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Ex-Stage 01


           ~《魔法少女と愉快な妖術師》~



それはマイハマを襲ったゴブリンの群れを

様々な冒険者たちが撃退してしばらくした後

伊織は近くのフィールドへと訓練に出ていた、

今までしていなかった訓練を今更し始めたのには様々な理由があったのだが

今は多くは語らないでおくとしよう、ながくなるしね、うん…そうしよう


「ウィプスちゃん、お願いね」

「クピー」


魔法照明用の精霊(ウィル・オ・ウィプス)なのだが、

意思疎通可能な事が判明し、以降は魔法の修行に付き合ってもらっている。


「うーん、もっと魔法の射程をあげたいんだけど、どうしよっか?」

「クピ?」


精霊と相談しながら自分の魔法の可能性を模索していく。


「う~ん、【ブラスターバレット】の射程を延ばせないことには

 もうちょっとこう使い勝手が…」


彼女の言う【ブラスターバレット】というのは、

先日のミナミでの一件のときに彼女の発現させた口伝であり

詠唱なしで魔法の弾を複数呼び出し、

銃を撃つような動作で放つ事が出来る術である。

今回の修行は付与効果の追加である、追尾効果が初めから付いていたので

他にも付けれるのではないかと目下模索中なのだ。


そんな伊織の前に一人の青年が現れた


青年はカッコつけて髪を躍らせると


「やあ、君も魔法の修行なのかい?」


青年は割といい身分なのか喋り方が若干アレだった


「感心だね、君のような美少女が努力する姿は美しい」

「はあ、で、何の用ですか?」


会話が面倒になってきそうなので単刀直入に聞くことにした


「いやなに、可憐な美少女に華麗なる僕が

 魔法の手ほどきをしてあげようと思ってね」

「寝言はLvを見てから言ってください」

「うん?、Lvといっても修行しているのだから僕と対してかわらな………」

「済みました?、じゃあ私もう行くので」


伊織はウィプスを連れて森を歩いていく


後ろのほうから

「悔しくなんかないやい!!、すぐに追い越してやるんだからな!!」

という声が聞こえてきたが気にしない事にした。

森を抜け今日はもう戻ろうかとしていた伊織の前に吟遊詩人の少女が訪れた

そばかすがかわいい女の子はある妖術師を探しているらしい

伊織が森で見かけたと教えてあげたその時


「うわぁぁっぁぁぁ!!!!」


森の奥から先ほどの青年のものすっごく情けない叫び声がしたのだ。

伊織は吟遊詩人の少女と共に森の奥へと急ぎ

伊織達は妖術師の青年がエリアボスに遭遇してしまっているのを発見した


吟遊詩人の少女は青年の名前を叫びながら必死に駆けていく。


しかし伊織は


(この二人のレベルじゃあ上手く合流できてもあのエリアボスは倒せない、

 それに間に合うかどうか)


そして伊織はある思いつきを閃いた


「ウィプスちゃんお願い!!」

「クピ!」「ギガ!」「ピ!」


ウィプス達はカワイイ声で返事を返し空へと飛び上がり

森を抜けてからエリアボスへと向かって飛んでいく


「【ブラスターバレット】、いくよウィプスちゃん!!」


伊織は魔法の銃弾を生み出し木を蹴って森の上へと飛び出した、

伊織が森を飛び出したのを合図にウィプス達は六角形の光の壁を展開し始める。

そして伊織は魔法の銃弾をその光の壁めがけて撃ちだした

放たれた魔法は光の壁で反射してエリアボスへと降り注いでいく

エリアボスの足止めを成功させたところで、

吟遊詩人の少女は妖術師の青年と無事合流できたようだ


「急いでコッチヘ!」


伊織は二人に合流の指示を出して魔法でエリアボスの足止めをしていく。

なんとか二人と合流した伊織は二人にある作戦を言い放つ


「三十六計逃げるにしかず!!」

 「「逃げるの!?」」


森の外へと走り出した伊織に文句を言いつつ二人は必死に付いて来ていた。

なんとか森の外まで逃げてきた三人は

エリアボスが追いかけてこない事を確認して、やっと一息ついた


「なぜ逃げねばならんのだ!、あの程度僕の魔法で!!」

「あのエリアボス、レベル70だよ、私と彼方達じゃ無理無理、

 私も死んじゃうから」

「まあ、このメンバーじゃあそうですよね」


青年は納得がいかないと怒っているが

吟遊詩人の少女はキチンと事態を理解したらしい


今のメンバーはレベル30前の妖術師の青年と吟遊詩人の少女、

そして伊織はレベルは86とそれなりにあるが妖術師なのである

壁役の居ないこんなメンバーではさすがに勝てはしないのだ。


「しかしだな、あみゃあ!!!

「私、待てって言わなかったかしら、一人で何処かに行くなって言ったわよね」


青年は少女にゲンコツされて説教されている

青年も慌てて正座して誤っているが何度かゲンコツを入れられている。


「わかった!、わかったらお手」

「はい」


青年は慌てて差し出された手に自分の手を乗せた、

その光景を見た伊織は思わず笑い出してしまった。


「あはははは♪おなか痛い、それ、犬の親愛を示す動作ですよ」


伊織の言葉に慌てた青年は怒りを露わにしようとしたが。


「あんたが言う事聞かないからでしょうが!!」


と少女に首ったけに重いっきり噛みつかれてしまい

痛くてそれどころではなかったのだった。


伊織はそんな二人をみて上手くつり合いがとれていると思った

さすがにこれ以上喧嘩させるのも忍びないので

とりあえず二人の機嫌を取ることに


「まあまあ、落ち着いて、取りあえずホットサンドでも食べなよ」


伊織はバッグから取り出したお昼ご飯を二人に分けてあげることにした


「ホットサンド!!」


好物だったのかホットサンドを前にはあはあ言う姿は

正に大きい犬のそれであった。


伊織は笑いをこらえながらもホットサンドを渡すと


「まて」

「え!?」


青年は飼い主の少女に待ったを喰らった、

ホットサンドを前にお腹をグーグー鳴らし始める青年をよそに

少女はこれ見よがしにホットサンドを食べていく、

青年のお腹はついに言い表せない効果音を放ち始めたのだが

青年の分のホットサンドも少女が食べてしまったのだ。


「これは言う事聞かなかった罰」

「そ………そんなぁ………」


飼い主はまだお怒りだったようでワンこな青年はがっくりとうなだれていた。


だんだんかわいそうになってきたので

伊織も許してあげてもいいじゃないかと少女へ言うと


「わかりました貴女がそういうのなら、い~い!次聞かなかったら」

「了解であります」


青年は返事をするとシュタっと敬礼したのだが

もうどんな音なのか分からない青年のお腹の虫の音で台無しになった

しかし、少女は笑いながら


「帰ったらホットサンド買にいこっか、おごってあげる」


青年は余程嬉しいのか満面の笑顔だった


(なんていうか、犬だなぁ)


そんな事を思いながらも仲の良い二人と共にアキバへと歩き始めた伊織だった。




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