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~10~

さてさて、海外サーバー篇になっても相変わらずグダグタっとやっております。

 無事クエストを完了し、古代兵器種の捕獲に成功したレオン達はオリヴァーの手配してくれていた運搬係のプレイヤー達が引く馬車の荷車にそれを乗せ、馬車に乗り込み街への移動を開始した。


「しかし、お前らもログインしてたのか」

「トウゼンデござる」

「ワレラモゲーマーデござるシナ」

「相変わらずイラっ☆♪とするしゃべり方ねヘンリーにジョニー」

「拙者は御船でござる!(ヘンリー)」

「我は半蔵でござる(ジョニー)」


 かなり昔、《軌跡》のギルドにいた昔馴染みの二人の相変わらず半端な成りきりにタカミヤは本音をぶちまけて二人の名前を呼んだが、二人は直ぐ様名前を訂正し断固とした抗議を行った。


「「本名で呼ぶの禁止でござる!!」」

「ヘンリーとジョニーの癖に生意気ね」


 タカミヤがギロっと睨み付けると二人はヒィっと呻いて距離を取る、レオンに宥められタカミヤは荷台の壁に背を任せて目を瞑る。御船と半蔵ことヘンリーとジョニーは侍や忍者に憧れてエルダーテイルでロールプレイを楽しむゲーマーだが、祖父が古武術の道場主で、結局は叶わなかったが祖父の後を継いで古武術の道場をするつもりだったタカミヤとしてはたまにイラっ☆♪と来るらしく、ヘンリーとジョニーの二人に喧嘩染みた挑発をしたりする事も多いが、ヘンリーとしては侍としてタカミヤを尊敬しているらしくタカミヤもそれは分かるので実際に手を出したことはない、またジョニーも同様。


「タカミヤ殿~、機嫌を直してくだされ」

「そうでござるぞ、折角の綺麗なお顔が台無しで」


 ギロっ!!っとタカミヤに睨まれ、二人は再び蛇に睨まれたカエルの様に縮こまる、レオンやロベルトはやれやれと言った顔で呆れていた。その時、馬車の操縦をしていた伊織が馬車を止め、荷台に顔を覗かせると。


「エンカウントよ!!」

「「「「「!!!!!」」」」」」」


 荷台にいた全員が外に飛び出すと、少し先の街道のど真ん中に10mクラスのゴーレムが居るのが見えた。


「変ね、この街道はモンスターとのエンカウントはないはずなのに」

「まだ此方には気付いてないみたいだしやり過ごすか?」

「街道からは出ずにってことは、このまま待機かい旦那?」

「ああ、幸いまだ距離はあるし「面倒ねぇ・・」ミヤ?」

「私が倒して来るから待ってなさい」


 そう言うとタカミヤは刀を取りだしてゴーレムに歩きだし、ミフネとハンゾウが止めるのも聞かずにタカミヤは歩き続ける。


「ああなると止めても無駄だな」

「そ~だねぇ、ヘンリーさんとジョニーさんのせいだよー」

「「拙者達はなにもしてないでござるよ!?」」

「それ」


 抗議の言葉を口に出した二人に伊織は指を差して言葉を遮ると、タカミヤがイラついている理由を口にした。


「ロールプレイはいいけど、その喋り方どうにかなんない?」

「変でござるか?」

「変、イントネーションがおかしいし、侍とか忍者がバカにされてる気がして私でもイラっとする、普通に喋ればいいのに」

「しかし、侍や忍者ともなれば」

「そう言うところもだよ」

「「むぅ····」」


 二人が考えを捻っていると遠くでゴーレムが上下左右に両断されている光景が見えた、タカミヤは結構マジにゴーレムをぶった切ったようだ。鞘に納めた刀を肩に担ぎ、タカミヤは馬車まで戻ってくると、何も言わずに再び馬車の荷台に背を預け目を閉じた、皆もそれぞれ荷台に乗り込み、伊織はそれを確認すると手綱を鳴らし馬車を再び進め始める。


「その、ごめんタカミヤさん」

「ロールプレイに拘って変に繕ったりして」

「気付いたのなら別にいい」

「「····」」


 タカミヤはそれだけしか言わなかったが御船と半蔵もタカミヤがもう気にしてないと言ったのだと気付き、それいじょうは何も言わなかった、レオンとロベルトも馬車の空気が元に戻った事に安堵し二人も街までの道程のなか荷台に背を預けて目を閉じた。


                ~約2時間後~


 グランセルまで戻り、クエストカウンターで完了報告をしたレオン達にカウンターの受付をしていたプレイヤーから二枚のチケットが手渡された。チケットにはオーダーチケットと書いてあり、奥から現れたオリヴァーがチケットの説明をしてくれた、機械工芸品の材料となる古代兵器種の捕獲クエストを完了したという証明書であり職人街の商店に持っていけば商品の割引をしてくれるというもので、日本で言うところの『割引券』のようなものらしい、ちなみにこのチケットは商店の人から工房へと持っていかれ、そこで商品仕入れ用の予約券としてそのまま使われるのだという、他にも捕獲した古代兵器種を直接工房に持っていくことによりオーダーメイドの一品を注文することも可能らしい、捕獲が難しいのであまりオーダーメイドはされてないらしいが。

 貰ったチケットを手にレオンと伊織は我先に職人街へと走りだし、街中へと消えていった、タカミヤは溜め息をつきながら夕食のメニューをどうしようかとボヤきながら、ロベルトもクエスト報酬の金貨をポケットに突っ込みながら酒場に向かうために中央会館をそれぞれ後にした。


 夜、早速目当ての買い物を終えた伊織は部屋の中でベースを弾き、賑やかなムードを醸し出していた、レオンもどうやら目当てのバイクが買えたらしく今は倉庫で磨いている、夕食の準備を終えたタカミヤがキッチンから戻ってくると。


「・・・・・増えてる」

「やっは~、ミヤさんこんちは~♪」

「こんにちは」

「ミヤっち、僕今日は焼き鮭定食で宜しくね♪」

「あ、ミヤちゃん俺はカルボナーラで」


 何時もの面々とは別に、お隣さんが紛れ込んでいた、レオン達の住居の隣は『リリカルカッツェ』というなにやら魔法少女のようなファンシーネームなギルドがあり、実は現実世界でもレオン宅の隣の家の子供でもあったりする、下でバイクを磨いていたレオンに誘われて来たらしい。


「はぁ、なんでいつもココにたかりにくるのかしらねぇ」

「いや~♪、和食が食べれるのはココしかないから」

「宿や酒場で食うよりメニューが自由だから」

「下でレオンさんに誘われたから」

「あの、僕もです」


 モジモジとそう答える何やら可愛い子にロベルトは鼻息荒めで詰めより。


「お嬢さんお名前は♪」

「カッツェ、カッツェ・オズワルドです」

「つかその子、男よ」


 ヤレヤレといった顔でタカミヤはそう付け足し、ロベルトは一瞬にして呆然とした表情でタカミヤとオズの顔を交互に見ている、そんなロベルトにもう一人のお隣さんが挨拶を返す。


「私はノインテーター、ノインでいいわ」

「つかカッツェちゃん、マジ男なの?」

「オズはいわゆる男の娘ってやつなのよ」

「伊織ちゃん、せっかく会えたのにひどいよぉ」

「もう、こんな女狐は駄目よ、オズにはお姉ちゃんがいるじゃない」

「あーハイハイ、そういうのは自分家でやってよね」

「あら女狐♪、羨ましいのかしら♪」

「喧嘩なら買うわよ♪、このショタコン」

「喧嘩は余所でしなさい!!」


 歪みあう二人どころか、オリヴァーとロベルトとオズも巻き添えで建物から放り出され、それでもなお責任の押し付けあいをする二人を一階のガレージで見ていたレオンは。


「こんなに賑やかなのはいつ以来だろうな」


 と、賑やかな喧嘩騒ぎを聞きながら、懐かしい過去を振り返っていた。大災害が起きる前、良くレオンの子供の面倒を二人して見てくれていた二人はエルダーテイルではレオンの弟子にあたり、レオンは師範システムを使用しよく一緒に遊んでいたものであった、ノインがある日オズを誘ってギルドを立ち上げると聞いたときは応援したものだが、オズをギルマスとした『リリカルカッツェ』はやたら危ない変態という名の紳士ばかりが集い、レオンもかなり心配だったが、オズを見守るのが団員(ギルドメンバー)の仕事らしく、実害は一応まだでていない。

 既に取っ組み合いは止め、ロベルト達に怒られながらも家のなかに戻っていくオズとノインにカーソルを合わせてステータスを確認すると。


「Lv56か、あの頃よりも成長してるみたいだな」

「レーオーン、ミ~さんが夕食だって~」

「ああ、今行く」


 伊織に声をかけられ、レオンはバイクを磨いていたタオルをガレージの棚に戻すとシャッターを閉め、家の中に戻ったのだった。


『各種紹介』

《カッツェ・オズワルド》、妖術師:Lv56、14歳

レオン達の住居の隣にギルドを構える『リリカルカッツェ』のギルマス、リアルでもレオンの家の隣に住んでいて、よくレオンの子供の面倒を見てくれている。よく自分の子供がオズの事をカッツェお姉ちゃんと呼んでいた(レオン談)、一応男。


《ノインテーター》妖術師Lv56、20歳、一応伊織も同じ歳。

現実ではオズの隣の家(レオンの家の二軒隣)に住んでいるオズが大好きなショタ、オズが小さい頃から面倒見ていた《オズのお姉ちゃん(あくまで自称)》、オズが歳上のお姉さんである伊織に憧れているのが気に入らないのでいつも伊織に絡んでいる、とはいえ伊織はタカミヤが好きなのは知っているのでオズが絡んでなければお互い仲は悪くない。


ギルド『リリカルカッツェ』

設立は実はノイン、妖術師のカッツェをギルマス任命しメンバーを募った所、変態という名の紳士が多数加盟し一躍中堅ギルドに成り上がった。別名『カッツェファンクラブ』らしい。


《御船&半蔵》

本名ヘンリー&ジョニー

侍士と暗殺者の二人組のロールプレイヤー、元々はレオン達のギルド《軌跡》に所属していた、ギルドが解散したので別のギルドに二人揃って参加し下働きの日々を送っているが、別に不満は無いらしい。


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