
社長が言うには、「うまい刺身が食いたくなった。」かららしい。
店は昼前で空いていたが、俺たちが入ってからだんだんと混み始めた。
社長はいろんなものを頼んでいたが、内陸育ちの俺に魚は分からない。
メニューを見ると海鮮丼がオススメと書いてあった。
俺にとっては高い値段だが、社長はいつも通り「なんでも頼め、全部俺が支払うから遠慮はするな。ただし残すなよ?」という。
他を見てもよく分からなかった俺は海鮮丼を頼んだ。
しばらくすると頼んだものが運ばれてきた。
見ても魚はよくわからない。
「いただきます。」そう言って、箸を伸ばす。
社長は「××が特にうまいぞ。」と言ったが、聞き覚えのない単語だった。
きっと魚の名前なのだろう。
魚と飯を口に入れる。白いの、赤いの、丸いのいろんな味がする。こんなにうまいものは初めてだ。
おわり。
寿司食べたい。