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~18~

今回は短めです。

「御船にこの魔球が打てるかしら!!!『熔岩魔球XX(だんがんダブルエックス)』!!」

「コルァ!!オーブオブラーヴァを撃つな!!!、あんなん打てるわけないで御座ろうが!!」

「タカミヤさんは打ってたよ?『秘打法スペルリクレクト』とか言うので」

「それは・・・・打ったと言うより反射ではござらぬか?」


 すでに恒例になりつつあるギルド対抗ベースボール合戦?、『リリカルカッツェ』対『サムライグランセル』の些細な一幕、グランセルは今日も平和な中。


 聖都グランセルより西にある《オルディス湾岸都市》へとやってきたレオン達、季節はまだ春前ではあるが、お手製サーフボードを持ち出して綺麗な海を謳歌する冒険者もちらほら、この町は小さな拠点としてしか利用されていなかったお陰で冒険者達の様々な問題に巻き込まれずに済んだパターンである、少し前からこの町に《軌跡》のギルド1の商売手腕の持ち主とその護衛として2人の仲間が滞在し大きな商売を始めているらしい、今日は新商品のお披露目で呼ばれたのである。

 湾岸区の大きな工場へとやって来たレオン達は、手を振っている待つ仲間を見つけ手を振って返す。


「久し振りだなクロウ、それにミスティ」

「旦那達も元気そうじゃん」

「お元気そうで何よりです」


 明るく挨拶を返すグレーの髪にバンダナを巻いた青年がクロウ、キャスケット帽を被り赤いフレームのメガネをかけた黒と蒼が綺麗に混ざった色彩の長髪の女性がミスティ、このミスティ実はグランセルのオペラハウスで『歌姫(ディーヴァ)』とまで、まあ実際に彼女のサブロールは『歌姫(ディーヴァ)』なのだが・・・とにかくそう呼ばれる人であるのだが、どうやらこのミスティさん近隣の貴族諸侯からお抱え(専属)にしたいと誘いがあったらしいが。


「私の事を社交界で自慢する為の芸術品にしかみてないわ」

「まあ、ヴィータは美人だし、歌も上手いからなぁ」

「ふふ♪ありがとうクロウ♪」


 今現在オペラハウスはギルド『アルカンシェル』の面々がブロードウェイミュージカルを公演するために使用しているので、この機会に羽伸ばしついでにクロウを手伝いに来ているらしい。


「やあ皆さん、ご無沙汰しています」


 ブラウンのスーツに身につけ、柔らかい紳士な対応の男性が挨拶をしてくれる、一見捜せばどこにでも居そうにみえるが彼の最大の特徴はその髪の色でスミレ色をしている、レオン達は色々旅をしてはいるがスミレ色の髪色を持つ人物には彼、ハロルド・ヘイワースにしか未だに会った事はない、彼はギルド《軌跡》がまだあったころその帳簿と資金管理、メンバー達のマーケットの管理や運営を一手に引き受けていた敏腕商人なのである、今回は彼の提案する新商品の輸出ルートと商店との取引の手伝い、いわゆる『お試しセット配り』である。


「さっそく案内します、こちらへ」


 ハロルドに案内され工場へ入ると、湾岸都市ならではの海産物に溢れそれらを加工していく作業場や保存用に魔法で氷を張り温度を下げた冷凍庫、そして古式ゆかしいブリキ板をある形に形成し中身を摘めて加工していく様は現実世界とほぼ変わらない缶詰工場であった。


「さすが、現実でも交易商人なだけあるな」

「これはまた見事なものねぇ」

「はは、私の現実での経験がこんな形で活かせるとは初めは思いませんでした」

「ハロルドの旦那はこう言ってっけど、この町の大地人の漁師とか料理人のレストランなんかにゃかなり頭下げて協力を取り付けてるんだぜ?、頭がさがるわ~」

「クロウだって食材集めを手伝ってるじゃない」

「いやあ、戦うしかできないゲーマーな俺にぁ、とてもじゃないが旦那やミスティみたいな戦いは出来ねぇよ」


 どうやらクロウはこの工場に卸す食材集めを担当しているらしい、漁師に同行しては魚モンスターを捕らえ(尚、この近辺には魚モンスターはキャノンフィッシュ(マグロ)とホーンフィッシュ(カジキマグロ)だけで、後は普通の魚)るのに奮戦し、猟師に同行すれば獲物の生け捕りに奮戦しているらしい。

 事務室に案内された面々はハロルドから仕事の為の品物を渡される。


「マグロフレークの瓶詰」

「缶詰じゃないんだ?」

「ええ、缶詰はブリキ板のコストもかかるし食材の長期保存にはそれほどは向いていません」

「まあ、現実世界と全て同じ方法ではないしな」

「ああそっか、瓶詰って」

「ええ、古くは軍が遠征のために産み出したものです」


 ハロルドが言うには既に瓶詰は近辺のショップや一般家庭にも出回っているらしく、空瓶を回収し洗浄、消毒し、再び使う事によってコストの大幅削減と使い残しが出来ることでお求めやすくなったのだという、なんでもかんでも新しい物がいいとは限らないということである。


「今ならこれとマヨネーズを和えてレタスと一緒にパンに挟む位は出来ますし」


 言いながら実際に簡易ツナサンドを作って食べるハロルドの言葉にはかなりの説得力があった、大災害から数ヶ月、冬の時点で冒険者達はサブに料理人スキルを持っていなくても簡単なサラダくらいは作れるようになっている、簡単ツナサンドみたいなものが作れるなら日帰りの狩りに料理人スキルを用意しなくてもよくなる日が来るかもしれないのである、まあ出来立てがいいのでやっぱり料理人は連れていくのだが・・・。


「そんな訳で皆さんにはこの瓶詰商品の数々をグランセルで配ってほしいのです」

「心得た」

「任せなさい」


 快諾した2人はハロルドに積み荷倉庫に案内され、まさかの台車山積み1台分の在庫を引き受けグランセルへ向け出発し始めた。(2人は荷物を受け取ったら帰還呪文で帰るつもりだったが、多すぎて無理そうだったのでそのまま帰ったのだった) 

 

 帰り道の途中。


「さすが敏腕商人、見事な仕事だわほんと」

「まさかこんなに多いとはなぁ」


 2人は静かに呟くと台車を引き再び歩きだしたのだった


《ハロルド・ヘイワース》

元、ギルド《軌跡》の一員で、資産管理や団員達のマーケット管理と運営を担当していた、現実は《オルディス湾岸都市》にて事業をしている。

ハーフアルヴ:森呪遣い:Lv90/交易商人:Lv90


《クロウ・アームブラスト》

彼も元、ギルド《軌跡》の一員、今はオルディスにて悠々自適な生活を送っているらしい、ミスティとは結構付き合いが長い(5年)、エルダーテイルでは珍しいダブルセイバー使い、他にも二挺自動弓(ミニボウガン)を使う。

ヒューマン:盗剣士:Lv90/幻想の探求者(ワンダラー):Lv90


《ミスティ・V(ヴィータ)・クロチルダ》

グランセルのオペラハウスで大人気の《歌姫(ディーヴァ)》、今はオペラハウスの興行をギルド《アルカンシェル》に任せ、羽休めにクロウの手伝いにオルディスに、付き合いが長いクロウをけっこう気に入っている。

ヒューマン:妖術師:Lv90/歌姫(ディーヴァ):Lv90


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