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07 学校一人気のあるボスに目をつけられた件③

 突然の声色の変化に僕は唖然としてしまった。

 朝比奈さんと大月さんは想像以上に親しい関係なのかもしれない。


「そ、そうですね。声色が優しげな所とか」

「そうなの! そうなの! 毎朝起こしてもらうんだけど……雫のね、アリサ起きてって声がほんと尊くて、マジで推しなの!」


「毎朝起こしてもらってるんですか?」

「あ」


 朝比奈さんは固まる。そして顔色を赤くさせた。


「べ、別にいいでしょ。女の子同士なんだからやましいことなんてない!」

「やましさはいいですけど、毎朝起こしてもらうのはどうなんでしょう」


「家が隣同士なんだからいいでしょ! 朝起きれないんだから仕方ないじゃない!」


 そんな逆ギレされても。

 朝比奈さんと大月さんは家が隣同士の幼馴染ってのは聞いている。

 まぁ僕も毎朝起きれない獅子を起こしに行ってるからそれと同じと考えればいい。

 獅子に尊いとか言われたらさすがに引くけど。


「他にはないの?」

「そうですね。教室の観葉植物に名前を付けてる所とか魅力的だと思います」


「でしょ! 雫ったら部屋のぬいぐるみにも名前を付けてるのよ! 私が送った誕生日プレゼントのクマにも名前を付けて私にちなんだ名前にしてくれてね、ほんと雫たん可愛い!」


「あ、そっすか」


 親友にたん付けし始めたぞこの人。


「あとは……笑うと可愛らしいというか朗らかというか元気が出ますね」

「分かる! 雫の笑顔が私の生命線なの! ほらっ、私のスマホの待ち受けは笑顔の雫なのよ」


 うわぁ。親友を待ち受けにしてる人を初めて見た。


「私、雫が男だったら絶対付き合ってたもん。それぐらい雫のことが大好き!」

「朝比奈さんは女の子が好きなんですか」


「違う。雫が好きなの。雫たんは性を超えた存在」


 筋金入りだ。なるほど、親友として大月さんが好きなだけなのか。それで大月さんの側に現れた僕が気にいらないんだろうな。


「つまり、大月さんには近づくなって言いたいんですね」

「違うわ。雫に危害を加えないなら見逃してあげる」 


「え、見逃してくれるんですか」


 意外な反応だ。親友に近づく僕に近寄んなと言うものばかりと思っていた。


「嫌なの? 小暮くんってお仕置きされたい系? 悪いけど他を当たってもらえる」

「意味の分からないことをベラベラと……」


 この人意外に調子がいいのかもしれない。でも大月さんとの交流を許してくれたことは意外だ。ま、僕の印象が薄いだけかもしれないけど。その内にマスターがコーヒーカップを持ってきてくれた。


「あ、凄くいい匂い」

「ここのコーヒーは絶品よ。私が行きつけにするくらいなんだから」


 ふふんと自慢気に語っている。

 別に朝比奈さんが淹れたわけじゃない気がするけど。

 自慢の一品を紹介する時はこういう顔をするものだし、素直に愛想笑いをしておこう。

 朝比奈さんは一緒に置かれたスティックシュガーを手に取る。一本、二本、三本。


「今日は少なめにしておこうかしら」

「それで少なめ……」


「なによ」 

「いえ、何でもないです」


 それもう砂糖の味しかしないんじゃないか。それでコーヒーが絶品ってよく言えるもんだ。

 まぁ、僕の親友も砂糖いっぱい入れないとコーヒーは飲めないから入れること自体は不思議じゃない。


「ああ……美味しい。やっぱりコーヒーはサイフォンよね。ほんと味わい深いわ。知ってる? この店は年代モノの器具を使っていてね」


 朝比奈さんは機嫌よく説明をし始めた。

 あれだけ砂糖入れておいて味わいなんてあるんだろうか。

 ふと……メニューに目を向けると今日の日替わりコーヒーの種類がエスプレッソと書かれていた。

 ってことはこのコーヒー、サイフォン式で作ったコーヒーじゃないんじゃ。

 コーヒー通じゃない僕には味の違いはあんまり分かってないがさすがに別物だってのは分かる。


「私の家にもサイフォン式の器具があって、休日の目がなかなか開かない朝に雫が作ってくれるの。大きくなったらカフェを開きたいねなんて話をしながらね」


「優雅な朝ですね。僕はインスタントコーヒーしか飲まないのでちょっとそういう生活に憧れます。サイフォンって化学実験みたいな道具を使いますよね。どんな感じなんですか?」


「えっとね……」


 さすがカーストトップの女の子。みんなの中心になれる子ってのは案外お喋りが上手なことが多い。

だから人が集まるし羨望も集める。朝比奈さんは学年一の成績で女子達に勉強を教える場面を教室で見ていたから何となくそんな感じがしていた。  


 僕は日替わりエスプレッソを飲みながら彼女の話を楽しんでいた。このコーヒー、美味しいな。

今まで飲んだ中で一番かも。美少女という甘みがあるからだろうか。なんてね。

もう一杯飲みたくなったので首を後ろに向ける。

「ご注文ですかな?」


 さすがマスター。目線とかで分かるんだろうか。


「はい。今日の日替わりのエスプレッソコーヒーをもう一つ」

「え」


 朝比奈さんが素の声を出した。


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