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第8話


                ~《姿》~



~ミナミ、クオンの部屋~



「そんな訳で2つの変身システムを追加させてるから」

「運営も私に何をさせたいんでしょうね」

「さあ?、イメージアップ戦略じゃない」

「だったら無駄なイベントを企画しなければいいのに」


運営の企画はいつも中途半端に終わり不良在庫が大量に出る、

骨董品店で捌けと言われても無茶苦茶もいいところなのである


「クレスケントポーションとかネームプレートとか、大量に

倉庫に余ってるんですよねほんと」

「外観再決定ポーションは?」

「アレならロデ研が買っていってくれました、なんでも成分を調べて

廉価版を作るそうですよ?」


クオンはその事にしきりに感心していたが、あることを聞いてくる


「そういやネームプレートって?、聞いた事ないけど」


アナスタシアはため息をつきながらクオンに説明を始める

「ネームプレート」は数年前、クオンがまだ雇われる前に行われた

<新社会人応援キャンペーン>というしょうもないイベントで配られたアイテムで

プレイヤーの名前を変えることが出来るものだったのだが


「悪さに使う奴がいてね、即全回収」

「ああそれなら聞いたな、他人語りをして悪さする奴がいたって」

「そう、ほかにも見た目が変わる衣装アイテムのスーツとか」

「あれを装備品に変えるの苦労したな~」


スーツやアイドル衣装のような衣装アイテムは実は

キチンとした装備もあったりするのだ、

まあ三日月の会計さんの装備がいい例である


クオンはそういった衣装アイテムに数値やスキルを追加したり

入手イベントを考えたりしていたらしい。

アナスタシアが今着ている服もコラボスクラッチで引いた衣装アイテムである


「まあ色々あるわよ」

「コラボスクラッチ系はミヤさんの発案だっけ?」

「まあね」


代々歴史の長いオンラインゲームには様々なゲームとのコラボにより

様々なユニークアイテムが追加されたりする。

どうせ意味のない販促イベントをするくらいなら

この方が建設的だと提案したところ、即OKが出てしまったのだった。

しかし結果は上々であり装備に拘らなくても衣装で見た目を変えれる事により

装備の見た目を事細かに設定しなくてもいいと杜撰になってしまったものもあるが


「僕は衣装より変身システム考える方が好きだなぁ」

「あれ?、クオンってライダー派だっけそれとも特撮派?」

「ん?、僕はライダー派かな魔術師とか000とか面白かったし」

「私は黒と黒RXと影月ですね」

「古いよ!?、一瞬分からなかったし」

「あと、高い所から「まてぇぇい!!」って叫んで決めセリフとか言ってみたい」

「ああ♪、僕も変身して決めポーズしてみたい、セリフは恥ずかしいかな」


二人の世間話は脇道へと思いきりずれてしまうが特に止める必要もないので

ゆっくりと現実世界の事を語り合った。

数刻もした頃ドタドタと足音を鳴らしながら大地人の騎士が訪ねて来た


「クオン、姫様がまたどっか行ったらしいが知らんか?」

「いや、僕のところに情報は入ってないけど」

「そうか、邪魔したな」


騎士はまたドタドタ足音を立て別の場所へと向かっていった

アナスタシアはさっきの騎士の目付きが気になった


「あの騎士もしかして・・・」

「多分、暗殺を企てた一派の連中じゃない?」

「やはり」


アナスタシアは以前遭遇した暗殺事件の事を

クオンにそれとなく情報を集めてもらっていたのだ。


「さて私も帰るわ、あまりクオンと話していると君が大地人達から睨まれるしね」

「そういや、もうすぐアキバはイースタルと条約を結ぶんだって?」

「それってあのアサシンの奴が言ってたの?」

「12番ならクビになったよ、ミヤさんが見つけたりするから」

「そう言われれもね、まあアキバに手を出さないならいいわ」


アナスタシアはクオンにまたと言って部屋を後にした

城の出口へと差し掛かった所である人物に出会う


「御機嫌ようインティクス」

「また貴方ですか鷹宮、今度の今度は邪魔はさせませんよ」

「そう、まあ頑張って、ただ」

「ただ、なんです」


お互いは暫く睨みあいようやく言葉を続ける


「この世界は君が思っているほど簡単にはいきませんよ」

「重々承知しております」

「どうだか」


アナスタシアはそれだけ言うとインティクスとすれ違い城の外へ歩きはじめる

そして・・・アナスタシアの背中にある宣戦布告が投げ掛けられる


「最後に勝つのは私ですから」


インティクスも城の奥へと歩きはじめたので

アナスタシアはその布告にはなにも返さなかった。






~ミナミ、城壁出入口~


アナスタシアが帰ろうとすると後ろから声をかけられる


「あの・・・冒険者様、もしアキバへ向かうなら道中ご一緒しませんか♪」


そこには独りで馬車を扱う大地人がいた、この大地人もアキバへ向かうらしい

アナスタシアは静かに馬車に乗り腰を落ち着ける

それを確認した大地人は手綱を鳴らし馬車を進める


「ご挨拶が遅れましたね、私はダリエラ、物書きをしております」

「物書き・・・ねぇ」


アナスタシアはどうするか迷ったが二人しかいないので

相手の意図は無視することにした


「納言様は御一人で何処へ行くんです」

「なんの事でしょうか♪」

「まあいいですが、妙な真似をすれば知人といえど首を跳ねますよ」

「あら恐いですわ♪、私は鷹宮様には感謝しておりますのに」


彼女はクスクスと笑うばかりで本当の事は言う気などないようだった

だが急にらしい事を言い始める。


「貴女はお仕事上の事かもしれませんが、私はあの時運命に出会ったのです」

「もしかして、彼の事?」

「ええ♪、あの人は私の運命なのです、私の運命はあの時からようやく

まわりはじめたんです」

「運命ね、君はそんなもの信じるタイプだったのかな濡羽嬢」


彼女は気にせずクスクス笑うだけだった、だが・・・

振り返った彼女が浮かべていた笑みはとても妖艶でありながら、

とても危ういものを含んでいた。


「私も運命は信じません、信じても誰も何もしてくれなかった」

「・・・」


彼女のリアルでの事情を知っている手前、アナスタシアも何も言えなかった


「でもシロ様のことは私が私の意思で運命だと決めました、

他の誰にも邪魔させたりはしません」

「濡羽、貴女は・・・」

「鷹宮様、邪魔はなさらないでくださまし」


アナスタシアは彼女の意思がとても危うい脆いものだと知りつつも

何も言わなかった、主の記憶があれど主のように彼女に何か言えるほど

彼女の事を理解できてはいないのだから。


「そのかわり♪インティクスがすることに関与しませんし止めるのもご自由に」


そういって笑う彼女にアナスタシアは1つだけ言いたかった


「貴女は・・・それでいいの?」

「世界にもインティクスのしようとすることにも興味なんかありませんもの」


二人の会話はそこで途切れ、

イースタルで彼女と別れるまで言葉を交わさなかった

だが別れ際に彼女は


「ご注意なさいませ騎士様、インティクスは野望の為にゾーンの購入システムを

利用するつもりですよ♪」

「・・・ご忠告痛み入りますダリエラさん、貴女もご達者で」


それだけ交わし二人は道を違えたのだった。









〈追加されてたモジュール〉

モード【ゴッデス】

白銀の鎧と翼を持つ女神の姿、運営のイメージアップ用の衣装であり意味は特にない


モード【ブレイザー】

蛮行を行うプレイヤーを制裁する時用の黒い鎧

見た目はまるで変身ヒーローのよう、鷹宮の趣味を基にクオンが独断で追加しておいたもの

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