~13~
深夜に話を書くと、どうしても色々拗らせすぎてグダグダになる今日この頃です。
先日の地下水路の異変を探るべく、捜査要員を編成して調査を始める事となった。捜査は解決までの間、1パーティー毎で交代で行うことになり、レオン達は旧友の力を借りて地下水路の調査を行っていた。
「しっかし、旦那達も帰ってたんなら連絡くれよなぁ、つれないぜぇ?」
「ちょと兄貴」
「放っておけバニングス弟、ソイツ(バニングス兄)に何を言っても無駄だ」
「なんだよ、捜査官(ダドリ―)だって昔世話になったじゃねぇかよ」
「まあまあ、いいじゃないガイ、またこうして皆でクエストが出来るんだから」
彼らは、旧くはレオン達のギルドの一員であった面々で、三人の武闘家と施療神官が1人のパーティーにレオンとオリヴァーが混ざっている状態だ。
「ガイ君は大丈夫なのかい?」
「あん?なにがだい」
「いやほら、闇討ちの怪我とか」
「闇討ち?」
オリヴァーが出した話題をガイは全く気に止めていないと笑っていたが、さすがに闇討ちという言葉は聞き捨てならないのでレオンは詳しい話を聞いてみることに。
「ほらセシルさんがさ」
「ああ」
「こう!バインキュボンのほんわか超絶美人じゃないか」
「・・・・」
「そんな美人を妻に持つガイのことがやっぱり皆さ・・・・」
「ああ、羨ましいのか・・・」
「なんかこう!!、悔しいじゃないか!!!」
「今の話、お前の秘書に報告しとくな」
「ちょおぉ!!、それはホントに勘弁してください!!!」
ワタフタと慌てふためくオリヴァーを他所にレオンはガイに一応大丈夫なのか聞いてみた、するとガイは笑いながら「どうってことなんかねぇぜ!!」と笑っのけたのでそれ以上は気にしないでおくことにした、まあ、セシルは施療神官だから闇討ちに合ったところで次の日には完治しているだろうが。
「ところで旦那、前回旦那が調査に来た場所ってがココかい?」
「ああ、ウェアラットの群れが居たんだが、応援を呼んで戻って来たら金貨とドロップアイテムが散乱しているという状況でな」
「ふむ、確かに妙だな」
「ええ、他のパーティーの人が倒したのなら金貨やアイテムは回収してるはずですもんね」
「モンスター同士が共食いしたって線はねぇだろうが」
「当たり前だろう、まったく、お前の捜査は何時も斜め上から始まるな・・・」
「いいじゃねぇか、色んな視点を持ってこその捜査官だろ?」
「それは貴様だけだ」
口論しながらも手分けして周囲を調べ、少しでも情報を集めて行く2人は流石の現役警察官だった。そこでふとガイが通路の脇に小さな傷がついているのを発見した、ガイに呼ばれアレックスもその傷を調べる。
「ウェアラットにしちゃ傷のつきかたがデカイよな?」
「ああ、傷の形から察するにアリゲータータイプのモンスターだろう」
「つうことはこの地下水路のダンジョンボスか?」
「ああ、メガロゲーターだろうな」
「でも、結構でけぇよな?」
「ラットを食べて育ったとか?」
「「「「「・・・・・」」」」」
そんな筈は無いだろうと思いつつも、セシルの言うことは妙な所で正解率が高かったりするそれも嫌な方向性の物のみ、そして突如地下水路を大きな震動が襲った。幸い震動は直ぐに止んだがレオン達は嫌な予感が物凄く的中しかけてきたので後ろを警戒しつつ水路の入り口に向けて歩き出した、そして再び水路を震動が襲い、レオン達は全力で入り口に向けて走り始める。
「まさかだよね?、そうだよね!?」
「いいから走れ!!!」
全力で走る(セシルのみガイが運搬)面々の前にウェアラットがPOPしブレーキをかけて其々武器を構えた瞬間、ウェアラットはバカデカイ何かに喰われたのだった。
「わぁ、おっきいワニさんね♪、どれだけバッグの材料がとれるのかしら?」
「いやいやセシル姉」
「こんなの捕獲出来んのか?」
「バカ共、そんなこと言っている場合か!!」
「これはまた・・・」
「いやだー、丸飲み死亡体験なんてヤダーーー!!!!」
「俺だって嫌だバカ!!!」
登場したメガロゲーターは地下水路ダンジョン一杯のデカさでどうやって水の中にいたのか不思議な位だった、バ○オ2の地下水路のワニばりに巨大なメガロゲーターは全長およそ15mはあろうかという巨体で逃げようとしたレオン達を遮るように地下水路ダンジョンの入り口を塞いで居るのだった。
「どうする?」
「どうするったって、戦うっきゃねえだろぉ!!」
ダドリ―と共に壁役を勤めるガイはそう言うとトンファーを思い切りメガロゲーターの顎辺りに叩き込んだ。
~~~~~~~~~~~~~~『トンファー』~~~~~~~~~~~~~~~~
武闘家用の武器の一種、攻撃力はソコソコだがトンファー系武器の最大の利点は防御力も追加上昇する点である。戦士職最大の武闘家の体力の多さをより活かす為の装備で、防具の性能を武器でも補えるこの装備はレイドでも頻繁に使用されている。大手ギルドならトンファー装備の武闘家はソコソコいるのではなかろうか?
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「んな!?」
だが、その攻撃は緑色の妙な障壁に阻まれモンスターには届かなかった。メガロゲーターは口を大きく開き噛み付き攻撃を放つがガイは素早く飛び去り、攻撃を回避した。ダドリ―のナックル攻撃もロイドのトンファー攻撃もやはり同様に障壁に阻まれモンスターには届かない。
「なんだあれは、まったく攻撃が届かんぞ!?」
「オリヴァー、あれはまさか」
「いや、アブソリュートディフェンスは蒼い障壁だあんな気味の悪い緑色じゃない」
「アブソリ~・・・なんだって?」
「後にせんか!!来るぞ!!」
「ってうぉぉ?」
降り下ろされた尻尾の攻撃(狭い通路でどうやってかは聞いちゃダメ)、ダドリ―とガイが二人がかりで何とか受け止めるが、一撃受け止めただけで体力が1/3の持っていかれた、セシルがヒールをかけてくれるがそう何度も攻撃を受け続ければセシルのMPも持たないだろう事は明白だ。
「このままじゃジリ貧だな」
「なにを考えているガイ」
「決まってんだろダドリ―、アイツを外へ押し出すんだよ」
「バカか貴様は!!、ヤツには攻撃が効かんのだぞ!!」
「だったらあの壁ごと押しゃあいいじゃねぇか」
「兄貴・・・、いくらなんでもそれは・・・」
「いいだろう」
「へぇ!?、ちょダドリ―さん!?」
ダドリ―は何やら納得するとスーツの上着を脱ぎオリヴァーに放り渡すと、シャツを腕捲りし始める。ロイドがメチャクチャな二人にアタフタしていると。
「行くぜロイド!!」
「俺もやるのぉ!?」
「全力でいくぞ、遅れるなよ」
「へっ、そっちこそ」
ロイドもガイに並び渋々トンファーを構えると。
「「バーニング」」
「ビクトリー」
「「「チャーーーーーーージ!!!!!」」」
※注:ノリで叫んでいるだけで、三人が使っているのは武闘家のグラップルチャージ(要はタックル)という技である。
武闘家三人の全力の攻撃を受け、ダメージは障壁で防がれはしたもののメガロゲーターは勢いに負けてそのままダンジョンの外へと押されていった。
~地下水路入り口前~
「何か変な音がするでござるな」
「中で何が」
ゴゴゴゴゴという妙な音に眉を潜めダンジョンを覗いていた御船と半蔵は、勢いよく飛んできたよくわからないなにかに驚き、慌てて飛び避ける。
「ななななな、何でござるか一体!!」
「あ、あれは第1調査チームでござるぞ!!」
「それよりもあのデカワニは何でござるかー!!」
訳が分からず混乱する第2チームの元に、遅れてダンジョンからでてきたオリヴァー達が合流し、事情を説明しながら勢いよく(勢い余って)どこかに飛んでいった三人とモンスターを追いかけ始める。
三人は少し広めの広場で再び戦闘を繰り広げていた(街の外のフリーフィールド)、広い場所に出たお陰でメガロゲーターは思う存分暴れまわっていたが、三人も広い場所を活かしたステップ技を駆使し巧みに攻撃を回避していた。オリヴァー達は第3調査チームにも念話で連絡を入れ、妖術師隊を編成し魔法の火力で押し切る作戦を使うようだ。
「魔法支援開始、てぇー!!」
壁役三人がモンスターから距離をとりソコを妖術師隊の高威力魔法で攻撃するが障壁はびくともしない、だが障壁で防がれているように見えた攻撃は一応ダメージとなりモンスターに届いてはいることが判明した。始めこそ分からなかったが、妖術師隊の攻撃を受けたメガロゲーターの体力が少しだが減っていたのだ。
「効いてない訳じゃないんなら」
「倒せるという事だな」
「でも、このまんまじゃどっちにしろジリ貧だよ兄貴」
「しぶとさが家の取り柄だぞ、諦めんなロイド!!」
再び三人が壁役となり妖術師隊の魔法支援を受けながら戦闘はなおも続いた、だが·····。
「ぜぇぜぇ、この、いい加減くたばれってんだ」
「ぬぅ、妖術師隊のMPも残り僅か、せめてあの障壁さえ破れれば」
「ガイ君達!!、そのままでいい聞いてくれ!!」
オリヴァーはモンスターの攻撃を回避して動き回る三人に聞こえるように大きな声で、魔物の特殊な障壁について判明した事を告げた。
「あの障壁は、妖術師クラスの高威力が重なれば一応は砕けるんだ、だが時間がたてば再び修復してしまう、あくまでも硬いのは障壁だけで魔物自体はそこまでじゃない」
「なら、その障壁が砕けた瞬間に火力を集中すれば倒せるんですね!」
「残念ながら、妖術師隊のMPじゃあ、中威力魔法一回が限度なんだ」
「な、それでは!!」
「上等!!!、後は俺らにまかせとけぇ!!」
「ガイ!!貴様は話を聞いてなかったのか!!」
「あん?、聞いてたよ、つまり妖術師隊が魔法をぶちこんだ後は俺らに任せるってこったろ?」
「兄貴!?、それは都合よく解釈しすぎなんじゃあ?」
「まったく貴様は、いいだろう乗ってやる、作戦はあるのか?」
「おう、先ずは俺が先陣切るから後は頼むぜ」
「まったく、出た所勝負ではないか」
三人は距離をとり、妖術師隊の法撃支援が行われた瞬間。
「行くぞロイド!!」
「分かったよ兄貴!!」
「「バーニングレイジ!!」」
「ビクトリーブースト!!」
※注:三人が使っているのはマッスルチャージという武闘家の自己強化(STRUP)技である。
「いくぜぇ!!オラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!!!!!」
メガロゲーターを守る緑の障壁にひたすらに拳技を叩き込み続けるガイ、障壁はビクともせずガイはそれでもなおMPの続く限りひたすらに拳技を叩き込み続ける、そしてだんだん拳の速度が上がって行くのを見たレオンは。
「何てやつだ」
「あれは何が起きているんだい?」
「ガイはタイガーエコーフィスト、オリオンディレイブロウ、スマッシュナックル、ナックルラッシュを其々順番に使い続けていたんだが、無我の境地に達した今、リキャストが終わった技を使うんじゃなく、空打ちした技が当たる瞬間にリキャストが完了するタイミングで殴り続けているんだ」
「先生、凄すぎて逆に意味が分かりません!!」
そんなやり取りはさておき、ひたすらに拳を放ち続けるガイにもMP切れが待ち構えている、だが未だに障壁はビクともせず、ガイは残りのMPをその拳に注ぎ込み。
「ギガ!!タイガァァァァァァ!!!ブレェェェェェェィクゥ!!!!!」
ガイの放った渾身の一撃は虎のオーラを纏い障壁にぶち当たる、障壁はまったくビクともしていないように見えたが、ピシリという音とともにほんの少しのヒビが入った。
「よくやったぞガイ、後は任せろ!!」
「頼むぜダドリ―!!」
ダドリ―はネクタイを荒々しく外すと拳にオーラを纏わせ力強く跳躍すると。
「ジャスティィィィィス、ハンマァァァァァァァァァァーーーーー!!!!!」
ダドリ―の全STRを注ぎ込んだ拳骨を叩き困れた障壁は遂にパリンという音を立てて砕けちる、ガイとダドリ―は揃ってメガロゲーターをアッパーで空へと打ち上げると。
「トドメは任せたからなバニングス!!」
「お前の拳は天を突く拳だ、一気にブチ抜け!!ロイドォ!!!」
「っていうか君達は色々拗らせすぎててよく分からなくなってるよ!!!!(作者の本音)」
二人の激を受けながらロイドは全MPを込めた拳、対空中モンスター技であるドラゴニッククローを使いメガロゲーターに向けて飛び上がる。
「いっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、ラァァァァァァァイジィングゥゥ、サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!(零EVO版)」
放たれた拳は闘気を纏い、強大なドラゴンのオーラとなってメガロゲーターを撃ち抜いた。メガロゲーターは空中で静かに離散しはじめ金貨とドロップアイテムを周囲に降り注がせる。何とか無事戦闘を終えた面々はだらしなく地面に座り、皆其々一息付いていた、ダドリ―とガイは静かに拳を打ち合わせ。ダドリ―は遺留品調査の為オリヴァーの元に、ガイはロイドの元へと歩み寄っていった。
<バニングス兄弟(ガイ&ロイド)>
熱血漢な警察官の兄弟、兄がガイで弟がロイド。元レオン達のギルド<軌跡>のメンバー。
<セシル・バニングス>
ガイの嫁、超絶美人で聖都グランセルには多数のファンがいる。ガイ共々弟馬鹿でロイドを甘やかす癖がある。エルダーテイルはガイに誘われてプレイしはじめた。
<アレックス・ダドリ―>
ガイの警察官仲間、ガイにしつこく誘われてエルダーテイルをプレイしはじめた。
バニングス一家(ガイ&セシル&ロイド)とは色々腐れ縁で、彼も<軌跡>に所属していたことがある。よくガイとセシルの弟自慢に付き合わされてうんざりしている苦労人、口は厳しいが何だかんだで優しい。