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72 爆弾発言

 あまりにとんでもない話に僕は自分で分かるくらい思考が停止したと思った。

 それぐらい衝撃的だったのだ。

 自分の意思を取り戻し、僕は大きく息を吐いた。


「何言ってるんですか。学校で一番人気のあるアリサが僕を好きになるはずないでしょ」


 いつもの言葉を吐き捨てる。

 僕とアリサでは容姿、他全てが釣り合わない。だから誰もがその言葉に納得する。

 ……はずだった。


「世界で一番アリサを知っているわたしの目にケチをつけるの?」

「うっ……」

「小暮くんがどう思おうと関係ないの。アリサが小暮くんを好きになっちゃのはほんと。紛れもない事実だから」


 そんなはずはないと言いたくなるが正直もしかしてという思いがあったのも事実。

 最近のアリサは僕に対してデレデレのように思えたからだ。

 絶対無いと言い聞かせてきたけど幼馴染の大月さんが言うならほぼ間違いない。さすがに当てずっぽうでは言わないだろうし。


「小暮くんってアリサのこと好き?」

「っ」


 強火で責め立ててくる。

 そんなこと言われて動じない男がいるはずがない。

 大月さんも獅子と付き合ってなければ絶対言ってこないんだろうなと思う。


「友人としては好きですよ」

「無難な答えだね」


 恥ずかしくて顔が真っ赤になりそうだ。

 正直アリサのことは相当に好きだと思う。顔も声も容姿も何をとっても魅力的で好みだ。

 だけど恋ではない。僕は女の子に恋なんてしない。してはいけないんだ。


 大月さんはスマホで写真を表示させて見せてきた。


「こ、これは!」

「わたしのお気に入りアリサ写真集」

「お、おお……。お~~。おっ」


「この反応。小暮くん、アリサのこと相当好きでしょ」

「違うしっ!」


「ごめん違うね。アリサの顔と体が好きなんだね」

「言い方!」


 その写真は凄かった。

 まず中学生の頃のアリサだろうか。体操着姿で水場で笑うアリサの姿はめちゃくちゃ可愛かった。

 次は水着のアリサだ。豊満な胸がこれでもかというほど強調されており、その美麗な顔立ちと合わせ食い入るように見てしまう。

 おまけはこの前のネコミミメイド服のアリサだった。大月さんが何かを指示したのか胸を強調させ、恥ずかしさを見せたポージングは大層たまらなかった。

 この僕が見入ってしまうくらいたまらなく魅力的だ。


「どうせ小暮くん、夜はアリサのことばっかり考えてるんでしょ。アリサと付き合えば全部小暮くんの物になるんだよ。小暮くんの大好きなあの顔と体が手に入る」

「僕はアリサをそんな目で見ない」


「でもアリサは小暮くんがよく胸を見てくるって言ってたけどね」

「う、うそ!?」


 バレてる! だってあんな無謀な格好で……そもそもあの顔を直視できないんだからどこ見りゃいいんだって話なんだよ!

 正直夜は……。全部見透かされているようでむかつく!


「何が不満なの? 別に結婚しろって言ってるわけじゃない。付き合って合わなければ別れればいいよ。別れた後、小暮くんは紬さんと付き合えばいい」

「大月さんは言ってることは無茶苦茶だ。こんなの良くないでしょ。恋愛は当人同士の問題なわけで……」

「小暮くんが曖昧な態度を取るからだよ」

「僕は……!」


 そのあまりの言葉に思わずかちんと来る。

 僕がどんな想いをしてきたか何もしらないくせに。

 僕だって吹っ切れるものなら吹っ切りたい。でもそれは許されないんだ。()()()()()()()()()は一生負わなければならない。


「僕は誰とも付き合わない。そう決めてるんだ。例えアリサが魅力的だろうと……僕には理由が」

「理由なんてどうでもいい」

「は?」

「理由を聞けば躊躇しちゃうかもしれないから。だからわたしは小暮くんの過去を知らなくていい」

「……何でそこまで僕とアリサをくっつけたがるんだ」


 大月さんは僕に対してきつめではあったけど、ここまで突拍子もない対応をする子ではなかった。

 まるで僕に嫌われてもいいから自分の欲求を押し通そうとしている。

 これは誰のため? もし僕が大月さんの立場なら。


「そっか……アリサのためか」

「っ!」

「ま、そうですね。大月さんの行動理由なんてアリサのため以外にないでしょうし」

「うん、そうだよ」


 大月さんはぐっと僕に向き合った。少しだけ目尻に涙の跡がある。


「わたしはアリサを傷つけた。あんなにわたしのことを好きでいてくれるアリサを悲しませたの」


 それは大月さんが獅子と付き合う前の話。僕がアリサと強く仲を深めた時のことか。


「わたしあれからずっと後悔してるんだ。アリサを傷つけたことを……何であんなことしたんだろうって。もし小暮くんが仲裁してなかったら今もぎくしゃくしてたかもしれない」

「でも結果的仲直りしたじゃないですか。それじゃダメなんですか」

「仲直りしたってわたしがアリサを傷つけた罪は消えない! アリサがわたしを許してもわたしは自分を許せない」


 大月さんは吐き捨てるように大声で叫ぶ。

 ずっと彼女は笑顔の裏でアリサに対しての罪悪感を持ち続けていたのか。

 アリサが大月さんを好きなように、大月さんもアリサのことが大好きなんだ。だから許せない。

 僕が同じことを獅子にしたらどう思うか。僕は自分を許せなくなるだろう。獅子には恩義があるから。獅子を傷つけることなんて絶対にあってはならない。


「だからアリサのために僕に嫌われること承知でやったんですね」


 大月さんはコクンと頷いた。

 ってく……何を考えてんだよ。

 でもこれを否定はできない。なぜなら僕も獅子のために大月さんの情報を得る時同じことを思っていたからだ。

 大月さんに嫌われたって僕は関係ない。獅子さえ嫌われなければいい。

 もし未だ獅子が大月さんと付き合えてなかったら僕は今の彼女と同じことをしたかもしれない。


 だがこの特攻は大きい。本人の口から聞いてるわけじゃないので100%ではないものの、アリサが僕を好きかもしれないという情報が脳の奥までインプットされてしまった。

 これから僕はアリサと直面して話すことができるんだろうか。


「まぁいいです。僕と大月さんの仲が悪くなると親友達が心配するので今回の件は不問にします。だから……もう、あんまりアリサと付き合えとか言わないでください」

「……うん」

「少なくとも今は……誰とも付き合う気はないです」


 朝から大変な問題に直面した気がする。

 しかも大月さんがちょっと泣いてるのも困る。僕が泣かせたと勘違いされたら……。


 ピコンと音がしてスマホを見ると大月さんからラインで写真が送られてきた。

 それは先ほど見たアリサの魅力的な写真。


「もうしないよ。だから」


 大月さんはにこりと笑う。


「これからはアリサの写真をいっぱい送ってアリサで頭がいっぱいになるようにするね!」

「全然分かってないだろっ!」

「一応スキンは持たせるから襲ってもいいけど、あんまり乱暴はやめてね。優しく抱けば受けてくれるはずだから」

「聞けーーっ!」

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