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追放された少年  作者: 誰か
青年期
23/150

第十七話

前話にまとめればよかった…

お礼を言われた男はそれに答えることなく話題を変える。

「とりあえず、怪我人が居る状態でここに留まるのは危険だ。少し歩いたところにエテジアという村があるから、そこに向かうといい。」

無愛想に男は指を指し告げる。

「ええ、私たちもその村に向かう予定だったんです。」

その言葉に青髪の女ソフィアは賛同する。

ソフィア達からすれば元々その予定であったので、特に異論はない。

未だに懐疑的な視線を男に向けているザイウスとメギドに怪我人を運ぶように指示する。

渋々といった表情で二人を背負うザイウスとメギド。

「もう魔物が出てくるような事はないだろうが、一応俺も付いていこう。その状態で襲われたりしたら危ないだろうしな。」

男からの魅力的な提案。確かにまた人を背負ったまま襲われたりしたら、たとえ格下相手でも厳しいだろう。村に近いこの場所ではそんな事は無い筈だが、先ほどのように万が一ということもある。

「でも、これ以上あなたに頼るのは…」

遠慮がちに答える。これは本音だが全てではない。パーティーメンバー程ではないが、警戒はしている。敵ではないと判断を下したが、その判断が正しいという確証もないのだ。

「なに、俺もエテジアの村に連れを置いてきてるんでな、どちらにせよ戻らなきゃならないんだ。」

目の前の男を測りかねているソフィアに気づいた様子もなく答える。

とりあえずこれ以上頼るという事に関しては、目的地が同じという事で負い目に感じる必要はなくなった。一つの問題が解決したことで、頭が冴えてくる。

(大体この男が敵だったからどうするの?ジャイアント・ワームを倒しちゃうような男に私たちは勝てないじゃない。あれほどの実力があるなら今この場で殺すことも可能なはずだし……)

ここまで考えて一つの結論を出す。

(敵だったらどちらにせよ勝ち目なんてないし、罠だったら諦めましょう。)

と思考を放棄したのだった。


「じゃあお願いします。」

軽く頭を下げ礼をするソフィア。

クロノにしてみればエテジアの村まで帰り道が一緒なので、一緒に行くのは大した問題ではない。

本当についでであった。ジャイアント・ワーム討伐という依頼も達成したわけだし、これ以上やる事などほぼない。あるとしても、ランクが高すぎて討伐証明の部位が定められていないジャイアント・ワームの死骸を最寄りのギルドの職員に確認してもらうだけだ。


すっかり暗くなった荒野を歩く四人と背負われた二人。

四十分ほど歩いたところで木でできた粗末な門が見えてくる。

エテジアの村の門だ。門だからといって守衛が立っているわけではなく、只形だけの門。

一応村全体に魔物避けの結界が張ってあるらしく、Bランクくらいの魔物であれば入る事はできない。

門を潜り村の中に入る。背負われていた二人の為にすぐさま教会へと向かう三人の冒険者たちを見送りながら、クロノはドラのいる宿屋を探した。


宿で既に白いベッドへと寝ころんでいた少年は見知った気配を不意に感じる。

「どうやら帰ってきたようじゃの……」

呟くとドアが開き黒い外套を被った男が部屋に入ってくる。

とても怪しげなその風貌。黒を身に纏い不審者と思われてもしょうがない。

「ドラがとった宿探すのに村の中探し回ったよ。」

聞こえてくるのは外見に似合わないとても通る声。先ほどソフィア達と話していた時からは想像できない程に親しみのある声だった。

「勝手に宿とっといて、なんて言うお主が悪い。」

ベッドに寝ながら主に答える。

「そう言われると反論できないね。」

「大体この村に一軒しかない宿屋をどうして探し回るのじゃ?」

エテジアの村は目立った特産品もなく、旅人が寄る事も少ないため宿屋は一軒しかない。

「もう外は暗くてさ、村の人に聞こうにも誰もいなかったんだよ。」

肩を竦めながら困ったように呟く。

そんな主の姿を見て追撃する事はせずに、話題を変える。

「で?どうじゃった?今度は逃げられるようなことは無かったか?」

ここ一周間アレの討伐の為に各地を回っていたのだ。何度か近くまで迫ったことはあったが、その度に危険を察知したのか地面に潜られ仕留め損ねていた。

「ちゃんと仕留めたさ、討伐証明の為の部位が決められていなくてよかった。あんな気持ち悪いもの持って帰るなんてまっぴらごめんだね。」

やれやれといった様子のクロノ。その脳裏には斬った時にでてきた内臓等が映し出されているのだが、ドラにはそんな事知る由もない。

「まあ、それはギルド職員に確認に行ってもらうとして、もう一つ問題が発生したんだよね。」

「問題?」

ドラには想像できなかった。目の前の主が解決できないような問題を。

「ジャイアント・ワームを倒した時に襲われてた人たちが居て、道中に素性とか聞かれて村に行ってからまた明日にでも話そう、とか言っちゃったんだ。」

クロノは冒険者を始めてから五年程経つがその間他人との接触をなるべく避けてきた。

クロノは今や一人しかいないSSSランクの冒険者である。世間的には存在するとだけ言われているSSSランク。そうだとばれれば何か厄介事に巻き込まれるのは明白。知っているのは各国の重鎮やギルドの受付と数少ない知り合いくらいのものだ。

「なんでそんな事を言ってしまうのかのぉ…」

ドラは微妙にどこか些細なミスをする自分の主に呆れる。

「まあ、名前くらいなら大丈夫だろうし、ギルドランクとか聞かれたら適当に言っておくけど。」

(ならば最初から大した問題ではないだろうに。)

そんなドラの考えにクロノは気付いた様子もなくベッドへと倒れこむ。すぐに寝息が聞こえてくる。

外套を着たまま眠りに落ちる主を見つめながら、ドラも深い眠りへと落ちていった――


同時刻

三人のパーティーは教会内部にいた。キラースコーピオンにやられた二人を治療するために。

一応ソフィアが応急処置は施したが完全に回復するには教会で毒抜きをしてもらうしかない。

そもそもこの二人は仲間でも何でもなく、キラースコーピオン討伐に行くとそこで倒れていた。

二人とも茶髪で顔は似ている。背格好からして十代前半で兄弟のように見える。全員が二十台前半の自分たちのパーティーに比べて若い。服は粗末で貧しい家庭であろうことが見てとれた。どうしてあんな所で倒れていたのかは分からなかったが、子供を見捨てる選択肢は無かった。

現在神父に治療を受けている茶髪の兄弟。二人の顔は意識がないながらも苦痛に歪んでいる。

それを痛ましく感じながら、身を案じる。

「おそらく、明日の朝までは目を覚まさないでしょう。」

神父がそう告げる。

「それは明日の朝には良くなるということですか?」

聞かずには居られなかった。

「ええ、毒はもう抜きましたので。」

神父の心強い言葉。見ると顔色は徐々に良くなっていた。

「今日一晩はこちらに預けて、また明日の朝おこしになって下さい。」

「そうさせていただきます。ありがとうございました。」

神父に礼を言い教会を後にした。

教会をでてから昨日も泊まった宿屋へと向かう。

小さな村であるエテジアには宿屋が一つしかない。

途中でザイウスがこれからについて問うてくる。

「あのガキどもどーすんだ?教会に対する寄付金も俺らが払ったしよ。」

教会での治療もタダではない。寄付金を払わなければならなかった。

「そうね。明日あたりにでもあんな所でどうして倒れてたか聞かないと。」

「金はどーすんだって聞いてんだよ。キラースコーピオンも討伐しねぇといけねぇし。」

ザイウスは現実主義だ。金にがめついわけではないが、顔の割に管理には厳しい。仕事に対しても受けたら確実にこなそうとする。

「あんたねぇ、あの服装からしてお金なんか貰えると思う?それにもし貰えたとしても断るわ。勝手に助けたのは私たちなんだし。」

少々失礼な言い方だが事実だ。貧しそうな服装からして礼など期待していない。そもそも見返りを求めて助けたわけじゃない。ザイウスはその言葉に納得したのか何も言い返してこない。

「では、キラースコーピオン討伐の方はどうする?」

ここまで二人の会話を黙って聞いていたメギドが口を開いた。

「それは予定通り続行ね。今日戦った感じとして、苦戦はしたけど明日は私もでるから大丈夫でしょう。」

今日はソフィアが二人を治療していたので戦いに出られなかったが明日は違う。

二人をサポートすれば殲滅できるだろう。

気になるのは今日自分たちを助けてくれた、黒いフードの男。

明日にでも話そうと言い、分かれた。あの男に対する疑問は尽きないが明日になれば話す機会はある。

茶髪の少年たちからも話しを聞かないといけない。

そう明日の予定を立て宿へと戻った……




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