Ex-Stage 02
~《海賊少女の旅立ち?》~
今日も平和なアキバの町の片隅で、少女はお気に入りの海賊帽子を被り、
街の探索を楽しんでいた。
アキバはミナミよりも商業で発展していて様々なアイテムや
料理屋が並んでいるのだ。
少女は商店街で買った串焼き片手に、発布されたクエスト案内板を見ていた。
「……ゴブ退治かぁ」
そのクエストはレベル40前後までのプレイヤー達の為に張り出された
クエストでもあり、彼女もまた自分のレベル的に色々と考える事がある様だ。
「う~ん、おじ様一緒に行ってくれないかな~」
海賊少女アセリアの言うおじ様とはシグムントの事で、
ミナミにいた時から世話になっていて、
アセリアにとってとても頼れる存在なのだった。
アセリアはクエスト発布所で受注書を受け取ると
彼女の今の住まいのギルドである骨董品店へと急いで戻って行った。
いつものようにアナスタシアが店前を落ち葉を箒で掃除していて、
傍らにいた伊織はサツマイモを抱えていたので、
おそらく焼き芋でも作るのであろう。
店の中では葛葉が店番をしていて、カウンターに突っ伏してヒマそうにしていた、
アナスタシアが言うにはシグムントは倉庫の整理をしているらしく、
アセリアは姿鏡で髪の毛を整えながら誘い方を練習しているようだ。
「あのおじ様、一緒にクエストに行ってください!」
「はい、構いませんよ」
鏡の前で練習するアセリアの後ろから返事が返ってきて
彼女は驚いてアタフタし始める。
「///あの、その///」
「それで、どんなクエストなのでしょう?」
アセリアは恥ずかしくてモジモジしながらも
シグムントに受注書を恐る恐る差し出す。
シグムントはその受注書をしばし眺め
「ゴブ退治ですか」
「///はい、私もまだレベル低いですし…その///」
シグムントの言葉にテレテレしながらアセリアは恥ずかしそうに言う、
そんな姿が微笑ましかったのかシグムントは笑顔で同行を快諾した、
クエストの準備の為にアナスタシア達に外出する旨を伝えると。
「ゴブ退治か……そう言えばありましたね」
「ええ、外泊という事ですので少しの間戻ってはきません」
「///が……外泊!!///」
アナスタシアとシグムントの会話でアセリアはようやくその事に気づいたのだった。
目的地はマイハマやチョウシの北の方であり、
日帰りで行って来れるものではなく、アセリアは赤くなった顔を隠すように
被っていた海賊帽子を目深に被って隠そうとしていたが、
耳がピコピコピコピコと動いており、その姿は実に
(((わっかりやすいなぁ)))
皆はその姿に少し苦笑していた……ちなみにアナスタシアは
「外泊…2人旅………いいなぁ、私もマスターとしたかった…」
などと若干不穏当な発言をしていた。
冒険の準備をして出かけていった2人を見送った面々は
「ユキちゃんって天然とかニブちんだっけ?」
「そうじゃないですよ、マスターが言うには外泊を持ち出すときは
手を出したか出そうとしてるか、だそうです」
「そうなの?」
アナスタシアが言うにはアレ(シグムント)は確信犯であるらしく
「追いかけなくていいの伊織?」
「え?」
「後輩ちゃん、色々ピンチだってマスターが言ってます」
アナスタシアが言うにはシグムントはアセリアみたいなタイプが
結構好みらしく手を出しかねないとの事
言葉の丁寧さとは裏腹にマダムキラー等と呼ばれたりするのは
それなりに理由があるらしい。
しかし伊織は別に気にしていないらしく
「まあ玲はオジさま趣味だからねぇ、シグさんはモロにタイプみたいだし」
と、言うことらしい…
とりあえず2人が変な方向に行かなきゃいいんだけどと
アナスタシアは頭痛をガマンしながら
シグムントがやりのこした倉庫整理へと向かっていったのだった。




