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「……やぁ。カズマ」
「シンちゃん。元気かい」
「はっはっは! 見ての通り、元気さ」
「それはよかった。果物買ってきたよ。リンちゃんに切ってもらうといい」
「下にリンが居ただろう。ハナと一緒に」
「あぁ。ハナちゃんもリンちゃんに似て美人になるだろうねぇ。孫はかわいいかい?」
「そりゃぁもう。目に入れても痛くないってやつさぁ」
「そうかい」
「カズマァ。……禿げたな」
「ふふ。シンちゃんこそ」
「これは抗ガン剤のせいさ。あれさえなけりゃあ、今でもフサフサだ」
「……そうだね」
「……」
「シンちゃん……僕は君と友達になれてーー」
「よせやい」
「……でも……」
「言わなくたって、伝わるよ」
「……」
「カズマの思ってる事は、顔を見れば分かる。だから言わなくたって、いい」
「……そうだね。わかるよね」
「あぁ」
「…………じゃあ、そろそろ帰るよ」
「うん、来てくれて、ありがとう。じゃあな」
「……またね」
「……うん。またな」