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追放された少年  作者: 誰か
戦争編
41/150

第三十三話

かなり適当になったorz

多忙で死ねる

「うおっ、うおぉぉぉーー!!誰かー助けてほしいッスーー!!」


カイの絶叫が空に響く。


「だから止めとけって言ったのに…。」


「だらしないのう。」


「アハハハハ!!やっぱドラ君の背中サイコーーーー!!」


カイとは対照的にはしゃぐリル。

クロノたち四人は今ドラの背中に乗ってあるところへ移動している。

事の始まりは数時間前に遡る。


――数時間前

ウッドブック工房内


店内にはクロノとリルにドラ、店主であるカイがいた。


「今日は三人でお出かけッスか?」


「ちょっと久々にリルと依頼でも受けようかとね。」


思えばクロノはここ暫くリルと依頼を受けていなかった。

朝方に宿屋で話し合って、とある依頼を受けることにしたのだ。


「珍しいッスね。内容はどんな?」


「海に魔物が巣食って船がだせないから、それの討伐。」


「海!?もしや、ベイポートの近くッスか!?」


カイがものすごい勢いで食いつく。カウンターから身を乗り出している。


「近くっていうかまんまそこだけど、何かあるの?」


「ちょうどベイポートの近くに鉱山があって、俺が武器の材料とかを頼んでるのもそこッス。」


「へぇー、結構賑わってそうだね。」


「そりゃあもう!別の大陸からの貿易地でもありますし、前親父に連れてって貰った時も凄かったッスよ。」


身を乗り出しながら力説するカイ。


「今回はそんなにのんびりするつもりはないけどね。日帰りで行く予定。」


クロノの言葉にカイは驚く。


「日帰り!?こっから丸一日はかかるッスよ?」


「ドラに乗ってけば1時間くらいで着くから大丈夫。」


「ドラ君の上ってスッゴイ気持ちいいんだよ。」


クロノの言葉に続いてリルがそう答えた。


「そうなんスか?乗ったこと無いから分かんないッス。」


「うん、本当に風になったみたい。」


「一回乗ってみたいッスね。」


ちらりとドラの方を見るカイ。


「乗せてやってもよいが、死ぬでないぞ?」


「あんまり、おススメは出来ないね…。死にたくないなら。」


クロノはあまり乗り気ではないらしい。


「死って…、クロノの兄貴も大げさッスよ。」


「そうだよー、あんなに気持ちいいのに。」


「まあ、ドラが良いならいいけどさ。カイはベイポートで行きたいところとかあるの?」


「丁度材料の交渉に行きたかったんスよ。」


キラキラした眼で語るカイ。

おもちゃをほしがる子供のようだ。

そんな彼の姿を見てクロノは止めることを諦めベイポートに連れて行くことにした。


ベイポート近郊の上空


風を切って進むドラ。景色が早送りで後ろに流れてゆく。


「死ぬ死ぬ死ぬぅぅーーーー!!」


カイはドラの背中に捕まりながら叫び続ける。


「これでもMAXスピードには程遠いんだけどなぁ…。」


平然とドラの上に座るクロノがぼそりと呟いた。

カイは知らないことだが、これでもドラは全力ではない。

最大限配慮して低速で飛行しているのだ。

それでも常人には耐え難い速度であることに変わりは無いが。


「そろそろかの。」


ドラがそういうと次第に減速し始める。


「えーもう終わりー?」


リルが残念そうに呟く。

速度が落ちてきたことで安堵したカイを見てクロノが言った。


「本当に危ないのはここからなんだ。」


「え?」


カイは聞き返した次の瞬間天地が逆転したかのような錯覚を覚えた。

地面が頭の上に。もちろんそれは地面が上にきたのではなく、頭が地面へと向けられたのだ。

急激に下がる高度。真っ逆さまに落下していく。

襲いくる風。みるみる内に地面が頭へと迫っていく。

地面にぶつかる!!と思った瞬間カイは意識を失った。





「やっぱり耐えられなかったか。」


ドラから降りたクロノが気絶したカイをみつめる。


「気絶するとは情けない。」


「いや、これが普通だから。」


常人にあれを耐えろというほうが無理だろう。

真っ逆さまに落下する時はクロノですら危ない。


「今回はカイがいるから急降下止めといてっていったのにさ。」


実際はもっと楽に降下出来るのだが、ドラはあえてそれをしない。

急降下したほうが気持ち良いらしい。


「あの方が慣れるじゃろうて。それに今回はリルもおったしの。」


「私が調節しといたからだいじょーぶだよ。」


ニッと無邪気な笑みを向けるリル。


「怪我してないからいいけど。リルがいてよかった。」


クロノはリルの頭を左手で撫でた後、地図を広げる。


「今ここだから…、二十分も歩けば着くかな。」


指を差しながら現在地を確認しベイポートへの所要時間をはじき出す。


「で、こやつはどうするんじゃ?」


ドラの視線の先には気絶したカイ。


「俺がおんぶしてくよ。」


「私もおんぶしてほしいな。」


「リルは自分で歩きなさい。」


ぶぅーと頬を膨らませ不満そうなリルを尻目にクロノはカイをおんぶする。


「じゃあ行こうか。」


クロノたちは4人は着陸した地点からベイポートを目指して歩き出した。



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