第二十七話
属性についての説明とか3話でしたと思ったらしてなかった…
属性の説明は出るたびでいっかな
無理やり説明入れた感がヤバい
次回からはソフィア達中心でクロノは暫く正月休みに入りそう
街に着くころには、すっかり日が暮れており少し肌寒く感じる。
「ぁー、腰が痛いったらありゃしねぇ。」
馬車から降りたアレクは背伸びをし、身体をほぐす。
「それは~~こっちのセリフだよ~~。」
アンナがのんびりとした調子で後に続く。
確かに行きも帰りも御者を務めていたのだから、疲労は人一倍だろう。
「それもそうだな。悪ぃ、悪ぃ。」
軽い調子で謝罪するアレク。
「じゃあ、ギルドでも行きますか。報酬の話は後でいいよな?」
ちらりとクロノの方を見て同意を求める。
「いや、今回俺たちは何もしていないからな。報酬はいい。」
「不気味な程謙虚だなおい。実際お前らが居なけりゃ、最後のは少しやばかったぞ。」
最後のというのは、元Aランクの冒険者のことだろう。
クロノとしては、あんな奴よりも20人とやる方が遥かにめんどくさかったので自分は全く働いていないという認識がある。それに報酬はメイから別で貰えるであろうから、特に問題は無い。
「あんなのはどうにでもなるさ。それよりも、洞窟の崩落をどうやったのか気になるな。」
盗賊団壊滅の要因となった洞窟の崩落。今後の為に聞いておいて損はないだろう。
「それなら代わりに、お前の移動速度も教えて貰いたいもんだが…。」
グッ、答えづらい質問をぶつけられる。
「まあ、喋りたくねぇなら喋らなくてもいいさ。誰にだって知られたくないことはあるだろうしな。」
押し黙るクロノを見て、何かを察したのかそれ以上追及してくる事はなかった。
聞きたい事が聞けなくて少し残念なクロノだったが、しょうがないと自分を納得させる。
「そうだな報酬の代わりにってなら、話してもいいが。」
予想外の提案。クロノはすぐに飛び乗った。元々報酬などいらないのだ。
「それで構わない。」
「って、冗談だったんだが…。どんだけ、報酬がいらないんだお前は…。」
半ば呆れるアレク。
「つっても単純な話だがな。俺が地属性ってだけ。洞窟の上に陣取ったのも、上から岩盤をちょいと貫くためだ。」
「成程。これで得心がいった。」
疑問が解消されたことに満足する。
地属性はその名の通り地を操作するのがメインの属性だ。
土を色々な形状に変化させ、攻撃にも防御にも使う。
利点としてはある程度距離が離れていても対象が地面に近ければ攻撃できる事。
上位の使い手となると、地面の土壌ごと変えられたりする。
森に住んでいた頃の畑もかーさんが土壌改良して作ったものだ。
「あ~~私は光です~~。」
アンナが会話に入ってくる。
光属性は応用性が最も高い属性として知られている。
メインは物質化。
壁を作ったり剣を作ったり、時には目眩ましとその範囲は広い。
最大の特徴は治癒だ。全属性で唯一の回復能力。
反面魔力を最も使用するので、一番才能の差が如実に現れる。
「本当にこんなんでいいのかよ…。じゃあ俺たちはギルドに行くからな。」
「ああ、じゃあな。」
手を振ってギルドへと向かうアレクたちとは反対方向の宿屋へと向かった――
少々時は遡り三日前
クロノとリルがアースの街を周っていた頃。
レオンハルト王城内では盛大に祝勝パーティーが行われていた。
城内は歓喜に沸き、すっかりお祭り騒ぎ。
しかしそこに主役の姿は無かった。
「勇者殿はどこへ?」
ある大臣が問い尋ねるが、誰しもが酒に酔って答えられるものはいなかった。
大臣も周りに勧められるまま酒を飲み、疑問は頭からするりと消えていった――
「よー、おーさま?元気してるー?」
部屋の中に響き渡る、ふざけた調子の声。
「今さーなんか戦勝祝いだかでパーティーやってんだよねー。おーさまも、来ないかい?」
室内には無駄な程豪華に装飾された天蓋付きのベッドがポツンと一つ。
そこには見るからに不健康そうな、白髪の老人が首までシーツで覆い横たわっている。
眼からは生気を感じられない。
「何か喋ってくんないとつまんないんだけどー。」
一向に答える気配のない王様を気にせず言葉を続ける。
「ていうか皆馬鹿だよねー。いくら王様の署名があるからって、戦争するとか馬鹿過ぎて笑える。」
室内に響く笑い声。
「疑うって事を知らないんだねー。まあ、不審に思ってるやつもちょっとはいるみたいだけど。」
男はベッドへの距離を徐々に詰め、老人のシーツに手を掛ける。
「まさかこんな事になってるなんて思わないよなー。」
男がシーツを捲った、王様の身体が露わになる。
そこに隠されていたのはおおよそ王様とは思えない身体。
腕も足もやせ細り、歩く事すらもままならないであろう。
そして一番特筆すべきは首に付けられた首輪。
明らかに王がつけるべき物ではない無骨な首輪。
「奴隷の気分はどう?オレにこんな物付けてたんだもんひっどいよなー。」
首輪に手を掛け、笑う笑う。無音の部屋には笑い声だけが木霊する。
「あーあもう飽きちゃったから、行くわ。グッバイおーさま。」
ひとしきり笑ったところで、首輪から手を離し、背を向けドアへと歩きだす。
「何度も言ってるけど食事を届けに来る従者以外とは話したらだめだぜ。それも最低限の扉越しの会話だけ。じゃあ後は健康にお気を付けてー。」
そう言って部屋を出ていった。
部屋の中には虚ろな眼をした老人が一人残されただけ――




