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「あのね、上野くん。私、今度引っ越しをするんだ」と紙ヒコーキを折り終わったところで花は言った。(文くんは花の紙ヒコーキを折る仕草をじっと見ていた)

「知ってる?」

「うん。知ってる」と文くんは言った。

「ずっとずっと遠いところに引っ越しをするの」と二枚目の紙を取りながら花は言った。


「会いにきてくれる?」

 花は言った。

「もちろん。会いにいくよ」と文くんは言った。

「ありがとう」と花は言った。

 花と文くんは花が二つ目の紙ヒコーキを折り終えると二人で一緒に学校から帰ることにした。(それ以来、花は紙ヒコーキを文くんのところに向かって飛ばすことをやめてしまった)


 花は結局、恋文を文くんに渡すことができなかった。

 花の恋文は今も紙ヒコーキになることはなくてきちんと封筒の中には仕舞われていて、花の鞄の中に大切に入れられていた。

 春が終わるころになって、花は引っ越しをした。

 新しい町にやってくると、友達もすぐにできたし、町も気に入ったのだけど、好きな人は変わらなかった。

 ずっと、ずっと。


 ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。

 その音を聞いて、花はキッチンから玄関まで移動をする。

 ドアを開くとそこには上野文くんがいた。

 文くんの顔を見て、花は自分の動きを止める。

「久しぶり、高野さん」

 と文くんは言った。

 花はなにも言わずにそのまま文くんの胸の中に飛び込んだ。(あとで知ったことだけど、電話に出た花のお母さんが花をびっくりさせるために花に内緒で文くんを高野家に招待をしたのだった。そのことで花はお母さんとちょっとした喧嘩になった)


 文くんは花の紙ヒコーキを全部大切に今も持ってくれていた。(そのことを聞いて、花はすごく嬉しくなった)


 花が自分の書いた恋文を紙ヒコーキにして上野文くんの頭の後ろに向けて飛ばしたのは、二人がお付き合いをしてから、二ヶ月後のことだった。


 ある日、私はあなたに恋をした。


 花と紙ヒコーキ 終わり

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― 新着の感想 ―
[一言] ほのぼのしました♡
2023/08/20 15:30 退会済み
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