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「アリサちゃん、雫ちゃんおはよう!」


「おはよう、柊さん」

「……おはよう」


 教室にたどり着き、紬はいの一番にアリサと大月さんを見つけて近づいていく。

 昨日少し話をしたし、今日の朝も大月さんと話をしていたからいい友人関係になれればいいなと思う。

 転校生ってこういう所が大変だよなぁ。


「今日はいつも以上にチラチラ見られたよな」


 はぁっとため息をつく獅子。

 学内のあらゆる女子の羨望を集める獅子は通学時でもその人気が衰えることはない。

 毎日のように手紙を貰い、他校の女子から声をかけられている。

 でも今日は見られてはいたものの声をかけられることはなかった。


「横に紬がいたからだろうね」

「何で紬がいたら違うんだよ」


 そりゃそうだろ。獅子に釣り合うレベルの美少女となった紬が側にいて誰が声をかけてくるものか。

 まさに理想の男女って感じだったね。間にいた僕が空気と思われるくらいに!

 会話の半分は言い争いなので遠くから二人を見るのが正しいのかもしれない、


「そりゃ……紬がその……綺麗になったからかな」


 思うことは簡単だが口で言うとさすがに恥ずかしい。

 こんな感情を獅子は何て言うだろうか。


「そうか? 雫の方が100倍可愛いだろ」

「獅子はぶれないねぇ。まぁ大月さんにとっては嬉しい言葉だろうね」


「アリサちゃん、今日もすっごく綺麗だね! どんなメイクしてるの!」

「え、えーと。ちょっと落ち着いて」


 自分の席に座った頃、アリサは紬に詰め寄られていた。

 迫ってくる男子にはキリっとした表情でバッサリと切ってしまうが女子にはそういう姿を見せたことはない。

 敵対行動を取れば話は違うだろうが、そんなことをアリサに仕掛ける女子はほぼいいないだろう。僕や大月さんにはポンコツな所を見せるけど、学校でのアリサはやっぱり女王様っぽいと思う。


「あのグループいいよなぁ転校生の柊さんを加えてさらに目立つ感じになったよな」

「ああ、あの朝比奈アリサに匹敵するくらい可愛いのがいいよな。朝比奈と違って男子にも気軽だし、愛嬌もある」


 クラスの男子達の声が聞こえてくる。

 アリサと紬が話してる側にグループのギャルである三好さんや的場さんがやってきた。

 アリサが呼びつけたようにも見える。


「あいつらも獅子一筋だったけど彼女が出来てからは結構オープンになってきたよな。柊があのギャル達に関わってどうなるか楽しみだぜ」


 僕は直接聞いたんだけどアリサが派手な格好を好むのはグループのギャル達の影響があるらしい。

 自信がある子達はいつだっていろんなことができるもんだ。


「そしてやっぱダークホースは大月だよなぁ。獅子と付き合って垢抜けたっていうか。あんなに可愛かったっけ?」


 獅子の恋人となったことで大月さんの知名度は急上昇。

 地味な印象は消え、獅子やアリサの隣にいても見劣りしない存在感を示すようになった。

 詳しくは知らないけど獅子のファンクラブを制御してるってアリサが言ってた。どういうことなんだろうね。


「頂点に君する朝比奈アリサ。その対抗の柊紬。クラスの人気者をゲットした大月雫。そしてギャル達。あのグループはクラス……いや、学年を代表する女子グループとなるだろう」


 僕の側で男子達はその認識を固め合うのであった。

 んで。


「何で僕の側でそんな話をするの。獅子の席は向こうだよ」


 今側にいるのは男子のクラスカーストトップの鈴木、佐藤、田中の三名。

 常に獅子の側にいる取り巻きみたいな感じなのになぜか僕のまわりでアリサ達を見ている。

 ほんの最近までは僕に見向きもしてなかったというのに。


「朝比奈と仲良くて、柊と幼馴染なんて学校の二大美女を手に入れたようなもんだろ!」

「どうしたらそんな徳を積めるんだよ!」


 紬と幼馴染は徳だと言えるかもしれないけどアリサと仲良くなるには相当大変だった気もする。意図してもなかったし。

 あの二人じゃなきゃすぐにでも彼女作れそうな男子達が言うのはなんとも。


「それで小暮はどっち狙いなんだよ。朝比奈か柊か!」


 アリサと紬。親友と幼馴染。

 その二人が僕の視線に気づいたのかこっちを見てきた。

 照れてたようにはにかみ小さく手を振るアリサと大げさに笑顔で手を振る紬。

 気恥ずかしくて返すことが出来なかった。


 今の僕にはまだその明るさを受け止める度量はないのかもしれない。

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