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「カズマ」
「シンちゃん」
「……ショウタ大きくなったな。目とか、お前にそっくりだ」
「リンちゃんもね」
「仲良いな」
「……ショウタ、リンちゃんの事好きみたいだ」
「はぁ!? ……リンはやらねぇよ」
「ふふ。まだ四歳じゃない。リンちゃんかわいいね。……お母さん似でよかったね」
「最後のは余計だ。しっかし……かわいいよ。目に入れても痛くないとはこの事かって思った。いつか嫁に行っちゃうんだなぁって思うと、今から辛いぜ」
「気が早いなぁ。……これ、この前さ。掃除してて見つけたんだ。……返すよ」
「ん?」
「ドラモンの赤バージョン。初めてシンちゃんに会ったとき、貸してくれたやつ」
「あぁ……これか。……これはお前のだよ」
「いや、ちゃんと返しておきたいんだよ」
「……」
「借りっぱなしはなんだか気持ち悪くて。僕の性格、わかるだろ?」
「そういう意味じゃない。……言葉通りの意味さ。これは、お前のなんだ」
「えっ……それって……」
「これはお前のだ。……俺が盗ったんだ」
「…………」
「そのゲーム、兄貴が持っててな。おふくろにねだって買ってもらったんだ。でも、失くしちゃって……あの日公園のベンチに置いてあったお前のゲーム見つけて、つい盗っちまったんだ。……ずっと謝らなきゃって思ってた。」
「……」
「お前と仲良くなればなるほど、謝りにくくなっちゃってな。嫌われたくなくてーー軽蔑したか?」
「……いや。……あれがなかったらシンちゃんと友達になることも無かっただろうしね。軽蔑なんてしないよ」
「悪かった」
「謝らないでよ。……はい」
「これはお前のだって」
「あげたいんだ」
「……じゃあありがたく貰っとこう。……ありがとう」
「いいよ」