61 下校
時間はあっという間に放課後になってしまった。
今日は男子グループ、女子グループに分かれてしまっていたためあれからアリサや紬と話すタイミングはなかった。
放課後は当然、バスケットボール部の練習がある。本気でやってる獅子と違って僕は流されるままのことが多かったけど……最近はわりと本気で練習に励んでる気がする。
夜、暇な時に走り込みようになったし居残りで獅子と練習することも増えた。
その理由は一つ。
(みんなのために動く小暮くんは世界で一番格好良かったよ)
アリサにそう言われたことが理由に他ならない。
嬉しかった。本当に嬉しかったんだ。
僕には獅子のような才能はないし、僕には過去の出来事から致命的なハンデを持つので才能が開花することはないだろう。でもアリサが褒めてくれたプレイだけはもっと磨いていきたいと思う。
「ふぅ……」
部活の休憩時間。体育館の外に出て、水を飲みに外へ行く。
そういえば紬はどうしてるのかな。部活動を見にいくって言ってたけど。
「おおっ!」
大勢の驚く声にふらっと引き寄せられてしまう。
どうやら陸上部だろうか。
そこには体操着姿の紬の姿があった。
「あなた本当に未経験者!? 短距離も幅跳びも凄いじゃない」
「昔から運動は得意なんです!」
今は陸上部に仮入部してるって感じだな。
かなりの運動能力を示しているらしい。そういえば紬って小さい頃は獅子と同レベルの運動能力を持ってたっけ。
獅子と紬についていくのがやっと僕は自分で運動音痴だと思ってたけど真実はあの二人が異常すぎた。僕は普通に平均以上だったよ。
「柊さん、是非陸上部に!」
「一緒にやろうぜ!」
陸上部の男子達が紬に詰め寄っていた。
あれだけ可愛い子がやってきたら燃え上がるよなぁ。アリサも最初はあんな感じだったんだろうか。
「っ! わ、わたし次、違う部活見に行くのでありがとうございました!」
紬はぶんと礼をして走り去っていく。
男子部員と女子の部長かな。残念な顔で紬が走り去った後を見つめていた。
その奥には女子部員達が集まっているようだけど……紬のやつ慌てて走っていったな。
「……まぁいいか」
今日は運動場で行う運動部を見るって言ってたっけ。
さすがに帰りは逢わないかな。まぁ逢うわけにはいかないんだけどね。
そのまま部活動も終わり、日が沈む頃になった。
「獅子くん、お疲れ様」
「雫、待っててくれたんだな」
獅子の最愛の恋人が体育館にやってくる。
もうバスケ部ではこのカップルのラブラブっぷりは有名なのでいつものことみたいになっていた。
園芸部で余裕がある時はこっちに来てマネージャーの仕事やっていくんだもんな。
相当に優秀でバスケ部も大助かりだ。
「小暮くん、今日お願いね。アリサはもう家に帰ってるはずだから」
「今日は喫茶店の方に行かなかったんですね」
「んー。まぁ……ね」
何だか歯切れの悪い言い方だ。
獅子と大月さんが一緒に帰るということは僕がアリサの家事代行のお仕事が待っている。
あのときから……2回目のお仕事だ。僕は2人きりで平常でいられるだろうか。
「今日は早く帰ってこないから、ゆっくりとこの前の続きをしていいよ」
「別に何もしませんけど!」
前回は途中で大月さんが帰ってきたんだよな……。あの後、どんな話をしたのやら。
まぁいい。ちゃんとお仕事してお金を稼ごう。そうすればひよりのためにキュアキュアのBDをいっぱい買えるんだ! 僕の天使のために頑張る。
獅子たちと別れ、僕は一人で校舎を出る。
いきなり前に女の子が飛び出してきた。
「あ、涼真やっと出てきた」
「紬!? 何で」
校門には紬がいたのだ。
再び2章スタートです!
発売日まであと10日です!
書きため尽きるまで毎日投稿です。
発売まで持てば勝ったも同然ですね!
本作含め三作同時更新しますので全部愛して頂けると嬉しいです!
さて、ここで許可を頂きました朝比奈アリサのキャラデザ公開となります。
たん旦先生のキャラデザを見てアリサはこんな感じだったんだと思い、感無量でした。
今までおぼろげな想定しかしてなかったですからね。
本当に嬉しいです。明日は主人公涼真のキャラデザを公開しますよー!
ここでお願いがあって、もちろん強制ではございませんが発売日までに少しでもランキング上位に行きたいので、もし良ければ下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けないでしょうか。
もちろん★1つでも構いません! お気持ちだけでも構いません!
他にも感想やレビューなども頂けるとすごく嬉しいです。
改めて今後とも本作を宜しくお願いします。