第十六話
クロノの一人称が俺に!?
クロノの能力ははっきりいって地味です。
この話を書くにあたり二話の魔惻のやり方について追加修正しました。
後先考えずに書くからですね。
正直幼年期一話 少年期一話 青年期二話くらいで多分まとめられるんですけど、今更めんどくさいのが本音です。
「一人で先にいってしもうたのぉ・・・・」
エテジアの村の前で緑髪の少年はそう呆れたように呟いた。
思い出すのは、自分の主である一人の青年。
強い魔物の気配がする事を少年が告げると、もの凄いスピードで出て行ってしまった。
「儂は元の姿に戻らんと追いつけんし・・・まあ、あやつが負けることはないじゃろう。」
少年とは思えぬ口調で喋る。
その声はどこか確信したようで。
「さて、言われた通り儂は宿でも取っておくとしようかの。」
そう言って、村へと戻って行った。
青年は文字通り目にも止まらぬスピードで荒野を駆けていた。
(ドラは、強い魔物の気配と言った。ならば獲物の可能性が高いな。)
荒野を走る青年クロノはそう考える。黒い外套に身を包みながら。
そもそも、こんな辺境な地に来たのは依頼の為だ。ジャイアント・ワーム討伐という。
(ジャイアント・ワームは餌があるところでしか地面から顔を出さない、エテジアの村に辿りつく前に潰す。)
そう考えていると、向かっている方角からズドドドという轟音が聞こえてくる。
(あそこに餌でもあったのか?)
ジャイアント・ワームは基本的に人間しか食べない。
顔を出したという事は、そこに人間がいたということだ。
(このペースで走ってたら間に合わないな。)
歯噛みしながらも、足は止めない。
(レベルを上げるか。最高速なら間に合うはずだ。)
「パワーレべル5」
言葉を発した次の瞬間青年の姿は消えていた・・・・
目の前には死骸となったジャイアント・ワーム。
よく見ると二つに裂けており、中からはビチャビチャと内臓のようなものが噴き出している。
はっきりいって気持ち悪い。
しかし、その上には不釣り合いな黒い外套に身を包んだ人間らしきものが立っている。
「大丈夫か?」
と、低く若そうな声から察するに男性だろう。
(敵ではない・・?)
即座に思考を落ち着かせ、判断を下す。
「ええ・・大丈夫です。ありがとうございました。」
とりあえずフードの男にお礼を言う。
横目でザイウスとメギドを見ると、未だに固まっている。
混乱しているのだろう、どこから現れたかも分からない男に。
無理もない。私も未だに混乱しているのだから。
「そうか、なら良かった。」
ジャイアント・ワームを一人で倒したと思われるフードの男は安心したようにそう告げた。
「あなたがジャイアント・ワームを斬ったんですか?」
疑問を口にする。
状況的にみるとそうとしか考えられないが、信じられなかった。
魔法を使った形跡もない、手に持った細い剣だけで斬ったというのは想像ができない。
「一応な・・・」
不明瞭な声で告げる男に疑念を持ったが、助かったことは事実だ。
あのまま戦えば全滅の可能性が高かっただろう。
「本当に助けていただいて、ありがとうございましたっ!!」
再度お礼を言う。
男の表情を窺い知ることは出来ない――――
「レべル5」
俺はそう呟く。
瞬間体に魔力が漲ってくる。
地面を蹴ると、景色が凄いスピードで流れて行く。
これが俺の魔法。どの属性にも属さない専用魔法。
かーさん曰く無属性というらしい。かーさんも同じ力を持っていた。
そもそも、魔惻では色の濃さを測るものである。
それぞれの属性に合った色が出る。
しかし、無属性には合った色というものが存在しない。
いくら魔力を込めようとも、水晶には色がでないのだ。
俺がこの力に目覚めたのは迷いの森に入って一ヶ月程した時。
ダディ・スネークという大蛇のような魔物から逃げていたら、体が軽かった。自分でも信じられない程に。
その事をかーさんに話すと、無属性だろうと言われたのがこの力の始まりだ。
一般的には認知されていない力。命名はかーさんらしい。
それから暫く無属性についての説明と使用法について学んだ。
他の属性との大きな違いとして、何かを出すのではなく魔力を纏う。
純粋なる身体強化それが無属性の特徴。
逆にいえばそれしかできない。
炎を出したり、光の壁を作ったりは出来ないのだ。
使い方を学んでからは飛躍的に成長した。
動体視力も上がり相手の動きを見極めることができるようになった。
無意識の内に常時纏えるようになる頃には、一人でブラックレイ・ウルフを狩れるようになっていた。
普段の状態をレベル1とし、1段階ごとに徐々に力が上がっていく。
今使っているのはレベル5。
5段階あるうちの最上位。
使ってから瞬く間にジャイアント・ワームの元に着いた。
人間は五人。今まさに、一人がジャイアント・ワームに襲いかかられるというところ。
すぐさま剣を抜き、ジャイアント・ワームへと斬りかかる。
こちらに気づいた様子もなく、そのままニホントーで斬り裂いた。
スパッとそんな音が聞こえてきそうな程に、あっさりと――――――




