小さな太陽
(えっ、レイ? どうして? どうしてレイがここに?)
人違いではない。今マーシュの目の前にいて、ハンカチを差し出しているのは、間違いなくレイだ。こんなにも眉目秀麗な男の子をそんじょそこらの男の子と見違う筈がない。でも、レイがこんなところまで、ふらりとやって来るだろうか?
ヘズに案内させたのならば、レイの傍にはヘズが控えているだろうと推測して、きょろきょろとあたりを見回してみる。けれど、何処にもヘズの姿はなかった。レイはヘズを供につけずに、あちこちほっつき歩いているのだろうか。「貴族様のご令息」がそれでいいのか? マーシュの頭はこんがらがった。
(ひょっとして、レイはわたしを探していた? ハンカチを取り返しに来たのかな? 今朝はヘズに急かされて、ハンカチをわたしに押し付けてそのまま、慌てて行っちゃったから? でも、大切なハンカチならどうして、それで見ず知らずのわたしの傷の手当てなんかしたんだろう?)
マーシュは怪訝に思いながら、レイが差し出す二枚目のハンカチを凝視する。紺色の地に金糸の縫い取りが可愛らしい小さな薔薇の花を咲かせた絹のハンカチは、今朝、レイから受け取ったハンカチに負けず劣らずの高級品ではないだろうか。
(だけど、今朝ハンカチを貸してくれたときは今みたいに「捨ててしまっても構わない」とは言わなかったな。やっぱり、あれは大切なハンカチなんだ。返してあげなきゃ)
マーシュはレイのハンカチを捩じ込んだポケットをまさぐった。まずは「しまった、まだ洗っていなかった!」と気がついてハッとした。続いて「あれ? ハンカチがない?」と気がついてぎょっとした。
(あれ? あれれ? おかしいな、おかしいぞ! このポケットにいれておいたのに! ない? ないないない! 嘘でしょ? わたし、レイのハンカチをどこへやった!?)
ポケットをひっくり返しても、なにも入っていない。反対のポケットもひっくり返したけれど、空っぽだった。マーシュは青褪める。
四つん這いになったとき、落としてしまったのかもしれない。あたふたと心当たりを探すマーシュを、レイは小首を傾げて不思議そうに眺めている。鼻血を垂らしながら、血眼になってハンカチを探すマーシュが、形振り構わず四つん這いになろうと地面に膝をついたとき、レイが見るに見かねて、マーシュの肩をそっと掴んで立ち上がらせた。
「どうしたんだい? 何か探し物かな? 僕も一緒に探しあげよう。何を探しているの? でも、君はその前に、まずは傷を清拭して止血しないと。探し物はその後だ。いいね?」
そう優しく諭すように話しながら、レイは手を伸ばし、ハンカチをマーシュの手に握らせようとする。マーシュの手にレイの指が触れて、マーシュの肩が跳ね上がった。ちょうどそのとき、四阿の奥に引っ込んでいたロダンが飛び出してきて、声を張り上げた。
「クルス、大丈夫!?」
クルスが尻餅をついて呆然とするところを目の当たりにして、ロダンはカッと目を見開いた。その眼でレイを捉え、眦をつり上げる。唇が小さく、やがて大きく震えだす。ロダンは全身を震わせて立ち上り、浅黒い顔を真っ赤にしてレイを恫喝した。
「おい、お前! クルスに乱暴したな、絶対にゆるさない! こてんぱんにやっつけてやる! 泣いて謝っても、ゆるしてやらないぞ!」
マーシュは咄嗟に、レイの着ている上着の袖を強く引いた。憤慨したロダンが今にもレイに襲いかかるのではないかと想像したら、無意識のうちに、レイをさがらせて自分がロダンの前に出ようとしていた。
ところが、レイはびくともしない。どうかしたのかい? とでも言うように、とぼけた顔で小首を傾げて、悠長に構えている。マーシュに手渡したハンカチを、ちょっと失礼と言って受け取ると、そのハンカチで血塗れになったマーシュの鼻の下、口唇、顎を丁寧に拭いはじめる。
そうじゃない。そうじゃないよ! と、マーシュはぶんぶんと頭を振るけれど、その動作にこめた意味を、レイは汲み取ってくれない。当たり前だ。レイはマーシュの母さんではないのだから。「母さんは貴女のことなら、何でもわかるのよ」なんて言ってマーシュの考えていることをぴたりと言い当てる。そんな魔法使いみたいな芸当、レイには無理だ。赤の他人にそんなことされたらマーシュが困る。
伝えたい気持ちは、言葉にしないと伝わらない。そんな当たり前のことを確認してからでないと、言葉が出てこない、鈍くさいマーシュに先んじて、声をあげたのはクルスだった。
「待て、ロダン! お前はそこから一歩も動くな」
振り返りもせずにロダンにそう言いつけると、クルスはやおら立ち上り、ズボンについた砂埃をはたき落とす。ロダンは四阿から一歩踏み出そうとしたところで踏みとどまった。
ロダンはクルスの忠実な番犬だから、クルスの命令には絶対服従である。ところがそのロダンが、仏頂面になって唸り、クルスの命令に異議を唱えた。
「でも、クルス」
「一歩も動くな! 何度も言わせんじゃねぇ!」
ロダンはクルスの身を案じるからこそ、異母兄に口答えしたのだろうに、クルスは異母弟を頭ごなしに叱り付けてしまう。クルスがすごい剣幕で怒鳴るから、トッジとキールは自分が怒られたわけでもないのにたじろいだ。当のロダンはと言うと、怯みはしなかったものの気勢をそがれたのだろう。むっつりと黙りこんだ。岩のような拳が、女の子のハンカチをくしゃくしゃに握りつぶしている。
マーシュはロダンを罵倒しかけて、慌てて口をつぐんだ。咎めたいのは山々だけれど、下手に女の子のハンカチに言及すれば藪蛇になる恐れがある。
ロダンはクルスの後姿を物言いだけに見つめていたけれど、待てど暮らせどクルスが振り返らないので、回れ右をして四阿の奥に引っ込んだ。隅っこで、しょんぼりと肩を落とし、大きな図体を縮めている。
(ありゃりゃ。ロダン、お気の毒)
マーシュは心のなかで呟いた。そのままを言葉にして伝えることはしない。レイがマーシュの鼻血を止めようとして、マーシュの鼻をちょんと摘まんでいるので、このまま喋るとおかしな声が出てしまうだろうし。それに、敵に情けをかけられるなんて、ロダンだって願い下げだろうから。
ロダンの心配をするより、クルスが女の子のハンカチを盾にとって、マーシュだけではなくてレイのことも「手も足も出ないようにしてから、たっぷり甚振ってやる」と言い出したらどうしようと、その心配をしなければならない。ずる賢いクルスなら言い出しかねない。
ところが、マーシュの鼻を摘まんでいたレイが、マーシュが思っても口にしないことを、さらりと言ってのけた。
「君達、クルスとロダンと言ったね。クルス、ロダンは君の身を案じている。その原因である僕がこんなことを言えた義理ではないが、君は彼の思いやりに感謝して然るべきじゃないか。そんな、つっけんどんな態度をとるべきではないだろう」
マーシュは吃驚仰天した。レイの指摘は正しい。正しいけれど。
(いま、ここで、この状況で、あんたがあいつに、それを言っちゃうの?)
クルスは首をすくめて、口のすみだけに笑いらしいものを漏らした。狡そうな冷笑に軽蔑の影がさす、皮肉な痙攣だった。マーシュの背筋に悪寒がはしる。
(うわぁ……クルスの奴、相当、頭にきているよ)
クルスは肩を竦めた。ぎょろりと目玉を回す。眼に憎悪が赤く充血している。
胸を反らして、顎を上げる。芝居がかった仕草で天を仰いで、クルスは哄笑した。
「こりゃ参ったぜ。そうだ、そう。おたくの仰る通り! 悪かったな、ロダンよ。すまん。俺が悪かった! 俺としたことがすっかり取り乱しちまった。情けねぇよな。驚いたんだ、驚いたんだよ! 何処の誰だか知らねぇが、いやはやまったく、たいしたもんだ。奇襲をかけるたぁ、あんた、なかなかどうして、頭が切れるじゃねぇか。おっと、勘違いするなよ。難癖をつけるつもりはねぇんだ。まんまとしてやられた俺が、卑怯だ何だと吠えたところで、所詮は負け犬の遠吠えだからよ。奇襲は正当な戦術だ。そうさ。勝てば官軍負ければ賊軍ってやつさ。そうだろう? 一騎討ちだの、真っ向勝負だの、ちゃんちゃらおかしいよな? お作法に則ってお行儀よく喧嘩なんぞ、やってられるか、馬鹿馬鹿しい ! そうだとも。喧嘩に卑怯もへったくれもあるものか! なぁ? あんたはなかなかの策士だよ」
早口で捲し立てるクルスの言い草が気に入らなくて、マーシュは鼻白む。腐った肉に噛りついたかのような感覚がして、くしゃりと顔をしかめた。目を細くして、鼻に皺を寄せた険悪な表情は、我ながら不細工だと思う。けれど、そうせずにはいられない。卑怯者の自分を棚にあげてレイを卑怯者呼ばわりするのだから、クルスの性根は腐りきっている。
立板に水を流すように雄弁に語るクルスと、律儀に相槌をうちながらそれに耳を傾けるレイを交互に見る。今になって気が付いたのだけれど、レイは今朝、銀色の崖で着ていた礼服ではなく、ヘズが着ていたチュニックと、似たような衣装に袖を通していた。もしかしたら、同じものかもしれない。ヘズが着ると袖が余って手の甲がすっぽり隠れていたけれど、レイが着ると前腕の三分の一が露出している。ヘズのチュニックを借りてきたのだろうか。
衣装が変わっても、レイの生来の高貴さはちっとも損なわれない。しかし、平服を身に纏って路地裏に現れたレイが貴族様のご令息であるということを、クルスは知るよしもないのだ。見掛けない顔だから旅芸人の子なのだろうとあたりをつけているのだろう。だから、強気に出られる。口撃にも容赦がない。
もし、レイが礼服を身に纏っていたなら、クルスはへこへことへりくだるに違いない。レイの正体を知って、あわてふためいて、平伏すクルスの醜態を想像すると胸がすく思いがする。レイはお忍びでここまで来ているらしいから、そうはいかないだろうけれど。
(いやいや、クルスに腹をたてたら、うっかり口を滑らせるかも?)
そんな期待をこめてレイの表情を盗み見る。クルスのねちねちとした怒濤の口撃を、レイは涼しい顔をして受け止めていた。怒るどころか、苛立つ素振りさえ見せず、クルスの言葉が途切れるまで付き合い、その上
「そうか。僕は君に、卑怯だと謗られても仕方がないことをしたと言うのに、相手の非を責めず自らの非を認めるのか。君は潔いひとだな」
と大真面目な顔をして言った。
クルスが目を剥いた。マーシュは噴き出しそうになって、咄嗟にそっぽを向いた。
クルスの表情を見て声調を聞いて、そうすれば考えるまでもなく、クルスの言動が悪意に満ちていることがわかる。世間の悪意や作為をまるで知らない、御伽噺のお姫様じゃあるまいし、クルスの言葉を嫌味としてではなく、言葉通りに受け取る、なんてことはあり得ない。つまり、レイはクルスの嫌味に嫌味で返したのだ。
一見して品行方正に見えるレイの意外な神経の図太さに、マーシュは舌を巻く。
(おおっ! 虫も殺さないような顔して、結構やるじゃない)
嫌味に嫌味を返すなんてこと、やろうと思えば誰にだって出来る。レイのすごいところは、品位を保ちつつ、それでいておっとりといやみがないようにそれをやってのけるところだ。あまりにも無邪気だから、クルスの言葉を鵜呑みにして、手放しにクルスを称賛しているかのように見えるし聞こえるところが本当にすごい。クルスからすれば、そこが腹立たしくてたまらないだろう。
レイの微笑みを淡いながら嘲笑として受け取って、クルスはいっそういきり立った。
「……おっと、すまねぇ。俺はどうやら、思い違いをしていたらしい。前言撤回だ。てめぇは策士でもなんでもねぇ、ただの間抜けだ。皮肉も通じねぇんだからよ! わかっていねぇようだから、教えてやる。てめぇがさっき何て言ったか覚えてるか? てめぇは俺を罵ったんだ! 卑怯者とかなんとか言ってな! ほざけ! 背後から襲いかかるような 卑怯者に、卑怯者呼ばわりされる筋合いはねぇんだよ!」
怒り心頭に発したクルスが、地団駄を踏んで喚き散らすのを、マーシュはにやにやして見物していた。いい気味だと思うマーシュは意地悪だけれど、それでもやっぱり、クルスには負けると思う。
カーッと頭に血が上ったクルスは、女の子のハンカチのことをすっかり忘れているようだ。少なくとも、いまのところは。いまのうちに、ロダンのところまで走っていって、女の子のハンカチを取り返すことが出来ないだろうか。女の子のことは、レイが守ってくれる……だろうか。レイは体格に恵まれているけれど、腕っ節が強そうには見えないから、不安だ。
クルスの凄まじい剣幕に面食らったのか、きょとんとしていたレイだけれど、すぐさま神妙な顔をして、クルスの真っ赤な顔を見つめ返す。罵倒されても、レイは憤らず、狼狽えず、怯えもしない。クルスの罵詈雑言のすべてを受け止めて、こっくりと頷いた。
「なるほど。確かに、君の言う通りだ。僕自身の落ち度を度外視して、君を責めるのは筋違いだった。まずは、事前に警告を発することもせず、恫喝めいた真似をした非礼を詫びよう。すまなかった」
深々と頭をさげたレイの姿に、その場に居合わせる全員が目を奪われる。そして、誰もが皆、唯一人の例外もなく、狐につままれたような顔をしていた。
この状況で、怒り狂って悪意に満ちた罵詈雑言を浴びせかけてくるクルスを相手に、素直に自分の非を認め、真摯に謝罪することの出来る男の子が、このブレンネン王都にいるなんて。
(ええと……なんだ……何て言うんだ? ……おおらかと言うか、心が広いと言うか……。これは育ちの良さのなせるわざ? でも、貴族様のご令息が皆、こうじゃないだろうから、やっぱりレイが特別なんだろうな……)
レイは頭を上げた。拗ねたところも、卑屈なところもない。戸惑い揺れるクルスの目を、レイは真っ直ぐに見詰める。
「さぁ、次は君の番だぞ。君は彼女を傷つけた。彼女に謝罪するべきだ」
(えっ? 彼女? 彼女って、もしかして、わたしのこと!?)
マーシュはぎょっとした。レイの顔を振り仰ぐ。マーシュはクルスの謝罪なんて、露程も望んではいない。マーシュがクルスに望むことは、女の子にハンカチを返してすぐさま消えて欲しいということだけだ。
しかし、反論しようと口を開いた矢先、レイの腕がマーシュの背に回ったので、マーシュは悲鳴を噛み殺す為に口を閉じなければならなくなった。緊張して強張るマーシュの背をレイが宥めるように撫でるものだから、マーシュはかちんこちんにかたまった。
普段のお転婆ぶりはどこへやら、かりてきた猫のようにレイの傍らにおさまったマーシュを、奇妙な虫を見るような目で一瞥して、クルスは鼻先で笑った。
「ああ? なんだなんだ。道徳を講釈して聞かせてくれんのかと思いきや、言うに事欠いて、謝罪しろだぁ? 俺が、この阿婆擦れに? ははっ、ご冗談を! 俺ァなァ、分際を弁えねぇ小娘に、礼儀を教えてやってんだ。ブレンネンの男たるもの、女に甘い顔をしちゃいけねぇ。女はすぐにつけあがるからよ。娘に真っ当な嗜みを躾ンのは、本来なら父親のつとめだが、そいつの養い親は妻子にでれでれしやがって、そのつとめを疎かにしやがる。そもそも、子供を産めねぇ死人みてぇな女を女房として傍に置いてるってところからして、いかれてやがるんだ。そんな女の出来損ない、とっとと追い出して、まともな女を娶りゃいいのによ。それを石女の慰みに付き合って、捨て子を拾って育てるなんぞ、ブレンネンの男の風上にも置けねぇ、腑抜けの呆助だ。だから、俺が奴にかわって、こうして鞭を惜しまず躾てやってんのさ。石が流れて木の葉が沈むって言うように、あんたの言ってることは、世の中の道理と真逆だぜ」
「父さんと母さんをバカにするな!」
マーシュは勃然となって怒号を放つ。悔しさのあまり、目の前が真っ赤に染まった。
父さんと母さんは、マーシュの命の恩人だ。捨てられた赤ん坊を拾って、我が子として慈しみ育ててくれた。立派なひとたちだ。
父さんと母さんを侮辱されては、黙っていられない。じっとしてもいられない。拳を振り上げ、クルスに殴りかかろうとしたマーシュの肩をレイがぎゅっと抱いた。そうして、マーシュを引き留めながら、レイは淡々とした声調で言った。
「君は心得違いをしているようだね。君の言う男らしさは、横暴であって、真の男らしさではない。愛するものに能う限りの愛を注ぐ、心優しく頼りになる男こそが、真に男らしい男なのだ。愛娘にこんなにも慕われているのだから、彼女の父君は真に男らしい立派な御仁なのだろう。子宝に恵まれない可哀想な女性を貶めるなど、品性下劣としか言いようがない。人道に悖るのは君のほうだ」
クルスは喉を鋭い刃で突かれたような苦鳴を漏らした。そのとき、クルスがどんな表情をしていたのか、マーシュにはわからない。マーシュはレイの横顔だけを見つめていた。
この薄暗い路地裏で、レイだけが太陽に照らし出されたかのように白く浮き出して見える。目の光を奪いかねない眩しさから目を逸らせない。レイの輝き、それは美しい容姿によるものではなく、魂そのものの眩い輝きなのだと、マーシュは思った。
マーシュはずっと、このブレンネンは間違っていると思っていた。マーシュの好きなものが否定されて、マーシュの嫌いなものばかりが肯定される世界で、マーシュは父さんと母さんと、肩身の狭い思いをして生きてきた。
マーシュは父さんと母さんのことが大好きで、大切に想っている。照れ臭くて面と向かって伝えることは難しいけれど、父さんと母さんを尊敬しているし、とても感謝している。わたしの父さんと母さんは最高の父さんと母さんなんだと、叫びたいくらいだ。だけど、その想いは胸に秘めていた。言葉にしたところで、心無い言葉にかきけされてしまう。誰も彼も、マーシュに言わせれば間違っているから、マーシュの信じる正しさを、誰も理解してくれないと思い込んでいた。
けれど、そうじゃなかった。マーシュの正しさを、レイは認めてくれたのだ。
マーシュが見上げた横顔は眩しくて、マーシュの肩を抱く手はあたたかい。薄暗い路地裏で眩く輝くレイはまるで、小さな太陽みたいだ。




