表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/43

第6話

                ~《確執》~



先日の事件の翌日、一行はまだミナミに居た。

アナスタシアが今の状態になってしまった事を説明したが、

皆の反応はいたって普通で、

アナスタシアも思わず呆気にとられてしまったのだった。


「皆さん、結構適当なんですね、私…

 もっとマスターの心配をしてくれるのかと思いました」

「なに…ミヤの事です、今頃はのんびり昼寝でも堪能しているでしょう」

「そりゃあ、マスターの魂は未だ眠りについたままですが…」

「いずれ目を覚ましてからでいいんではないですか?、今私たちがすべきなのは」


シグムントが言い淀んだのを皆も正しい意味で理解したのだろう


「プラント・フロウデンにつくか円卓会議につくかですか?」


アナスタシアが皆を代表して続きの言葉を発した


皆それぞれ悩んでいるみたいですぐに答えは出そうにない。


「とりあえずアキバに戻りましょう、なんかお店にまた宅配便来たみたいなので」


アナスタシアが手を叩き皆の考えをそこで打ち切るように提案した、

皆も今はそれでいいと納得してくれたらしく


皆出発の準備を始めた、そしてアナスタシアも出発の準備をしようとした時、

猛烈な眩暈がアナスタシアを襲った。


「う…」


アナスタシアは眩暈に耐えようと壁に何とかもたれ掛かる

そんなアナスタシアを心配して皆が声をかけてくれる、

アナスタシアはその言葉に大丈夫だからと何とか笑って見せた

しかしアナスタシアは、またも異変を感じていた、

それは昨晩の時のように自分にない記憶が自分の中に現われたのだ。


(これ…は…マスターの)


その記憶の光景が鷹宮の記憶である事は知っている、

そして今回はまた新しい記憶がアナスタシアに現われたようだった


(これってもしかして…)


アナスタシアに思考に一つの仮説が生まれていた、

しかし今はそれを証明する材料がなくただ抱えたままにするしかなかった。


しばらくしてアキバへと出発することになった一行なのだったが。


「……すこし遅れます、先に行ってください、すぐに追いつきますので」

「気をつけろ、相手は「大丈夫です」


シグムントの忠告を制止して笑顔を見せた、

シグムントもそれを見て「先に行くぞ」と返してくれ

葛葉と伊織からもすぐに追いついてほしいと言われた。


アナスタシアは剣を抜き、振り返ると


「出てきたらどうです、込み入った事情なんでしょう?」

「気づいてるなんてね、でも話が早くて助かるかな」


出てきたのはシャツとジーンズの出で立ちの青年であった


「私に何か用なんでしょう?、クオン君」

「ミヤさんは相変わらずだなぁ、そんな怖い顔しなくてもいいじゃないか」

「なら、その後ろに居る敵意むき出しの護衛を帰らせるんですね」

「玲央人は別に護衛じゃないですよ、僕がどこ行くのか気になって

 ついてきただけです」


後ろに居るのは玲央人というらしい、

おそらくは盗剣士であろうとアナスタシアは読む


「ねぇミヤさん、プラント・フロウデンに来ませんか?」


クオンという青年がもち出してきたのは勧誘だった、

しかしクオンという青年からはある違和感を感じた。


「少年はそんなタイプでしたっけ?、勧誘するにしても

 プラント・フロウデンにはいらないけど来てほしいって聞こえますよ」


アナスタシアは今の自分が

明らかに鷹宮の記憶を自分の物として喋っている事に

違和感を感じられないで居た。


自分の記憶ではないはずのに、なぜかクオンの事を知っていて、

クオンの性格をなんとなく理解できた。


「ん、そりゃあ…あそこには必要ないですよ、本当の目的は

「プラント・フロウデンに対する保険が欲しい」


アナスタシアが放った言葉にクオンは眉を潜める、

しかし普通の表情を取り繕うと


「わかってるならなおさら話が早い、僕はサブキャラですが

 GMコールを受け取れるんですよ、それに

 ミヤさんのテストプレイヤーの知識やキャラの強さがあれば

 「残念だけど」なぁ!?」


会話の途中でいきなり拒否発言をされてクオンは納得できないと表情を歪めた、

そして未だ後ろに控えていた玲央人に合図すると


「口で無駄なら、力づくで聞いてもらいますよ、やれ」

「わるいけど、僕と遊んでもらえるかな」


玲央人は無邪気に笑いながら槍を振り回すと


「アンタのレベルは76、僕は94、手加減してあげるから

 早めに降参したほうがいいよ♪」


だがアナスタシアは右手にエクイテスを構え左手に刀を呼び出すと


「さっさとかかってきなさい、手加減してあげるから」


アナスタシアは玲央人を挑発した。

玲央人は頭にきたらしくムキになって槍で攻撃を繰り出すが、

すべてアナスタシアの剣と刀に打ち払らわれカスリすらしない

玲央人はそれでも何度も攻撃を繰り返し

アナスタシアをあらゆるスキルあらゆるアイテムで狙うが、

アナスタシアは無傷だった。


「なんだよ!!なんであたらないんだよ!!!、

 僕はレベル94なんだぞ!!全部幻想級なんだぞ!!なのに!!」

「手クセの悪い子供にはオシオキが必要ですね」


アナスタシアが左手に構えた刀で真空を切り裂くような一撃を放つと

玲央人は吹き飛び城壁へと激突した


「なんだよ……おかしいじゃんか!!、なんでレベル76のアイツが

 僕より強いんだよ!!おかしいじゃ……うぅ」


玲央人はそこまで言うと、次第に涙を浮かべ


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 「「泣いちゃった」」


アナスタシアとクオンも

まさか玲央人が泣くとは思ってなかったのか

言動が一致してしまった。


「玲央人君って幾つなんです?」

「あ~、たぶんだけど12行くか、行かないかぐらいだったかな」

「あ~、小学生なんだ」


さすがにやり過ぎたかと思い、アナスタシアはどうするべきか迷っていると

玲央人はバッグから竜笛をとりだしワイヴァーンを呼び出して飛び乗ると


「ばーかばーかばーか!!、しんじゃえ!!!バーカ!!」


子供丸出しの悪口を残してどこかへと行ってしまった

玲央人が居なくなったにもかかわらずクオンは静かだった

アナスタシアは剣と刀をしまうと


「で、どういう約束事をしてほしいのかな?」


そう切り出したアナスタシアにクオンはニヤリと笑い


「ミヤさんはやっぱ話が早いね、僕がして欲しいのは二つ、

 一つはさっき言った身の安全の確保、そのレベルで

 玲央人が手も足も出ないなら他の人たち相手でも何とかギリで

 切り抜けるくらいできそうだしね」

「確約はできないけどそれでもいいなら、もう一つは?」

「お互いの情報交換、皆さんのことだからいずれ海外にも行かれるんでしょう?」

「まあいずれは、でも海外に行くのを分かってていざという時の身の安全を?」

「そんなの覚悟の上さ、でもいつまでもこのままじゃいられないんだ」

「なら……いいけど」

「あーそうそう、玲央人の奴は多分

 アキバのヒマワリさんとこに行ったと思うからさ、ほったらかしておいて

 いずれ帰ってくるし。多分……多分…」


「はぁ・・・・頭痛い」

「お互い様でしょ」


二人はお互いに顔を見合わせると苦笑いを残してそれぞれ別の方向へと歩き出した。



アナスタシアが馬に乗り暫く走らせると、シグムント達が待っていた


「話はついたのか?」

「一応ね、帰ったら話します」

「そうか」


シグムントは空を見上げため息混じりに呟いていた


そして一行は一路アキバへと再び移動を開始したのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ