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第9話+α

ようやくユーザー御本人(柊=響)の作品が掲載されました

そちらが基本メインですので皆様どうぞ宜しくお願いいたします。


                  ~(えにし)


~ナカスの街~


アキバで開かれる天秤祭を、数日後に控えたある日

アナスタシアはナカスの街の<ワンダートロピカル>という店に居た

此処である人物と落ち合う約束をしているからだ。


「は~い、ワンダーパフェです♪」


可愛らしい制服に身を包んだ店員がテーブルへとパフェを運び

折り返して他の客の所へと注文を聞きに行く。

伊織は目の前に置かれたパフェを見て思わず声を上げてしまう。


「適当に頼んだら、大変な物が来ちゃった・・・」

「メニューに商品の絵を添えてほしいものですね」


アナスタシアはその大きな1.5人前はありそうなパフェを見て嘆息する

伊織は目の前に置かれたパフェを何処から食べるべきかと

スプーンを手に、パフェを色々見回している。

そして伊織はスプーンでパフェを掬うと


「はい、あ~ん」


と、アナスタシアへ差し出してきたのだ

伊織の行動に思わずアナスタシアは声を荒げる


「スプーン1本しかないのに、私に食べさせてどうするんですか」

「え?、別に気にしないよ?」

「女の子なんですから、もうちょっと羞じらいと節度をで・・・」


伊織にスプーンを口の中に入れられアナスタシアの言葉は途中で止まる

アナスタシアは口の中に入れられたパフェをモグモグと咀嚼し。


「パイナップルとマンゴーの甘味が上手く調和されていますね、美味しいです」

「ん~♪」


アナスタシアがパフェを咀嚼している内に伊織もパフェを食べ

美味しさからか、足をパタパタと動かしていた。

そんな二人の元に、今回の待ち合わせの相手がようやく訪れた。


「相変わらず仲が良いな二人共」

「ご無沙汰ですにゃぁ」


訪れたのはコートを着た剣士風の男と、白地に縞模様の猫人族で

剣士風の男は[レオンハルト]と言い、彼は

アナスタシアとシグムント、そして葛葉

他にも様々な仲間達を率いていた【閃空の軌跡の彼方】という

ギルドのギルドマスターであり、アナスタシアの先代の

テストプレイヤーであった人でもある。


「猫介さんもご一緒でしたか、此方こそご無沙汰しております」


猫人族の名前は[猫介ねこすけ]と言い、彼女達の古い知り合いである

以前は、【ねこまんま】と言うギルドに所属していたが


「家屋が倒壊し、皆散り散りになってしまいましたにゃ~」


と、言う事であるらしい、要するにギルドが解散してしまったのだ。

他の仲間もログインが不定期になっていく中、彼はエルダーテイル先達として

後輩の<吟遊詩人(バード)>達に戦闘指南をしていたのだったのだが・・・


「この国の陽気に誘われ、隠居を決めかけていたにょですが」

「この街の食糧事情に関わる事件が起きていてな」

「事件?」


アナスタシアが眉を潜めて聞き返す、伊織もパフェを食べながらだが

話の流れに耳を傾けているようだ。

レオンハルトと猫介の二人も席に着き、猫介は鞄から在るものを取り出す

それは様々な書き込みの施された地図であり、それを指差して


「奴は南から農園を荒らしつつ北上ちゅうですにゃ、早ければ数日後に

 このナカスの南にある農園へとやって来るはずですにゃ」

「今回の事件、犯人が大地人か冒険者かもまだ分かってない」

「御上から、「内密に処理して欲しい」とのお達しですにゃ」


猫介の言う御上とは、この国で農園管理を任されている、ある貴族の一人で

事前に聞いたレオンハルトの話では、変装してナカスの街の酒場へとやって来て

皆に頭を下げ、力を貸して欲しいとお願いしたのだそうだ。


ナカスの街は治安が良く陽気さが売りの街であったため、その青年の願いに応え

皆散り散りに動き、念話で連絡を取り合い、被害を調べ、犯人を調査している

そして、その調査の結果、犯人が北上している事が分かり。


「犯人を待ち伏せしようと言う事ですにゃ」

「仮に魔物だった場合、このナカスの冒険者は200程度」

「その3分2が生産職で、戦闘職の方々は調査や、村の住人への聞き込みに

 犯人が来る迄にその方々が戻ってくるのは難しいですにゃ」

「それでミヤの力を借りたかったんだ」


アナスタシアには専用の騎乗様の飛龍があり

今回はそれに乗ってナカスへとやって来たのだ。


「それは構いません、それでレオン、頼んだ物は?」

「ああ、用意してあるぞ」


レオンハルトはアナスタシアにマジックバッグから取り出した

メモ書きの束を手渡した、アナスタシアは受け取ったメモを捲り

伊織はその束を覗き込みながら聞いてくる。


「ナカスの冒険者リスト?」


そう、アナスタシアが受け取ったメモは

ナカスに居る冒険者達の事が記された物である、

そして冒険者の名前の記されたメモ・・・それは

アナスタシアの主(鷹宮)がミナミに訪れた際にも集めていた物だった。


「なんでそんなものを?」


伊織は考えが出てこず、首を捻って聞く

意外な事に、その答えはレオンハルトから返ってきた。


「それは、大災害に巻き込まれた冒険者が、誰一人欠ける事なく

 元の世界に帰る為に必要なんだ」

「?」

「もし、冒険者の誰かが欠けてしまったら、我々は・・・エルダーテイルを初め

 MMOーRPG全てを、失ってしまうのですにゃ」

「あ・・・」


伊織はようやく意味を理解した、冒険者は大神殿で復活する手前

[死]という物に対し、鈍感になってしまっているのだ

元の世界に戻れても、もし・・・誰かが死んでしまえば

エルダーテイルというゲームは人を殺すゲームだと言わてしまう

そして・・・オンラインゲーム全てが世界から消える事になるだろう。


「我々は・・・エルダーテイルを愛してますにゃ」

「だからこそ、エルダーテイルに人を殺させる訳にはいかない

 全員で生きて帰らなければいけないんだ!!」

「ええ、エルダーテイルを・・・そして、

 このセルデシアに住む全ての命の為にも」


レオンハルト達の言葉の後をアナスタシアが繋ぐ、そして伊織も

力強くその言葉に頷いた。


「堅っくるしい話は終わりだ、先ずは目先の事件の解決からだ」


頭をガシガシとかきながらレオンハルトはそう告げると

伊織はニヤニヤ笑いながらレオンハルトをからかい始める


「な~に似合わない事を言っちゃってるんです、いつもの傍若無人な

 超自由人っぷりは何処行ったんですか」

「失礼な!、俺とてエルダーテイルを20年たしなんでいるんだぞ!」

「はいはい、そう言う事にしておきますね」


からかいの止まらない伊織にレオンハルトは「きぃ~、くやしい」と

情けない声をあげている、そしてレオンハルトは伊織をジト目で見やり

少しばかりの反撃を行った


「いつもミヤにベッタリの癖に」

「///なななななな///」


伊織とレオンハルトは二人して子供みたいな睨み合いを始めてしまい

話が進まなくなったので、結局は猫介に仲裁されたのだった。


*9話はここまででしたが、10話予定だった賊退治編を以下に追加しました*


その後店を出た4人は、マーケットへ立ち寄りアイテムの購入を済ませ

農園を荒らす犯人を捕らえるために、ナカスの少し南にある農園へ向かった

農園の管理小屋をベースキャンプとして借り、交代で見張る事に


見張りを続けて数時間が経ち、空も白んで来た頃それは現れた


「おいでなすったか、猫介は2人を起こして来てくれ」

「分かりましたにゃ」


猫介が奥の部屋へ2人を呼びに行こうとした所で、部屋の扉が開く


「必要ありませんよ、もう準備出来てますから」

「アナスタシア~、起きるの早いよ~」


アナスタシアの言葉とは裏腹に伊織はまだ目を擦って眠そうにしていた

アナスタシアに洗面所へと行く様に言われ、伊織はのそのそと部屋を出ていく


「で、賊は?」

「少し前に農園へ来たみたいだ、しかしアナスタシア」

「何ですか?」

「随分とゴツい鎧ですにゃぁ」


アナスタシアは黒い騎士鎧を身に纏い

大きな騎士盾ナイトシールドを背負っていた

身長の高さも相まってかなりの迫力がある


「ゲームの頃じゃあ分かりづらかったが、それがブラックフェンリルか」

「色が黒なので少々あれですが、お綺麗ですにゃ~」

「そうだな、ドレススカートといい、胸元といい」


アナスタシアの騎士鎧<ブラックフェンリル>は

アナスタシアがまだ<守護戦士ガーディアン>をしていた頃の鎧を基にデザインされた

女性用のフルプレート系の鎧の一種である


*シャイニングブレイド・ローゼリンデの鎧の黒と紅を塗り替えたと思って下さい*


女性用の鎧は胸元を覆うようなタイプ(原作のレイネシアが着たような物)か

アナスタシアが着ているような、胸元が少し開けて飾られている物の2種類がある

おまけにアナスタシアは身長の高さに釣り合う見事なスタイルを誇るので

レオンと猫介の2も思わず見とれてしまった、しかし・・・

顔を洗い終えて戻って来た伊織に冷や水のような一言を浴びせられ慌て始める


「目付きがいやらしいですよ二人共」

「ばば···ばか言うんじゃない」

「紳士として、少しはしたなかったですにゃ」


レオン達は取り繕うように慌てるが

ゴホンと咳払いしたアナスタシアに視線を集める


「私達の闘い方は亜流ですが、猫介さんはその事は?」

「存じておりますにゃあ」

「では、いつも通りレオンをメインアタッカーとして行きます」

「任せておけ」

「了解ですにゃ」

「ええ」


フォーメーションを確認した4人は、静かに小屋を出て農園を進む

そして、賊と相対し驚愕する


「ジュララララララ」

「デカイな、まむしなわけないよな」

「むしろアナコンダですにゃあ」

「たしかに映画であんなデカイのいましたけど」

「やることは変わりません、行きますよ!」

「さあ、俺達の戦闘ダンスパーティーを始めようか!!」


レオンの大胆不敵な笑みから放たれた言葉を合図に

4人は物陰から飛び出し、10メートルはあろう大蛇(オロチ)へと向かって行く

この大蛇はエルダーテイル時代にはナカスには生息していない魔物であり

<ノウアスフィアの開墾>で追加された新モンスターである

行動パターンも分からない相手ではあるが、そこはソレであり

古参であり歴戦の猛者である彼らを躊躇させる物ではなかったのだ


大蛇は4人に気付き威嚇の咆哮をあげるが気にも止めなかった

大蛇は素早く後ろに回り込もうとしたレオンに目を向けるが

その行動は途中で中断される


「アンカーハウル!!!!」


アナスタシアが放ったタウンティングによって顔を引っ張られた大蛇は

次の瞬間、大きな咆哮をあげる

レオンが<ステルスブレイド>を放ち、先制の一撃を見舞ったのだ

猫介は敵愾心(ヘイト)を上昇させる歌唱術を自身に掛け

大蛇の視線を誘導するようにヒラヒラと軽やかな動きで戦場を舞い踊る


その動きに目を奪われた大蛇はまたもや大きな咆哮を上げる


アンカーハウルをかけていたアナスタシアのカウンターアタックが

大蛇の巨体を切り刻み、ソレと同時にまたも大蛇の背後から

レオンのステルスブレイドが撃ち込まれ、大蛇のHPを奪い取って行く


この一連の動きに伊織は呆然とするしか出来なかった

普通なら敵愾心は壁役一人に集める物であるのだが

猫介は自身にも敵愾心を集めさせる事によって

アンカーハウルのカウンターアタックを上手く発動させたのである

そして、アナスタシアと猫介による視線誘導で大蛇に死角を作り

レオンは死角へと常に回り込み、ステルスブレイドで大蛇のHPを奪い続けて行く。

少人数でこれ程までに優勢に、高回転で立ち回る3人に

伊織も負けてはいられないと、魔法の詠唱を始める


「行って!!、ボルトパライザー!!」


大蛇へと落雷が落ち、大蛇の動きが鈍くなる

伊織の放ったこの電撃魔法は、威力は低いが

相手に麻痺(感電)のバッドステータス効果を与える魔法であり

大蛇の行動順を奪うための魔法でもあった


麻痺によって行動回数を奪われた大蛇は伊織に視線を向けるが


その行動は


「ステルスブレイド!!」

「レゾナンスビート!!」

「オーラセイバー!!」


視線を外れた3人から一斉に攻撃を受けた大蛇は

オロオロと辺りを見回すしか出来なくなってしまう

誰に敵愾心を集めればいいのか、もう分からないのだ

だが、麻痺によって奪われた行動をなんとか取り戻し

攻撃行動へと移した大蛇だったが、もうすでに・・・手遅れだった


「その幾重もの鎖はアナタを冥福へと引きずり込みます」

「アサシィネイトォ!!」


伊織の放ったバインドによって身動きを封じられた大蛇は

空を舞い、剣を降り下ろすレオンによって斬り倒されたのだった


打ち倒され弾け跳んで消える大蛇

散らばるドロップアイテムや金貨は結構な量があり

これには伊織も頬が緩んだ、しかし

レオンのいい放った一言で表情が固まる


「何してる伊織、落ちたアイテムは全部、被害が出た農園の修繕費だぞ?」

「ええーーーーー!!!!!」

「この国もそこまで豊かではないですにゃ

 我々で出来る補償はしなければなりませんにゃあ」

「うぅ・・・」


伊織とて言われれば、それは理解できるので、唸るしか出来なかった

そんな伊織の頭をアナスタシアがポフポフと撫でる

伊織はアナスタシアを見上げ、アナスタシアの優しい表情を見ると

小さく頷いて、大蛇のドロップアイテムを猫介へと手渡す


「さぁ、街に戻りましょう」

「はぁ~い」

「そんな顔しないの伊織、帰ったら天秤祭でしょ、何か買ってあげるから」

「うん···」


アナスタシアは伊織の背中を優しく叩き、一緒に歩き出す

その後を、レオンと猫介も静かに笑いながら付いていく


こうして、ナカス一帯の農園被害を起こした大蛇退治は幕を閉じたのだった


段落調整等をして、読みやすくして行きたいと思ってますが

内容が独りよがりになってないか心配です。

改善点や問題点等、意見が御座いましたら色々と教えて頂けないでしょうか?

皆に楽しんで頂けるように努力したいと思います。

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