Ex-Stage 08
仲間達が別大陸に渡り、ヤマトに残った三人は、仕事として募集が行われていたゴブリン族の監視にやって来ていた。
「【盗剣士の冒険者(C)】でリーダーを攻撃!!」
「なんの、【守護戦士の冒険者(UC)】の特殊効果、キャッスルオブストーンで完全ガード、ノーダメージよ」
「トリガーチェック、一枚目、トリガーなし、二枚目、【施療神官の冒険者(UC)】、ダメージを一枚回復する」
「ぬぬぬ、ココでヒールだなんて、私のターン!!、ドロー!!」
山札からカードを一枚引くと、葛葉はニヤリと笑い。
「リーダーに【《黒剣の騎士》アイザック】を召還!!」
「なに!!、ココでグレード4のUFだと!!」
「まずは、リアガードの【暗殺者の冒険者(UC)】のスキル発動!!、コストを3支払って、相手のリアガードを一体をアサシネイトで撤退させる!!、前例の【《西風の旅団》イサミ(LR)】を撤退させる!!」
「しまった!、くっ!仕方ない」
「次にリーダーの攻撃!!【《黒剣の騎士》アイザック】であなたのリーダー、【《西風の旅団》カワラ(LR)】を攻撃!!、リミットブレイク発動!!、ソードオブペインの効果でリアガードはインターセプトできない!!、トリガーチェック!!」
「させん!!、【守護戦士の冒険者】で完全ガード!!」
「うぐ、まあいいわ、トリガーチェックよ」
一枚、二枚引き、トリガーなし、しかし三枚目で。
「ふっふっふ、私の勝ちね♪!!、ペルソナブラスト!!、手札にきた【《黒剣の騎士》アイザック】を神殿に送り、再度攻撃!!」
「ぬぅあ!?、くっ·····、私の負けか」
「いぇい♪」
「な~に~を~遊んでるんですかーーーーー!!!!!」
ゴブリンの訓練場を監視に行っていたアセリアが二人の元に帰ってきたとたん怒りだす、まあ、理由は分からなくはないのだが。
「今アキバで大人気!!、
新発売【エルダーテイル・カードクロニクル】第1弾《キャメロットの騎士達》、 ブースターは1パック金貨2枚、スターターボックスは金貨5枚なのよ♪」
「聞いてません!!」
「それで、ゴブリンの様子は?」
いつの間にカードを収めたシグムントは、アセリアから監視報告を聞く。聞いた限りでは、目新しい進歩はないようだが、ゴブリンが練兵訓練を行うという異常な事態が起こっているので、油断はできなかった。
シグムント達は、先の武器暴走事件により行方不明になってしまったクラスティ達の穴を埋めるべく、このゴブリンの居城の監視へとやって来ていたのだった。
「ミヤ達が別大陸に渡った以上、反則的な手段は取れないしな。何かあれば直ぐにアキバに戻れるようにはしておかなければな」
「そうね~、アキバの街が壊れちゃったら、み~ちゃんにゲンコされそうだしね」
「二人の基準はソコなんですか?」
「そうだ」
「だよ♪」
アセリアは溜め息を付き、監視拠点に設置されたキャンプ様の椅子に腰かける。シグムントが紅茶をカップに淹れアセリアに差し出すと、アセリアはふーふーと冷ましながら口をつける。
「今はまだ動いてませんが、いつ動き出すか分からないんですから」
「すなない、アセリア」
「ごめんねリアちゃん」
「そういえば、アキバの街は今どうなっているんですか?」
山奥という事と、フレンドリストのほとんどの登録者がいないアセリアにはアキバの様子を知る事ができない、基本的には葛葉かシグムントが念話で友人達から情報を集めているのである。
「イースタルの騎士達を訓練すべく、黒剣騎士団が引率で色々しているらしい」
「アイザック君の事だからパワレベしてそうよね」
「アイザックさんと知り合いなんですか?」
「まぁね♪」
「以前、傭兵としてレイドに参加させてもらった事があってね」
「へぇ~」
アセリア達が談笑していると、監視拠点に別の冒険者達がやってくる。監視の交代のようだ。色々事件が起きてはいるが。ゴブリンの居城の監視は、冒険者達の意見一致で監視の個別継続という流れになっている。以前あったように、大軍で近隣の街や村が襲われる事件は、被害は一応出なかったが、さすがに冒険者達の肝を冷したようで、低レベルの冒険者と高レベルの冒険者を適切に組んだパーティーでの監視が今は行われている。これは、クラスティの様な高レベルの冒険者でさえ、不測の事態に巻き込まれてしまい行方不明になるほどであり。野良ゴブリンのように低レベルの冒険者達のレベル上げに向いているとはいえ、先が予測できない今のような状況では低レベルの冒険者が危機に貧した場合、解決できない可能性が示唆され、混合での監視パーティーがある程度決められているのであった。
「一度アキバに戻ってアイテムを揃えよう」
「そうね、食べ物も尽きてきたし」
「カードは買わないで下さいね······」
「「···········」」
「な~ん~で~、黙るんですか!!」
「いや、最近リアちゃんが厳しいな~って」
「ミヤさんから、お二人が怠けないようにと言いつかってますので♪」
「く!どこまでも用意周到な!!」
「おじ様も、私以外の女性に手をだしてはいけませんよ♪」
「ぬぐ」
「おじ様がだらしない事してたら、『奥さんに言うぞ』って脅せばいいって聞いてますんで♪」
「おのれアナスタシア!!」
別大陸に向かった友人に怒りを放つ二人をアセリアは苦笑いしながら背中を押してアキバへ戻る準備を始めた。彼らは彼らでヤマトでの生活をそれなりに楽しんでいるのだった。
【エルダーテイル・カードクロニクル】
冒険者が発案したかなりヴァ○ガー○を模したカードゲーム。
レア度はC、UC、R、SR、LR、F、UFの7種類。
一応それ以外にも1弾に一枚だけ《PR》という限定生産カードがある。
グレードは0~4まで。
アキバ【円卓会議】のギルドの所属者は大体RR以上、11ギルドのギルマスはUF。
第1弾《キャメロッの騎士達》ではシルバーソード、ブリガンティア、プラントフロウデン、大地達(レイネシア姫とかその他)、UCエンチャンターは含まれていません。
因みに第1弾《PR》カードは【《アキバの開拓者》シロエ】。所有者はアカツキ。
第2弾《ヤマトの大地を統べる者達》近日発売!!!(嘘ですので騙されないように♪)




