第2話
今回はアキバに移動するだけのお話なので
若干味気ないとおもいます、ご了承ください。
第2話《旅人、アキバに旅立つ》
いつものように拡張パックで追加された新アイテムをテストし運営に報告、たったそれだけだったはずだった。
だが・・・、気がつけばエルダーテイル内のシブヤに立っていた
そう・・・・・・ココは異世界なのだ。
「って言う夢を見たんです、さあ元気に今日もお仕事お仕事、
今日は公園の環境整備の申請受諾に、近隣住民の苦情の処理に、
ゴミ捨て場にケージの設置に、近所のお婆ちゃんの世間話に、え~とあとは
「正気に戻るがよい!」
葛葉に思い切り頬を引っ叩かれて鷹宮は正気に
「正気に戻った!」
まったく戻ってなかった・・・・・・
「気になる人はFF4のカインで検索♪」
「戻るがよい!!」「ふぎゃす!?」
彼はもう一度引っ叩かれた
叩かれた頬を摩りながら会話を続ける
「えー、で伊織ちゃんをアキバに連れてけばいいんだよな?」
「そう、私も付いて行くから戦力的にはだいじょ~ぶ!」
「そういう事なんでよろしくお願いします」
伊織と呼ばれた少女がペコリと頭を下げる
「それは構わないけど、《破軍》の精鋭に
ついて行ってもらった方がいいんじゃ?」
今では若干オタクが多いが昔は立派な戦闘形ギルドであった《破軍》には
Lv90の真面目なプレイヤーだって大勢いるのだ
「あいつらは、線目についていっちゃったわよ、私にオタク共をおしつけてぇ!!」
「桐葉叔母さんその話題NGみたいですよ、鷹宮さん」
「みたいね」
「うふふふふふふふふ、見とき線目ーーー!!!、
今に痛い目にあわしたるからなぁ!!」
「怖い怖い」
鷹宮はそれ以上はふれずに会話を打ち切った。
「モンスターを・・・・・・・・・どうしようかね」
「みーちゃんがいれば安心安全、だってネ○グラ○ゾンやもんね♪」
「すごい!本当なんですか!♪」
「チートロボかよ!!!、せめてチートキャラにしろよ!」
究極ロボ扱いされ、キラキラした目でみられ、思わず動作つきでツッコミをいれる鷹宮だった、しかし二人の冷やかしは止まらなかったので
鷹宮はため息を付くしかなかった。
どちらにせよこの人数でアキバへ行かなければいけないのだ。
「三人しかいないのは心もとないが・・・」
「がんばります」
伊織は気合を入れるポーズをとってアピールする
「前衛、がんばってねb」
「ねb、じゃねーし」
葛葉に親指をたててアピールされてもできることとできないことがあるのだ。
否定してみても、謙遜するなと全く取り合ってもらえないあたり無駄なのだろう。
「遊んでないで、いいかげん出発しましょう」
伊織に促され二人もしぶしぶ出発することに。
シブヤを出発して暫くした頃
「はぁ?、じゃあこの世界は音声認識なのか?」
「私がこの世界で経験した戦闘でわかったことなんだけどね、
みーやんあれから二週間経つのに未だに戦闘してないの?」
「ちょ!ちょっとまってくれ、今日って○月○日じゃないのか!?」
「いえ、今日はもう△月○日ですよ?」
「大災害にあった日は人それぞれ違うのか?・・・・・・」
眉間に皺をよせ考え込む鷹宮に恐る恐る葛葉は
「いや、あの」
「なんだ?」
「みーやん、○月○日にはもうこの世界に来てたで?」
「ってことはもしかして、私がシブヤにいると知ってずっと念話を?」
「そうや、んでフレンドリストで居場所確認して探しに行っても
おらへんかったんや」
「あ、でも私は○月○日にはこの異世界に来ていました。」
「ということは巻き込まれた日は一緒だけど反映された日が違う事になるのか。」
「ってことは今日が最初なん?」
「そういうことになる」
「テストプレイ用のキャラだからでしょうか?」
「わからないが、とりあえず装備を・・・・・・あれ?」
鷹宮は何故だ?といった感じでステータスを色々いじっているようだ
「どうしたん?」
「固定装備を装備しているはずなのに持ってない」
「そういえば服だけですね、それにそんな服ありましたっけ?」
アナスタシアが着ている服は白いコートに黒い服に
黒いデニムパンツのような格好だった。
「そういえば、それどんな服なんや?」
「これは、少し前の【神喰2】のコスチュームスクラッチ(1回300円)を
買って手に入れた服で、トップスがスイーパーブラン
ボトムスがパンサーパンクだ。」
「ああ、あのスクラッチの、あれリアルに円がかかるからやらなかったんですよね」
「とはいえ服の効果で見えなくなるのは防具だけで武器は見えるはずなんだけど」
「じゃああれだ!」
これは名案だと言わんばかりに自慢げに葛葉は
「リリカルマジカルに呼び出せばええんよ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
鷹宮はコイツは何を言ってるんだと思わなくもなかったが
ゲームの時もサブ武器として装備換装として扱われ
その行動に1ターン分の制限がかけられていたのを思い出したのだ
鷹宮はしばし何も言わなかったが、意を決したのか手を前に突き出し
「エクイテス!!」
キャラ《アナスタシア》の呼び声に答え時空が割れ、剣が出てくる
「・・・・・・・・・・・・・・・」×3
「めんどくっさいなぁ」
鷹宮は思わず呟いた・・・。
とりあえず戦闘は問題なさそうなので、パーティーは気にせず先に進むことにした
神代(現実世界)の頃の道路をゆっくりと歩く最中
アナスタシアが妙な緑色のスキャナー光を発しながら歩いていたので
伊織は気になっていた事を思い切って聞いてみた
「あの、その緑の光っていったい?」
「ああ、ディテクターの事か、これは専用の調査用スキルで、エリアにバグがないか調べるためにあるんだ、バグですり抜けるような場所だったり、キャラだったりを、特殊な赤い光でマークして教えてくれる効果もあるんだ」
「へー、便利なんですね」
「あと追加でアサシンのインビジブルやスニークだとかミニマップ表示から消える特技なんかも看破可能だ」
悪辣な行為を未然に防ぐ機能なのだがあまりそれ目的で使ったことはなかった。
そう…昨日までは。
それからも移動は順調に続き、戦闘もなく日暮れには【書庫塔の林】に到着し
アキバの街は目前だった、しかし、アキバの街付近の【ロカの施療院】へと
たどり着いた所で鷹宮は足を止めた。
鷹宮の雰囲気から葛葉と伊織も事態を理解し武器を構える。
そう、彼ら(見た目は彼女たち(笑))は今PK集団に囲まれているのだ
だからこそ葛葉は鷹宮へと近づき小声で作戦を確認する。
「どうする?、みーやん」
「先手を取って撃退する」
鷹宮はそう言うと腰に手を当て二つの武器を取り出すと
森に銃を構え何度かトリガーを引いた。
銃口から咆哮と共に蒼い光が放たれ森の中へと消えていく、少しの静寂の後
鷹宮は森へと走り出した、どうやらPK集団は先程の先制攻撃で
何人か神殿送りになり、逃走を図っているようだった。
鷹宮は森を飛び越えるべく力を込めて跳躍すると
アナスタシアの背中に白銀色の翼が現れ
瞬く間に逃亡していたプレーヤーへと接近する。
「覚悟っ!!」
足止めをするために放った剣戟が地面をえぐり頬に十字傷のあるプレイヤーは
地面にヘタリこんでしまった
剣をゆっくりとプレイヤーへと向け、鷹宮は静かに言う
「この事態にどうすればいいのかわからないのは
巻き込まれた全員一緒なんですよ、だから今回は
プレイヤー権利の剥奪はしませんが………以降は謹んでくださいね」
「その白銀の羽根、あんたまさか!!《白銀の伝
「これはペナルティです♪」
静かに笑みを浮かべるアナスタシアに思い当たる節のあったその盗剣士は
言い終わる前にペナルティを与えられ、虹色の泡となって神殿送りになった。
剣を納め振り返ると葛葉と伊織も来ていたらしく、鷹宮を心配そうに見ていた。
「さっきの…」
「ハッタリです、私はそんな権利持ってませんから
私はあくまでもテストプレイヤーなんですよ」
「あの人達……PKやめてくれるでしょうか」
「さあ?」
鷹宮は先程の剣士の顔を思い出す、そこには恐怖や妬みなどはなく
ただ「意外さ」のみだった、彼はどうやら「アキバの七不思議」の一つである
アレを知っているらしい、だからこそ自分をその名で呼ぼうとしたのだ
だからこそ、もうPKをしないだろうと断言できる。
だが……あまりその呼び名が好きではなかったので、言い終わる前に
相手のHPを0にして、神殿送りにしたのだが。
なにはともあれ一行は無事にアキバへと到着することができたのだった。
【アイテムメモ】
《空狐の飾尾》
狐尾族専用アクセサリ、装着すると尻尾が九本になる、
自分の写し身を九体呼び出し自身のヘイトを0にする効果があるが
狐尾族のスキル入れ替えが9個に固定される効果がある。