95 プール・レクリエーション⑥
そしてアリサは着ていたラッシュガードのチャックに手を取り、ゆっくり外していく。
開いたそこから溢れんばかりの果実が表に出た。
ビキニだろうか。でも紬が着ているビキニとは違う。
その胸元がより強調されて、下部が見えているのだ。
こんなのスタイルの良い美女じゃなきゃ似合わないだろってものをアリサは身につけていた。
白く綺麗な柔肌と極上の顔立ちは当然そのままで全てを美で構成された姿が物語っていた。
まわりの客達もその姿に心を奪われているようで声も出せずに見惚れてしまっていたんだ。
「どう?」
アリサは小さく呟いた。
少し恥ずかしさがあるのか。恐る恐る呟いていた。
その綺麗さに見惚れた僕の頭がすぐに回転するはずもなく。
「どうって……」
「紬には似合ってるとからしいとか言ってくれたのに」
頬を含ませて怒る仕草をする。
残念ながら可愛らしすぎてやばいという気持ちにならない。
「もう涼真! アリサちゃんも新しい水着を用意したんだよ。誰のためになんて野暮なこと言わないよね」
そういえばアリサも水着を新調したと言っていた。他ならぬ僕のために。
うぅ、まだ関係を深めてない時はしっかりよく似合っていると言えたのに何でこんなに照れてしまっているんだ。
顔が熱くなって何も言えない。何て情けないのだろうか。
「日焼け止めを塗ろう! 肌が赤くなったら大変だからね!」
そういう方向に逃げるしかなかったのだ。それが大きな過ちだったとはこの時知るはずもない。
「ねぇ涼真」
僕を挟んで紬とアリサがマットにうつ伏せで寝転ぶ。
「わたしとアリサちゃん。どっちを先に選ぶの?」
「え」
「もちろん親友の私よね」
「そりゃ幼馴染のわたしだよ」
なんだその究極の選択は! どっちでもいいじゃんと思うがきっとそうではないのだろう。
二人には和かな顔で火花を散らしてるような感じがする。
僕はどっちを選ぶべばいいんだ。そもそも何で僕が塗るんだ。お互いがお互いを塗ればいいんじゃないのか。
苦し紛れに日焼け止めを塗ろうと言ってしまったのが悪かった。
二人が大きく空いた白い背中を見せながら長い髪と一緒に振り返って僕をじっと見つめる。
多分僕の選択をずっと待っているに違いない。
こうなったら両方とも同時に塗るか? それは何か怒られる気もする。
「アリサ!」
「うん!」
アリサは嬉しそうな顔をする。
「後でもいいかな?」
「先にしろ!」
「はい、先にします」
そんなわけでアリサを先にすることにしました。
紬が呆れた顔で僕を見ていた。やめろ、そんな顔で見るんじゃない。
そもそも僕が美少女を選ぶ側なんて似合わないんだよ!
アリサはうつ伏せでまっすぐ寝転び、両腕を体と垂直に上げて、肩あたりを塗りやすいように動かした。
何という綺麗な体だ。しみやほくろなど余計なものが何一つない白く綺麗な肌。傷なんてつけたら怒られそうだ。
そして何よりマットに押しつぶされて少し膨らんだ胸が後からでも分かるくらい見えている。
本当にすごいな。
「じゃあやるよアリサ。嫌だったらすぐにでも言ってね」
「うん。ひゃうっ、冷たい」
股間に響く声を上げてくる。冷たいローションをアリサの背中に垂らしてみた。
そして覚悟を決めて手のひらをアリサの背中に当てる。
あ、柔らかくてスベスベしてる。両手にローションを塗りこんでアリサの腰から背中まわりをゆっくりと撫であげていく。
「どう? 上手くやれてるかな」
「あのね……そのふふっ、ちょっと」
「ん? どうしたの」
「そ、想像以上にくすぐったいの! ふふっ」
そういえばアリサはかなりの敏感肌だっけ。前、大月さんにくすぐられて笑転げてたことを思い出す。
あの時も悶えっぷりはとても素晴らしかった。
ちょっとイタズラ心が芽生えて、塗りこんでいる背中から両手を動かして、くびれた脇腹をくにっと揉んでみる。
「きゃははは!?」
アリサの体がびくんと動いた。
「ちょっと涼真っ! 今、脇腹触ったでしょ」
「サワッテナイヨ」
「うぅ……脇腹を揉まれるのは駄目なの」
「つっつくのは?」
「あっ、ちょっ、きゃはん! だめぇっ!」
つっつくたびにびくんと震えるのが楽しくてたまらない。
アリサが振り返り、真っ赤な顔をして歯を食いしばっていた。やばい怒らせたかも。
「もう! ちゃんとやって」
「ごめん、ごめん」
これ以上は本気で怒られそうだ。
僕はアリサの足に手を触れる。細くて長くて綺麗な足だ。
足フェチとしれは極上とも言えるだろう。
足全体にローションを塗って、フリフリのお尻に目を向けつつも再び上半身に触れる。
「ひゃう……首もだめぇ」
「ちょっと我慢して」
肩から首にかけてローションを伸ばして塗りたくる。
首あたりも敏感のようで触るたびに股間がつらなくなる声を上げる。
手の甲から首の方まで流れるように手を動かして、アリサの背面全てに日焼け止めローションを塗りたくった。
背中にかかる長い金色の髪は本当にスベスベでずっと触っていたくなる良さがある。
今度の家事代行の時にまた膝の上で寝かせてその髪を満喫させよう。
さて……全部終わったわけだが。
「……」
このまま終わらせるのは何かが物足りない。
もう一回あのアリサらしくない悲鳴を聞いてみたいな。
「ふぅ……」
だらけきったアリサが完全に油断していた。両腕を組む形で伸ばしていたのでガラ空きの脇の下に指を突っ込んでみる。
そのまま指の力を入れてみた。その時だった。
「ひゃああああああああんん!?」
アリサの体が今までになく震え、そのまま慌てて立ち上がって両腋を腕でしめてしまった。
そのまま振り返って涙目で僕を見る。
「腋は一番駄目なの! もう涼真のバカ、えっち!」
「なんかちょっと魔が刺して」
「へぇ〜、アリサちゃんのあんな慌てる顔初めてみたかも。可愛い弱点だね」
「ほんと昔からこれだけは駄目で苦手なの! ううぅぅ!」
悔しそうに僕を睨んでくるアリサ。さすがにやりすぎだったかもしれない。またアリサの苦手なものが一つ増えたような気がする。
でも仕方ないじゃないかあんな無防備を晒すんだからちょっとつついてやりたくなるもの。
アリサは照れた様子で僕に近づく。
悔しそうな表情もまた可愛らしい。
「こちょこちょは禁止!」
「もうしないから、ごめん」
アリサはそっと僕の側に寄った。
「外では変な声出て恥ずかしいから嫌。でも内なら……」
「へ?」
「涼真ならちょっとくらいならいいよ。涼真に触れられるのは嫌じゃないから」
脳髄に雷が落ちるかのような衝撃の言葉に僕の思考はゆすられる。
これはつまり、家事代行時、アリサの体にお触りOKであることに他ならない。
家事代行の仕事とは全然違うような気がするけど。
「涼真のえっち。いやらしいこと考えてるでしょ」
「してませんけど!」
「ふーん」
その角度で上目遣いはやばい。
顔と体、全部が魅力的でまた顔が熱くなりそうだ。
「涼真。早く日焼け止め塗ってー。焼けちゃう」
紬からの呼び出しだ。ちょうど良いと思い、僕は紬のところへ向かった。